第1話
name change
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ルパン三世は1件もヒットしなかった。
ルブランの小説とか銀座のバーといった見当はずれの情報を前にして、愕然とする。
「ルパン三世が存在しない世界に、実在する世界からパラレルトリップ……こう、平行世界を飛び越えてくることだが、」
男がジェスチャーを交えて説明を始める。
「そうすると、世界は辻褄を合わせるために『実在しない』という事実を消してしまう」
この世界の人間でルパン三世を知る者は、少なくとも想像上の人物であることを知る者はもはやいないのだと男は言った。
「ちょっと待って。私は? 実在しない事実を消したのなら、なぜ私は覚えているの?」
「それは……事案発生前後から連続した思考は切断できないとか……いや」
私の疑問に男は1人でブツブツと考えていた風だったが、やがて私に向かって言った。
「はっきりした事は私にも分からない。しかし、それはどうでもいい事だ。さっき君がルパンを描いているのを見て、我々は君が覚えていると認識した。我々にとっては、覚えている事が重要なのだ」
男の顔はじっと私に向けられていた。
サングラスのせいで表情が分からず、感情が読めないせいで、私は落ち着かない気持ちになる。
「覚えていると、どうなるんです……?」
「そう怯えなくても良い。言っただろう、危害を加えるつもりはないと。我々はルパンの情報が欲しいだけだ。どんな人物で、どんな生活をしているのか。趣味嗜好から考え方まで、知っている事はすべて教えてもらいたい」
「そんなの、元のルパンの世界に行って調べたら……」
「元の世界では、ルパンがいなくなった為に『ルパンが存在した』という事実が消去された。よって、彼の痕跡は残っていない。一方、実在するようになったこちらの世界ではまだデータがない」
いずれはこちらの世界で『存在したという事実』によって新しくデータが作られるだろうが、それを待っている余裕はないそうだ。
消えるのは一瞬で、構築には時間がかかる。どこの世界もデータとはそういうものらしい。
とにかく、一刻も早く情報を集めてルパンを捕らえたいというのが彼らの言い分だった。
「君だけが頼りだ」男がきっぱりと言った。
「頼む。引き受けてくれないだろうか」
なぜだろう。
丁寧にお願いされているのに、ものすごい圧を感じる。
チラリともう1人の男を見ると、彼は前のめりになってじっと私の方を見ていた。
サングラスからレーザー光線でも出しそうだ。
「わ、分かりましたよ……」
仕方なく頷いて、私は彼らの協力者となった。
ルブランの小説とか銀座のバーといった見当はずれの情報を前にして、愕然とする。
「ルパン三世が存在しない世界に、実在する世界からパラレルトリップ……こう、平行世界を飛び越えてくることだが、」
男がジェスチャーを交えて説明を始める。
「そうすると、世界は辻褄を合わせるために『実在しない』という事実を消してしまう」
この世界の人間でルパン三世を知る者は、少なくとも想像上の人物であることを知る者はもはやいないのだと男は言った。
「ちょっと待って。私は? 実在しない事実を消したのなら、なぜ私は覚えているの?」
「それは……事案発生前後から連続した思考は切断できないとか……いや」
私の疑問に男は1人でブツブツと考えていた風だったが、やがて私に向かって言った。
「はっきりした事は私にも分からない。しかし、それはどうでもいい事だ。さっき君がルパンを描いているのを見て、我々は君が覚えていると認識した。我々にとっては、覚えている事が重要なのだ」
男の顔はじっと私に向けられていた。
サングラスのせいで表情が分からず、感情が読めないせいで、私は落ち着かない気持ちになる。
「覚えていると、どうなるんです……?」
「そう怯えなくても良い。言っただろう、危害を加えるつもりはないと。我々はルパンの情報が欲しいだけだ。どんな人物で、どんな生活をしているのか。趣味嗜好から考え方まで、知っている事はすべて教えてもらいたい」
「そんなの、元のルパンの世界に行って調べたら……」
「元の世界では、ルパンがいなくなった為に『ルパンが存在した』という事実が消去された。よって、彼の痕跡は残っていない。一方、実在するようになったこちらの世界ではまだデータがない」
いずれはこちらの世界で『存在したという事実』によって新しくデータが作られるだろうが、それを待っている余裕はないそうだ。
消えるのは一瞬で、構築には時間がかかる。どこの世界もデータとはそういうものらしい。
とにかく、一刻も早く情報を集めてルパンを捕らえたいというのが彼らの言い分だった。
「君だけが頼りだ」男がきっぱりと言った。
「頼む。引き受けてくれないだろうか」
なぜだろう。
丁寧にお願いされているのに、ものすごい圧を感じる。
チラリともう1人の男を見ると、彼は前のめりになってじっと私の方を見ていた。
サングラスからレーザー光線でも出しそうだ。
「わ、分かりましたよ……」
仕方なく頷いて、私は彼らの協力者となった。