shot.13 初恋の雨
深傷を負ったグルート、ブレイヴ、ジェトはポケモンセンターに運ばれた。幸い、命に別状はなかったが、体に巻かれた包帯が戦いの激しさを物語る。特に執拗にギルバートからの攻撃を受けていたグルートの怪我は深刻で、一時は酸素投与も必要になるほど弱っていた。
まだ面会は許されておらず、アンヌは処置室の部屋の前にある長椅子に座り、じっと3人の回復を待つ。
視線は茫然と床を見つめて、彼女は震える唇を押さえ込むように噛み締めた。
(……私の、せいだ。)
ギルバートは父が認めた婚約者で、シャルロワ家とも関係が深い。今回だけでなく、今までの追手も彼の手によるものだと知った。無知でどれだけ周囲の人たちを巻き込み、危険な目にあわせてきたのだろうと、アンヌは罪悪感に苛まれていた。
『ーーお会いできる日を楽しみにしていますよ。』
その言葉通り、ギルバートは再び目の前に現れるだろう。それを思うとアンヌは恐ろしくて堪らなかった。腹の底が読めない彼自身への恐怖もあるが、彼女が最も気掛かりだったのは、また同じように仲間が傷つけられてしまう可能性だった。
自分は人間、ポケモンとは圧倒的に力の差がある。ギルバートに傷つけられていく仲間を、唖然と見ていることしかできなかった。
(……これ以上、みんなを私の事情に巻き込むわけにはいかないわ。)
仲間への容赦ない攻撃から推察するに、彼は目的の為なら、他者をを傷つけるどころかーー殺めることすら厭わない男だと、アンヌは感じていた。
彼に奪われた接吻の感触が未だに残っていて、彼女の背筋に悪寒が走る。相手を思う優しさなど微塵も感じられず、己の欲のままに全てを強奪していく。
(……大切なみんなだけは…奪われたくない。)
胸に輝く赤いペンダントを、祈るように両手で包みながらーーーアンヌもまた、あるひとつの大きな決意を固めた。
まだ面会は許されておらず、アンヌは処置室の部屋の前にある長椅子に座り、じっと3人の回復を待つ。
視線は茫然と床を見つめて、彼女は震える唇を押さえ込むように噛み締めた。
(……私の、せいだ。)
ギルバートは父が認めた婚約者で、シャルロワ家とも関係が深い。今回だけでなく、今までの追手も彼の手によるものだと知った。無知でどれだけ周囲の人たちを巻き込み、危険な目にあわせてきたのだろうと、アンヌは罪悪感に苛まれていた。
『ーーお会いできる日を楽しみにしていますよ。』
その言葉通り、ギルバートは再び目の前に現れるだろう。それを思うとアンヌは恐ろしくて堪らなかった。腹の底が読めない彼自身への恐怖もあるが、彼女が最も気掛かりだったのは、また同じように仲間が傷つけられてしまう可能性だった。
自分は人間、ポケモンとは圧倒的に力の差がある。ギルバートに傷つけられていく仲間を、唖然と見ていることしかできなかった。
(……これ以上、みんなを私の事情に巻き込むわけにはいかないわ。)
仲間への容赦ない攻撃から推察するに、彼は目的の為なら、他者をを傷つけるどころかーー殺めることすら厭わない男だと、アンヌは感じていた。
彼に奪われた接吻の感触が未だに残っていて、彼女の背筋に悪寒が走る。相手を思う優しさなど微塵も感じられず、己の欲のままに全てを強奪していく。
(……大切なみんなだけは…奪われたくない。)
胸に輝く赤いペンダントを、祈るように両手で包みながらーーーアンヌもまた、あるひとつの大きな決意を固めた。