『聖女』降臨〜数奇な運命〜
【この話について】
『トリニティ・ブラッド』連載当時から、ずっと『トリブラ』の夢女子です。『お給料を寄付に使ってしまい空腹のアベルに食事を奢る』話は、書きたい題材でした。
『主人公は21世紀の日本人』『主人公の言動で主人公の正体に気付いたアベルが保護してくれる』という出会いの流れも元から考えていました。しかし夢書きとしてあまりにも未熟過ぎた為、形にできないままで20年以上が経過してしまいました。やっと物語にできたのが本文です。
本文でも『登場人物について』でも明かしませんでしたが、実は主人公は『トリブラ』のいち読者です。つまり『こちらの世界』の一般人です。帰宅途中にかの世界に流されました。
少なくとも日本ではない場所で出てきた『吸血鬼 』『遺失技術 』というキーワードに、主人公は自分が知る物語との奇妙な一致を覚えていました。村人達に「今は何年ですか?」と尋ねたのも、年号を把握する為です。『聖暦』という年号が出てきた事によって「ここは私が『トリニティ・ブラッド』という物語として知る世界だ」と、主人公は確信しました。
したがって、主人公の『この世界の事を何も知らない素振り』は、全て演技です。アベルに「自分は日本人だ」と主張したのも、「アベルなら絶対に自分の『正体』に気付いてくれる」と見越しての、計算尽くしの言動です。主人公を女優だと思って下さったら嬉しいです。
尤も、アベルが自分達3兄妹の素性を洗いざらい話してくれた事は、主人公にとって全くの計算外でしたが。なお、主人公がアベルに向けた優しい言葉に、演技は一切入っていません。
主人公はシリーズの『神学大全』も読み込む程の『トリブラ』好きが昂じた事で、自分の世界にいる時に、作中に登場する各国の言葉も覚えてしまいました。村人達とのコミュニケーションが成立したのはその為です。言語のレベルは「演説しろとか論文を書けとか言われたら困る」という程度です。
本文で主人公が『吸血鬼』つまり長生種 の根城に単独で乗り込む事ができたのも、『トリブラ』における長生種の特徴や弱点といった、いわば『手の内』を知っていたからに他なりません。
しかしそれでも、下手をしたら本当に文字通り『取って食われる』訳ですが、主人公は「得体の知れないぽっと出の余所者の自分に頼むくらいだから、本当に本当に困り果てているのだろう」と、本心から考えていました。ですので、本来は何の義理も無ければ義務も無いにも関わらず、自分を奮い立たせて立ち向かいました。
Axの門を叩く事にしたのも、同じような理由です。主人公は『世界の敵 』即ち『薔薇十字騎士団 』には、全く関係がありません。『トリブラ』のいち読者としてのいわゆる『メタ視点』から、『最終的にアベルはカインに勝利する』と、『トリブラ』自体は未完なれども見越しています。
ですが、だからと言って『能力を隠していちシスターあるいはいち市民として平穏に暮らす』選択肢は、主人公の視野には最初から存在しません。『知っているのに何もしないのは、見捨てる事と全く同義だ』と考えているからです。
なので、何の関係も無ければ義理も無く、はたまた義務すらも無いというのに、主人公は走り出してしまいました。些かフライング気味のような気もしますが。
主人公の最初の被害者となった長生種の貴族ですが、その両親は静かに暮らす事を望む良き長生種でした。しかし当の娘は、長生種としての『覚醒』が極端に遅かった、何もかもが短生種 並みであった両親を、ひどく見下して嫌っていました。他者(特に短生種)への悪意が暴走したのは、両親が亡くなるという歯止め役がいなくなった事がきっかけです。
件の貴族は、人身御供となった少女を城の自動人形 達に綺麗に洗わせてからドレスで美しく飾り付け、然る後に血を吸い尽くして殺めるという、悪趣味な行為に興じていました。もうおわかりかと思いますが、貴族のモチーフとしたのは『吸血鬼カーミラ』のモデルとなった、『血の伯爵夫人』と名高きエリザベート=バートリです。
「何故こんな事を楽しいと思うのか?」と首を傾げるような埒外の悪意の持ち主は、世の中に一定数いるものなのです。
因みに、枢機卿の立場の方の敬称に使われる『猊下』ですが、『仏陀がいらっしゃる猊座の下の尊いお方』という意味を持つのだそうです。なので主人公は「猊座に程近いお方」とわざわざカテリーナに呼びかけました。
また、本文の「1ディナールの種が、買うと2ディナールや3ディナールのお野菜に!」というアベルの発言に、これまたお気付きになった方もおいでかもしれません。元ネタは、アニメ版『トリニティ・ブラッド』のDVD第1巻の初回購入特典のドラマCDです。
尤も、現代では「DVDって何?」と仰る方が多いかもしれませんが。
形にするのに20年以上を要したトリブラ夢をどなたかにお楽しみ頂けたら、世界観を共有できたら嬉しいです。
吉田直先生とTHORES柴本先生に、この場を借りて心からの感謝を申し上げます。
『トリニティ・ブラッド』に、今もなお色褪せぬ想いを込めて。
『トリニティ・ブラッド』連載当時から、ずっと『トリブラ』の夢女子です。『お給料を寄付に使ってしまい空腹のアベルに食事を奢る』話は、書きたい題材でした。
『主人公は21世紀の日本人』『主人公の言動で主人公の正体に気付いたアベルが保護してくれる』という出会いの流れも元から考えていました。しかし夢書きとしてあまりにも未熟過ぎた為、形にできないままで20年以上が経過してしまいました。やっと物語にできたのが本文です。
本文でも『登場人物について』でも明かしませんでしたが、実は主人公は『トリブラ』のいち読者です。つまり『こちらの世界』の一般人です。帰宅途中にかの世界に流されました。
少なくとも日本ではない場所で出てきた『
したがって、主人公の『この世界の事を何も知らない素振り』は、全て演技です。アベルに「自分は日本人だ」と主張したのも、「アベルなら絶対に自分の『正体』に気付いてくれる」と見越しての、計算尽くしの言動です。主人公を女優だと思って下さったら嬉しいです。
尤も、アベルが自分達3兄妹の素性を洗いざらい話してくれた事は、主人公にとって全くの計算外でしたが。なお、主人公がアベルに向けた優しい言葉に、演技は一切入っていません。
主人公はシリーズの『神学大全』も読み込む程の『トリブラ』好きが昂じた事で、自分の世界にいる時に、作中に登場する各国の言葉も覚えてしまいました。村人達とのコミュニケーションが成立したのはその為です。言語のレベルは「演説しろとか論文を書けとか言われたら困る」という程度です。
本文で主人公が『吸血鬼』つまり
しかしそれでも、下手をしたら本当に文字通り『取って食われる』訳ですが、主人公は「得体の知れないぽっと出の余所者の自分に頼むくらいだから、本当に本当に困り果てているのだろう」と、本心から考えていました。ですので、本来は何の義理も無ければ義務も無いにも関わらず、自分を奮い立たせて立ち向かいました。
Axの門を叩く事にしたのも、同じような理由です。主人公は『
ですが、だからと言って『能力を隠していちシスターあるいはいち市民として平穏に暮らす』選択肢は、主人公の視野には最初から存在しません。『知っているのに何もしないのは、見捨てる事と全く同義だ』と考えているからです。
なので、何の関係も無ければ義理も無く、はたまた義務すらも無いというのに、主人公は走り出してしまいました。些かフライング気味のような気もしますが。
主人公の最初の被害者となった長生種の貴族ですが、その両親は静かに暮らす事を望む良き長生種でした。しかし当の娘は、長生種としての『覚醒』が極端に遅かった、何もかもが
件の貴族は、人身御供となった少女を城の
「何故こんな事を楽しいと思うのか?」と首を傾げるような埒外の悪意の持ち主は、世の中に一定数いるものなのです。
因みに、枢機卿の立場の方の敬称に使われる『猊下』ですが、『仏陀がいらっしゃる猊座の下の尊いお方』という意味を持つのだそうです。なので主人公は「猊座に程近いお方」とわざわざカテリーナに呼びかけました。
また、本文の「1ディナールの種が、買うと2ディナールや3ディナールのお野菜に!」というアベルの発言に、これまたお気付きになった方もおいでかもしれません。元ネタは、アニメ版『トリニティ・ブラッド』のDVD第1巻の初回購入特典のドラマCDです。
尤も、現代では「DVDって何?」と仰る方が多いかもしれませんが。
形にするのに20年以上を要したトリブラ夢をどなたかにお楽しみ頂けたら、世界観を共有できたら嬉しいです。
吉田直先生とTHORES柴本先生に、この場を借りて心からの感謝を申し上げます。
『トリニティ・ブラッド』に、今もなお色褪せぬ想いを込めて。
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