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『雨やどり』にコメントくださったレディへ2021090418:34

コメントありがとうございます、そしてお尋ねくださり本当にありがとうございます。

この作品の中で、ご指摘の通りヒル魔はある鬱屈(または、屈託とでも言いましょうか)を抱えております。この作品を書いた当時の私には、それを読んでくださる方々にうまくお伝えすることがどうしてもできませんでした。そのことが、今でも私の中で大きな心残りとなっております。
ヒル魔の抱えていたもの。それは、具体的に申し上げるならば、"ムサシとの将来に対する漠然とした不安"でございます。
愛する男といつまでも寄り添って生きていきたい。けれどそこに立ちはだかるのは同性という壁です。
異性間の恋愛ならばともかく、ムサシと自分は同性である。どこまでも自分の気持ちを貫きたいなら、当然乗り越えなくてはならないさまざまな障害がある。
ムサシが好きだ、どこまでもともに生きていきたい。けれど、でも。
このようなヒル魔の葛藤を、繰り返しになりますが私はどうしても描くことができませんでした。そのため、この作品はどこか不完全燃焼のようなものとなっておりました。
おそらく上記のような理由からですが、この作品のすぐあとに私は『慕情』を書いております。ヒル魔の葛藤を、『慕情』の中では少し具体的に描こうと努めました。
この頃の私はムサシとヒル魔がどうすれば幸せになれるのか、悩みぬいていたように思います。ムサヒルに幸せになってほしい、どうすれば良いか。考えて考えて、月並みでありきたりかもしれませんが一つの結論に達しました。幸せになるもならぬも、気持ち一つだと。
ひとを動かすのはモノでもお金でもなく、気持ちであると私は思います。ムサシの気持ちは決まっている、それならヒル魔も覚悟を決めるべきだ。そう思いながら書いたのが『傘をさして』であり、『銀の糸』でした。
私の力不足のせいで、作品で語るということが出来ずに申し訳ない気持ちでいっぱいです。そして、お尋ねくださったあなた様のお気持ちに深く感謝しております。このように、拙作群について語る機会を与えてくださり、本当にありがとうございます。

また何かありましたら、どうぞご遠慮なくお問い合わせくださいませ。
穏やかなうちのムサヒルを好きと言ってくださり、ありがとうございます。
またお待ちしておりますね。
ありがとうございました!

2021/09/04 14:21