◇ラブレター

4 何通もの手紙を開封するヒル魔

机に向かって座る。胸が高鳴る。震える指で封を切る。白い封筒、中には白い便箋。
ムサシからの手紙。何度も来た手紙。返事なんかしなかったのに、何度も、何度も来た手紙。
目を通す。読んで、次の手紙を開く。また読んで、また次へ。繰り返す。

自分の手に水が落ちた。何だか分からなかった、続けざまに落ちる水を見ていて気がついた。
俺は泣いていた。目が熱い。手に落ちる水はぽろぽろとこぼれる俺の涙だった。
ムサシ。ムサシからの手紙。ムサシからの。ムサシの、気持ち。

いいのか、ムサシ。
俺はテメーを好きでいていいのか。
嘘をつかなくてももういいのか。

つらかった。苦しかった。長いこと。
でもそんな思いはもうしなくてもいいのか。
いいんだな。
ムサシ。
ムサシ。
会いたい。
好きだ。
言えなかった言葉を伝えたい。

涙。
止まらない涙。
温かい涙。

黙って涙を流していた。
長いこと。
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