光速タッチダウンの無配 〜ひみつのヒル魔くん〜
渋谷のスクランブル交差点を行き交う無数の人々。その光景を目にしたある外国人が、日本人の歩行のアジリティは素晴らしいと感嘆した。あんなにたくさんの人々がどうしてお互いにぶつからずに歩けるのかと。
半ば以上はこれはジョークだ。だが食事しながらこれをテレビから聞いたムサシは、何となく恋人のヒル魔を連想した。
アジリティ。敏捷性。歩行の際は無論のことヒル魔のそれは試合中も遺憾なく発揮される。おまけにその頭脳もやたら機敏に働くし、普段の行動も敏捷と言うかやたら精力的だ。
ヒル魔はつねに忙しい。大学に入って部活に学業に。その合間に学長を脅してグラウンドの芝を張り替える金を出させ、体育部会の部長にはウィザーズの部室を拡大させた。試合に赴くのにいわゆる足が足りないとなればどこからか大型バスを調達してきて部員全員をあっという間に運んだし、よその部に使えそうなのがいると聞けばアメフトやれと命令形で誘いに行く(もしくは、弱みを握る)。
無数の奴隷も脅迫手帳も、相変わらず駆使しているようだ。そんなヒル魔を少し苦笑するような思いでムサシは眺めている。全く、こいつは変わらねえなと。
それは別に構わないのだが少し物足りない部分があるとすれば、上記のようにヒル魔が慌ただしい毎日を送っているためろくに会う時間が取れないことだ。ムサシとヒル魔は高校時代から付き合っているのだが、ふたりきりの時間というのは泥門の卒業後ますます減ってしまった。
ま、あいつのことだから仕方ない。
元気でいるならいいけどな。
そんな風に思いながらムサシは実家を出て、一人暮らしを営んでいるアパートに今日も戻った。
──お?
朝出た時に閉めたはずの鍵が開いている。
閉め忘れたかなと思いつつ玄関に入るとムサシのものではない靴。
黒い革靴だ。
──なんだ
来てるのか、と思った。合鍵で入ったのだろう。黒い靴の持ち主、言うまでもなくヒル魔である。
奥を窺うと出てくる様子はない。おう帰ったか、と言うような声も聞こえない。台所の奥の和室の引き戸は閉じている。
もしかしてと思ったのでムサシは静かに安全靴を脱いだ。静かに家に上がり、和室の白い引き戸をそうっと開ける。
恋人はそこにいた。
畳に仰向けに寝そべって。
ちゃぶ台にはいつも離さないノートパソコン。様子から察するに、ここに上がり込んでムサシの帰りを待ちながら何か作業していた。ちょっと休むかと横になったらおそらくそのまま寝込んでしまったのだろう。
起こすのも気の毒な気がしたのでそうっとムサシは台所に戻った。冷蔵庫から緑茶のペットボトルを取り出して戻る。
ちゃぶ台の一辺はヒル魔が占領している。隣の一辺に腰を下ろした。
ムサシは食事は自宅で済ませてきた。冷えた緑茶を口に含むとさっぱりと喉越しが良く、鼻腔を抜ける香りも爽やかだ。
ゆっくりと茶を口に運びながら、恋人の観察を始めた。
畳に横たわるヒル魔。片手は腹の上、もう片手は気持ちよさそうに投げ出している。規則正しい呼吸音。穏やかな寝息だ。だいぶ眠りは深いようで、くう……くうと平和な息。
──なんだか
どうも面白いなと密かに思った。
いつも抜け目なさそうに光る目はまぶたに隠れている。頬の緊張もない。大口を叩くいつもの唇。ケケケと悪魔笑いを見せる唇は不思議と小さくて、平和な呼吸音をたてる。こんな様子を見ているとさしもの〝悪魔〟もどこか子供じみて見えるから不思議なものだ。
自分の口元が少しゆるむのをムサシは感じた。不敵で強気なこの男がこうして寝入る様子は微笑ましく、あどけない。
あどけないと言えば、と急に思い出した。昔々、まだ中学の頃だ。栗田とムサシとヒル魔、3人きりの部活動。放課後の練習中、ヒル魔の調子が悪そうなことにムサシは気づいた。大丈夫だから放っとけというQBの額に手を当てると明らかに熱い。お前熱があるじゃないかとムサシは驚いた、無論栗田も。
ヒル魔はその頃、自宅を離れてあるビジネスホテルに仮住まいしていた。もう部活どころではない、ムサシと栗田はそこまでヒル魔を送ってやった。栗田がヒル魔をおぶって、ムサシがヒル魔の荷物を持ってやって。
ホテルのベッドにぐったりと横たわったヒル魔。悪ィな、とかろうじて礼らしい言葉を口にした。あどけないというかしおらしいというか、あの時のヒル魔はひどく頼りなくムサシの目に映ったものだ。
それからムサシは栗田とともに精一杯看病らしいことをした。濡れタオルを作り、薬や水や軽食を用意して。そうしてからヒル魔をゆっくり寝かせてやろうと部屋を出た。少し心残りな思いを胸に抱いて。
あの時感じた気持ち。あの時はまだムサシはおのれの胸の内に気づいてはいなかった。あの頃と比べて自分は変わったような、変わらないような。いやでも何も変わっていないのかもしれない。少なくともこの金髪頭に対して抱く思いは。
つらつらとそんなことを考えながら緑茶を口に運ぶ。するとまもなくヒル魔の寝息が止まった。
止まったかと思うとすう……と深い息。すう……とまた吐き出す。
ぴくりとまぶたが動いた。
「……う?」
天井を向いたまぶた。薄く開く。ゆっくりとまばたき。
深く息を吸い込んだかと思うと、
「ふ、ああああ……」
のんびりと大きなあくびをひとつ。
隣で見守るムサシに、寝そべったままヒル魔は緩慢に顔を向けた。
「……なんだテメー」
「なんだって何のことだ」
「帰ってたのかよ」
「ついさっきな」
「へえ」
どうでもいいと言うようにヒル魔はまたのんきな大あくび。黒のTシャツの下に手を入れてぼりぼりと腹を掻く。飾り気がないと言うより、色気がないことこの上ない。
ムサシは声をかけた。
「晩めし食ったのかお前」
「いや」
「食いに行くか?」
「いやいい。帰る」
「あ?」
大口のあくびと共にヒル魔は体を起こした。ムサシは意外だ。てっきりこいつは泊まりに来たのだと思い込んでいた。
「帰るって、じゃ何しに来たんだ」
「寝に」
とぼけたような応え。
何だそりゃ、と思わずムサシは苦笑する。
ヒル魔はちゃぶ台のPCを黒いバッグに詰め込む。本当に帰る気のようだ。立ち上がってもう玄関に向かい始めた。少し慌ててムサシはあとを追う。
「次はいつ来る」
「あー、わかんね。忙しンだ俺ァ」
何だか何か言い足りない。そんな気持ちでいたらヒル魔に首根っこを掴まれた。あっと思う間もなく軽いキス。
ちゅ。
目を開けるとにやりと悪戯っぽい恋人の瞳。
「テメー嬉しかっただろ」
「何が」
「俺様が迎えてやったからな」
迎えるも何も、寝こけてたじゃないかとムサシはおかしくなった。
「まあ誰もいねえよりはいいな」
玄関先で身を寄せ合う。軽く腰を抱き合って。
「また来てやるからありがたく思え」
「だからいつごろだ」
「気が向いたらな」
「あんまり無茶するなよ。悪さも」
「悪さって何だよ」
「浮気とかだな」
ふっとヒル魔が口をつぐんだ。ムサシの目を覗き込み、笑い出す。ムサシも笑った。
「ばーか」
くすくすと笑い合いながらのキス。
ちゅ、ちゅと繰り返しているとヒル魔が言った。
「テメー魚の匂いがする」
「ああ。かつおだろ」
「かつお?」
「今日の晩めし。たたきだった」
「何だよそんなら俺も呼べよ」
恋人は口を尖らせる。
「お前が電話に出なかったんだろう」
夕刻、ヒル魔くんも誘ったらとの母の言葉。それを受けてムサシはヒル魔の携帯電話に連絡を試みたがツーツーと虚しい音が響くだけだったのだ。
「んじゃ次な。おふくろさんによろしく」
「ああ、わかった」
するりとヒル魔はムサシの腕から抜け出した。泊まりたいという気持ちもあるにはあるがこの部屋に入ったらムサシの匂いに包まれた。六畳の和室はまるでこの男の腕のように温かだった。少しの時間とはいえぐっすり寝入ったしそれで十分だ。この糞ジジイは物足りねえかもしれねえけどな。
「またな。──糞ダーリン」
にやりと悪い笑み。軽い身のこなしでヒル魔は玄関を出る。
見送るムサシの前でドアが閉まった。
──…………
何だかな。
何だかムサシは拍子抜けするような思いだ。せっかくのたまの逢瀬、いちゃいちゃできるかと思ったのに風のようにヒル魔は消えてしまった。
子供のような気持ちが胸にやってくる。つまらねえな、と。
ただすぐにムサシは思い直した。
今日は収穫があった。あの、ヒル魔の寝顔。くうくうとあどけない寝息を立てる金髪頭。
あれが見られただけでも今日はいい日だったというものだ。
──あんなのは
そうムサシは思う。
──俺しか知らねえもんだしな
またも口元がゆるんでしまう。
ムサシだけの特権。
秘密のヒル魔。
──ヒミツのヒル魔、か
そう考えたら、抑えようと思ってもどうもにやにや笑いが浮かんでしまう。
ふわあ、とムサシも恋人のような伸びをした。
──ま、いい日だった
──またな。ヒル魔
心の中でそう呟いて、風呂の支度でもするかと動き出した。
半ば以上はこれはジョークだ。だが食事しながらこれをテレビから聞いたムサシは、何となく恋人のヒル魔を連想した。
アジリティ。敏捷性。歩行の際は無論のことヒル魔のそれは試合中も遺憾なく発揮される。おまけにその頭脳もやたら機敏に働くし、普段の行動も敏捷と言うかやたら精力的だ。
ヒル魔はつねに忙しい。大学に入って部活に学業に。その合間に学長を脅してグラウンドの芝を張り替える金を出させ、体育部会の部長にはウィザーズの部室を拡大させた。試合に赴くのにいわゆる足が足りないとなればどこからか大型バスを調達してきて部員全員をあっという間に運んだし、よその部に使えそうなのがいると聞けばアメフトやれと命令形で誘いに行く(もしくは、弱みを握る)。
無数の奴隷も脅迫手帳も、相変わらず駆使しているようだ。そんなヒル魔を少し苦笑するような思いでムサシは眺めている。全く、こいつは変わらねえなと。
それは別に構わないのだが少し物足りない部分があるとすれば、上記のようにヒル魔が慌ただしい毎日を送っているためろくに会う時間が取れないことだ。ムサシとヒル魔は高校時代から付き合っているのだが、ふたりきりの時間というのは泥門の卒業後ますます減ってしまった。
ま、あいつのことだから仕方ない。
元気でいるならいいけどな。
そんな風に思いながらムサシは実家を出て、一人暮らしを営んでいるアパートに今日も戻った。
──お?
朝出た時に閉めたはずの鍵が開いている。
閉め忘れたかなと思いつつ玄関に入るとムサシのものではない靴。
黒い革靴だ。
──なんだ
来てるのか、と思った。合鍵で入ったのだろう。黒い靴の持ち主、言うまでもなくヒル魔である。
奥を窺うと出てくる様子はない。おう帰ったか、と言うような声も聞こえない。台所の奥の和室の引き戸は閉じている。
もしかしてと思ったのでムサシは静かに安全靴を脱いだ。静かに家に上がり、和室の白い引き戸をそうっと開ける。
恋人はそこにいた。
畳に仰向けに寝そべって。
ちゃぶ台にはいつも離さないノートパソコン。様子から察するに、ここに上がり込んでムサシの帰りを待ちながら何か作業していた。ちょっと休むかと横になったらおそらくそのまま寝込んでしまったのだろう。
起こすのも気の毒な気がしたのでそうっとムサシは台所に戻った。冷蔵庫から緑茶のペットボトルを取り出して戻る。
ちゃぶ台の一辺はヒル魔が占領している。隣の一辺に腰を下ろした。
ムサシは食事は自宅で済ませてきた。冷えた緑茶を口に含むとさっぱりと喉越しが良く、鼻腔を抜ける香りも爽やかだ。
ゆっくりと茶を口に運びながら、恋人の観察を始めた。
畳に横たわるヒル魔。片手は腹の上、もう片手は気持ちよさそうに投げ出している。規則正しい呼吸音。穏やかな寝息だ。だいぶ眠りは深いようで、くう……くうと平和な息。
──なんだか
どうも面白いなと密かに思った。
いつも抜け目なさそうに光る目はまぶたに隠れている。頬の緊張もない。大口を叩くいつもの唇。ケケケと悪魔笑いを見せる唇は不思議と小さくて、平和な呼吸音をたてる。こんな様子を見ているとさしもの〝悪魔〟もどこか子供じみて見えるから不思議なものだ。
自分の口元が少しゆるむのをムサシは感じた。不敵で強気なこの男がこうして寝入る様子は微笑ましく、あどけない。
あどけないと言えば、と急に思い出した。昔々、まだ中学の頃だ。栗田とムサシとヒル魔、3人きりの部活動。放課後の練習中、ヒル魔の調子が悪そうなことにムサシは気づいた。大丈夫だから放っとけというQBの額に手を当てると明らかに熱い。お前熱があるじゃないかとムサシは驚いた、無論栗田も。
ヒル魔はその頃、自宅を離れてあるビジネスホテルに仮住まいしていた。もう部活どころではない、ムサシと栗田はそこまでヒル魔を送ってやった。栗田がヒル魔をおぶって、ムサシがヒル魔の荷物を持ってやって。
ホテルのベッドにぐったりと横たわったヒル魔。悪ィな、とかろうじて礼らしい言葉を口にした。あどけないというかしおらしいというか、あの時のヒル魔はひどく頼りなくムサシの目に映ったものだ。
それからムサシは栗田とともに精一杯看病らしいことをした。濡れタオルを作り、薬や水や軽食を用意して。そうしてからヒル魔をゆっくり寝かせてやろうと部屋を出た。少し心残りな思いを胸に抱いて。
あの時感じた気持ち。あの時はまだムサシはおのれの胸の内に気づいてはいなかった。あの頃と比べて自分は変わったような、変わらないような。いやでも何も変わっていないのかもしれない。少なくともこの金髪頭に対して抱く思いは。
つらつらとそんなことを考えながら緑茶を口に運ぶ。するとまもなくヒル魔の寝息が止まった。
止まったかと思うとすう……と深い息。すう……とまた吐き出す。
ぴくりとまぶたが動いた。
「……う?」
天井を向いたまぶた。薄く開く。ゆっくりとまばたき。
深く息を吸い込んだかと思うと、
「ふ、ああああ……」
のんびりと大きなあくびをひとつ。
隣で見守るムサシに、寝そべったままヒル魔は緩慢に顔を向けた。
「……なんだテメー」
「なんだって何のことだ」
「帰ってたのかよ」
「ついさっきな」
「へえ」
どうでもいいと言うようにヒル魔はまたのんきな大あくび。黒のTシャツの下に手を入れてぼりぼりと腹を掻く。飾り気がないと言うより、色気がないことこの上ない。
ムサシは声をかけた。
「晩めし食ったのかお前」
「いや」
「食いに行くか?」
「いやいい。帰る」
「あ?」
大口のあくびと共にヒル魔は体を起こした。ムサシは意外だ。てっきりこいつは泊まりに来たのだと思い込んでいた。
「帰るって、じゃ何しに来たんだ」
「寝に」
とぼけたような応え。
何だそりゃ、と思わずムサシは苦笑する。
ヒル魔はちゃぶ台のPCを黒いバッグに詰め込む。本当に帰る気のようだ。立ち上がってもう玄関に向かい始めた。少し慌ててムサシはあとを追う。
「次はいつ来る」
「あー、わかんね。忙しンだ俺ァ」
何だか何か言い足りない。そんな気持ちでいたらヒル魔に首根っこを掴まれた。あっと思う間もなく軽いキス。
ちゅ。
目を開けるとにやりと悪戯っぽい恋人の瞳。
「テメー嬉しかっただろ」
「何が」
「俺様が迎えてやったからな」
迎えるも何も、寝こけてたじゃないかとムサシはおかしくなった。
「まあ誰もいねえよりはいいな」
玄関先で身を寄せ合う。軽く腰を抱き合って。
「また来てやるからありがたく思え」
「だからいつごろだ」
「気が向いたらな」
「あんまり無茶するなよ。悪さも」
「悪さって何だよ」
「浮気とかだな」
ふっとヒル魔が口をつぐんだ。ムサシの目を覗き込み、笑い出す。ムサシも笑った。
「ばーか」
くすくすと笑い合いながらのキス。
ちゅ、ちゅと繰り返しているとヒル魔が言った。
「テメー魚の匂いがする」
「ああ。かつおだろ」
「かつお?」
「今日の晩めし。たたきだった」
「何だよそんなら俺も呼べよ」
恋人は口を尖らせる。
「お前が電話に出なかったんだろう」
夕刻、ヒル魔くんも誘ったらとの母の言葉。それを受けてムサシはヒル魔の携帯電話に連絡を試みたがツーツーと虚しい音が響くだけだったのだ。
「んじゃ次な。おふくろさんによろしく」
「ああ、わかった」
するりとヒル魔はムサシの腕から抜け出した。泊まりたいという気持ちもあるにはあるがこの部屋に入ったらムサシの匂いに包まれた。六畳の和室はまるでこの男の腕のように温かだった。少しの時間とはいえぐっすり寝入ったしそれで十分だ。この糞ジジイは物足りねえかもしれねえけどな。
「またな。──糞ダーリン」
にやりと悪い笑み。軽い身のこなしでヒル魔は玄関を出る。
見送るムサシの前でドアが閉まった。
──…………
何だかな。
何だかムサシは拍子抜けするような思いだ。せっかくのたまの逢瀬、いちゃいちゃできるかと思ったのに風のようにヒル魔は消えてしまった。
子供のような気持ちが胸にやってくる。つまらねえな、と。
ただすぐにムサシは思い直した。
今日は収穫があった。あの、ヒル魔の寝顔。くうくうとあどけない寝息を立てる金髪頭。
あれが見られただけでも今日はいい日だったというものだ。
──あんなのは
そうムサシは思う。
──俺しか知らねえもんだしな
またも口元がゆるんでしまう。
ムサシだけの特権。
秘密のヒル魔。
──ヒミツのヒル魔、か
そう考えたら、抑えようと思ってもどうもにやにや笑いが浮かんでしまう。
ふわあ、とムサシも恋人のような伸びをした。
──ま、いい日だった
──またな。ヒル魔
心の中でそう呟いて、風呂の支度でもするかと動き出した。
ひみつのヒル魔くん【END】
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