4時限め、もうすぐお昼


 体育倉庫の前を通ったら少し扉が開いていた。あれ、誰かいるのかな。閉めなくていいのかなと覗き込む。そしたら薄暗い中に人影二つ。
 見慣れたモヒカン頭がこちらに背を向けている。あい向かいに立つのは……ヒル魔だ。

 ありゃ。

 ……ちゅーしてる。

 かっと頬に血がのぼってしまった。
 どうしよう、これ閉めた方がいいのかな。
 何だか迷っていたらムサシがヒル魔の肩に顔を埋めるようにした。ゆっくり目を開けるヒル魔。

 わ、こっち見た!

 にやり。
 僕を眺めて、ヒル魔はいつもの悪い笑みを浮かべた。そうっと手をあげて、人差し指を口に当てるような仕草。

 ──はい、わかりました

 心の中で呟いて、そうっとその場を立ち去った。



 ──ごゆっくり。



【END】
 

 
1/1ページ
    スキ