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土方
なんだ新八、さっきから人の手ぇジロジロと……
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永倉
土方さんの指、ほっそりして綺麗だなぁ、って思ってよ
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土方
悪かったなぁ、細くって
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永倉
いやいや、褒めてんだって
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永倉
細いが、女みてぇな手ってわけでもねぇ、こう……なんて言ったらいいんだ……
と、とにかく綺麗なんだよ
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土方
なにムキになってんだ
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永倉
近頃は手の綺麗な男がモテる、って言うじゃねえか。
俺なんてゴツゴツで、ささくれてて、傷だらけで……ほんと羨ましいぜ -
土方
武士の手が綺麗なんざ、自慢できるもんじゃねえ
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永倉
そうかあ?
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土方
最近は、稽古してねぇからな
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永倉
そりゃ、今の土方さんが稽古なんて、そんな暇ねぇんだろ?
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土方
そうだ、わかってんじゃねぇか。
毎晩遊び歩く野郎どもを纏めるだけで、俺は忙しいからな
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永倉
あ……はははっ。ちげえねぇや
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土方
それよりお前、また身体デカくなってねぇか?
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永倉
ふふん、やっぱり土方さんにもわかるか?
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土方
まぁた、下らねぇ事おっ始めてんじゃねえだろうな、新八
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永倉
ひと月で、どんだけ鍛えられるかってのをやってるんだ。
気ぃ抜いて、左之に追い抜かれねぇようにしねぇとなっ
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土方
はあぁ……お前らは、まったく……
気ぃ入れるとこはそっちじゃねえだろうがっ! -
永倉
しょうがねえ、俺は昔っからコイツだけが取り柄なんだ。
"筋肉馬鹿"だからよ -
土方
せめて、脳ミソだけは筋肉にならねぇように気を付けろ
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永倉
へっ、言ってくれるじゃねえか、土方さん
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土方
ったく。呆れるくれぇ、お前のコイツは"馬鹿"だが――
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永倉
おっと……土方さん?
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土方
男としちゃあ、羨ましい……
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永倉
そ、そんなにひっつかれたらよぉ……
このまま襲っちまうぞ?
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土方
ふっ。出来るもんならな、
新八……
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