うちの子語り
創作関連の呟きです。
うちの子の妄想ネタをただ投下していく…。
作品にするには足りない、けど自分が面白い感じ。
うちの子の妄想ネタをただ投下していく…。
作品にするには足りない、けど自分が面白い感じ。
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知らずとも愛することは出来てしまう不幸も在る、
20221226(月)09:27
「そういや逢坂さんの奥さんってピアス片っぽだけ着けてるよね? そういうことなの?」
「いえ。華倉さんはノンケですよ。幸いにも僕のことを好きになってくれましたので一緒にいますけど」
「じゃあ何で片っぽなの?」
「さぁ? 僕は存じませんね」
「逢坂さんでも奥さんについて知らないことあるんだ? 付き合い長そうなのに」
「……まぁ、そう言われると確かに悔しさはありますが、幾ら想いがあろうとそれと相手のことをどれだけ理解しているかは、やはり別の問題ですよ」
「ふぅん? 訊いたりしないの?」
「したような気もしますけど……覚えてないということは多分きちんとした返答は得られなかったんでしょう。あの人の言葉ならまず忘れることはないので」
「お洒落的な意味だけなのかな? 他の意味合いだとしたら……そういや左だったね。逢坂さん多分知ってると思うけど、左は“守る側”だったね」
「……ああ、古代ローマだかギリシアの恋人の俗話ですか。でも僕は華倉さんと同じものは着けてませんよ。そもそも持ってないのですが」
「まぁ揃いのピアスじゃないのはこの際置いとくとして、ふふっ、頼もしい奥さんだね。と思って」
「……まぁ一般論、というか世間的な感覚ではまだそう思えますね。でもその説を支持するとして、間違いではないでしょう。少なくとも僕には異論はないです」
「はぇ、そうなの? 何度か会った印象として対等なのは明白だけど、逢坂さんとしてもそんな感じなの?」
「ええ。今も昔も、華倉さんはずっと“守ってくれる側”ですよ。僕の頼もしい主人(あるじ)です」
「……逢坂さんが言うと全てに説得力ある気がする。何だろこの、有無を言わさぬ感じ」
「脅してるみたいな言い方しないでくださいよ、人聞きの悪い。まぁそもそも、華倉さんのことを“奥さん”って呼んでるの貴方だけですよ」
「えー、初めて会うとき奥さんだって説明してくれたからじゃん!」
「……あー……そう言えば……。でもよくよく考えてみれば、奥さんと呼ばれる位置にいるのは僕なはずなんですけどね。養子に入ったのも僕ですし」
「ほえー、押し掛け女房だ。やっぱ逢坂さん凄いな〜カッコいい! 図らずも馴れ初め聴けちゃった」
「あっ。あー……内緒にしておいてくださいよ。僕まだ冴山さんからエッセイの連載について言われてるので」
「はえ、もう要求しないとか言ってたのに編集長にはやっぱ勝てないのかぁ。分かった! 2人だけの秘密だね!」
「何でそんな嬉しそうなんですか……まぁでもお願いしますね」
++++
・片耳ピアスは同性愛者というサイン
・揃いのピアスを恋人同士で着ける際、右は守られる側、左は守る側を指す
という俗説というか言い伝えみたいなのを基にしたネタでした。「灰界」シリーズ
自給自足アンソロ。
20221124(木)10:41一昨日、別の探しものをしていたのですが、何かいつ作ったのかさっぱり判らないコピー本? みたいのが出て来ましてね。
どうやら華倉さんたちの短編集みたいだったので、ちょっと読み返してみたわけですよ。
(ちなみに目的の探し物はありませんでした)
いやぁ………何てーの………?
一言で表せば………
華倉総受アンソロ?
マジで。
いやほんとに。
びっくらこいたわー……まじお相手全部違う短編が続いてたのだもの……
菱兄ィとまであったのには流石にひっくり返ったわ、文字通り。
多分そういう意図で書いたというか纏めたコピー本なんだと思うけどさぁ……!
何だあれ凄いな!!!!
なのでまじくそ残念なのが「日付が記されてない」こと。
いつ書いたんだよまじで!!!!!!!
この頃の勢いが単純に羨ましいんだが!!!!!!!!()
攻めてるなぁー……俺。
何て言うかほんとやりたい放題だった。
総評すると「ほぼ倫理感皆無」な内容なんだけどさ( ╹▽╹ )
びっくらこいた(2度目)。
でも多分cassis(元ネタ)と灰界(リメイク)の合間くらいの設定なんだよな。
まだ今の灰界ほど設定が確立出来てない頃のやつ。
それが年代としていつなのかは推測すら出来ぬわけだが……あー、だとしても2015年とか2016年とかかなぁ??
微妙にキャラの性格もなんだけど、関係性というかパワーバランスも変だし。
あれは……パラレル的コピー本なのかも知れない……物理的な。
パラレル世界のわたしが書いたコピー本だったらどうしよう…ンフフ
でも読んでて面白かったです。
これくらいの勢い取り戻せたらいいなぁ。「灰界」シリーズ
義理の弟
20221016(日)17:52
「春和、妹さんもいたの?」
茉実(まみ)がふと手を止めたと思ったら、春和に向けてそんなことを訊いて来た。
傍のテーブルで同じように作業をしていた春和は顔を上げ、いないよ、と返す。
そのとき見た茉実の表情はきょとんとしていて、どうして、とでも言いたそうな目をしていた。
話の内容がさっぱり捉えられず、春和は席を離れ茉実の方へ。
「何いきなり」
確かに弟がいる、とは話してある。
その話題を持ち出したとしても、弟と妹を間違えるとは考えにくい。
しかも先刻の茉実の発言は「妹も」だった。
そんな疑問を次々と脳内で巡らせる春和の顔を確かめるように見てから、茉実はその手に持っている名簿を指差した。
「だってこの人、名字が違うでしょ?」
それは来月に迫った結婚披露宴の出席者リスト。
その親族欄に記載されている、弟の名前のことだった。
改めてそれを見て、春和も「あー、」と腑に落ちたような声を漏らした。
確かにこれは勘違いするかも知れない。
「違うよ、それが弟」
春和の淡々とした訂正に、あれ、と茉実は小さく驚く。
茉実にしてみれば結婚相手の弟という存在は、未だ話にしか聞いたことのない詳細不明の人物だった。
どこで何をしているのかすら、春和は多くを語らなかった。
聞きたい気持ちは充分強かったけれど、茉実はそれでも無理に聞き出すような真似は避けていた。
けれどこうして自分たちの挙式に呼び、新郎側の親族として出席するのなら、もう聞いてもいいだろうと判断する。
「どうして名字が違うの? 婿に行ったとか? ……あっ、もしかして込み入った事情が」
茉実はそう矢継ぎ早に訊ねてしまったあとで、はた、と気付いて慌てて口籠った。
義両親となる春和の両親からも、特に告げられていない話題だということを思い出したのだ。
それだけでも言いたくないことである可能性は充分だった。
けれど、別にそうじゃないよ、と春和は答える。
茉実の隣に腰を落ち着けると、こいつさ、と切り出した。
「好きになった相手が男なんだよ。子供の頃からずっと追い掛けてた。で、大学卒業と同時に、そいつの家の養子になるって言い出して」
両親は何とか引き留めようとあれこれ策を講じたけれど、どれも弟の決心を揺るがせるものではなかった。
「うちの親以上に、相手の親の方が説得すんの厄介だったと思うんだけど、それでもとうとう要求通したよ。まぁ、そういう意味では婿に行った、は間違ってないな」
名字の変わった弟の名前に視線を落として、春和は続けた。
本当に無茶をしたものだ、春和は今になっても思う。
自分の両親にだって真っ向から反対されて、一時は絶縁を言い渡される寸前にまでなったというのに。
それでも母親は割とすぐに態度を軟化させ、多くは語らないが連絡は取り合っているらしい。
何てことはない、その習慣があったお陰で、弟は今回春和たちの挙式に出席することになったのだ。
「どうせ呼んでも来ないだろうから、俺は事後報告でいいよって母親には言ってあったんだけど、来ることになったからって、嬉しそうにさ」
少なくとも母親が楽しそうにしていることは見れば分かった。
春和はその母親の態度と、弟からの予想外の返答に、恐らく呆気に取られていたのだ。
そういうことなら無下に断る理由もないか、と。
簡単に事情を伝えて、しん、と静まり返ってしまう。
春和は話が終わりに近付くにつれ、引かれたかも知れない、と心配を募らせていたのだ。
確かに意図的に黙っていた。
ただそれは、後ろめたいとか都合が悪いとかではなかった。
けれど、こんな重要なことを、結婚式間近になるまで黙っていたこと自体は、咎められても仕方ない。
えっと、と春和はわざとらしい言葉で、次の切り出し方を探った。
しかし、茉実から上がったのは笑い声だった。
「……ふふっ。何だ、そういうことだったの」
茉実はそう安堵したように返した。
逆に春和が面食らってしまう始末だ。
茉実は特に大仰に受け取ることもなく、成る程ねぇ、と納得している。
「……気にしない? 平気?」
実際問題、まだまだ偏見は根深いことは春和も理解している。
春和自身は弟の身の上については特に問題にはしていないが、茉実は全く異なった環境で生きて来た相手だ。
その先には、何が見えて来るかは、まだ分からない。
けれど、茉実は頷いてくれる。
「少なくとも、弟さんも幸せに暮らせてるってことでしょ? だったら何もいう事はないよ」
ともあれ一度会ってみたいと思っていた、と茉実は続けた。
それを聞いて、思いの他、春和は深く安堵の念を抱く。
一番緊張していたのは自分だったようだ。
名簿の確認を終え、ファイルにしまいながら茉実は楽しそうに鼻歌を口ずさむ。
「またひとつ、楽しみが増えたな」
そんな茉実の鼻歌が心地好く、春和も無意識に小さく微笑んでいた。
「灰界」シリーズ
こいつらも似てない双子やね
20221008(土)13:23司佐、有佐
誕生日おめでと~~~~!!!
な絵です。
3年前の作品である「生誕祭」冒頭に出したポスターのイメージで描きました。
実際はもっとカッコイイ設定です…はい……()
一応ヴィジュアル系バンドという設定なので、いろいろ考えて描いたつもりだが……訳分からん服着てんな…どうなってんだこれ……アクセとか何付ければええんじゃ……とかそういう邪念(セルフツッコミ?)が作業中ずっとぐるぐる渦巻いておりました。
自分の抱くイメージを具体的に表現するのは本当に難しいです。
それは絵も文章も映像も音楽もきっと同じ苦労が根底にはあるはずです。
下手の横好きという言葉もありますし、まぁ出来る範囲でとにかくやってみる。
どんなに正論吐いたところでやってる奴が勝ちです。
と自分に言い聞かせている。
何となく真面目な話に…。
「惰性」はもうエピソード書かない気がするので…こう、これからも時々でも絵が描けるといいです。
時々なのであんまり上達はしないと思うけど(´・ω・`)
何はともあれ誕生日おめっと~~!!!「惰性ブギー」
ゴリゴリに身分制度の残る現代日本設定
20221006(木)11:44で、考えてみていた作品の試し書き。
現代文明で存続している江戸時代みたいな感じかなぁ(まだぼんやりしたものである)
+++
「続きましては管理ナンバー18、こちらも売りに出されて間もない下男です」
会場内にはマイクを通した経歴を読み上げる声が響く。
大勢の客がひしめく薄暗い会場、その奥の中央の舞台上にはマイクを持った司会の男性と、売りに出された少年の姿が煌々と照らされていた。
司会は持っていた資料に書かれた少年の経歴を全て読み終えると顔を上げ、「では10万円からです!」と高らかに宣言した。
しかし入札する数はまばらで、チラホラと微々たる値段が挙げられるだけ。
13万、15万、最後に出たのは25万円といったところだった。
しかし、複数の声が止んだ辺りで、すっ、と客席は後方、隅の方に静かに座っていた一人の男が手を挙げる。
そして淡々と、しかし会場全体に行き渡る澄んだ声で告げた。
「500万」
一拍置いて、会場内がざわつき始める。
司会も俄には信じられず、手を挙げたままの男に向かって訊き返す。
桁が一つ違わないか、と。
しかし男は眉一つ動かさず、再度同じ声色で「500万」と繰り返すのみだった。
500万円という額を司会も勿論のこと、会場内の他の客も皆誰もが訝しく思った。
舞台に上げられている対象の少年に、そんな大金を出す理由などさっぱり見当が付かなかったのだ。
少年は小柄で細く、実年齢に比べて発育が遅いように見えた。
過去3度ほど売買されて来たようだが、どの家でも満足な扱いを受けて来なかったのだろう。
見た目からしても再度下男として使うのは躊躇われた。
すぐにでも死んでしまいそうな、そんな影を背負っていた。
しかし男は真っ直ぐに、司会者とその少年を見詰めている。
間違いでもなければ、嘘でもないと言いたげな眼差しだった。
司会は念の為会場内を見渡し、他には、と訊く。
しかし競り合おうという声はなく、まだ微かに動揺が見られるだけだった。
一つわざとらしい咳払いをして、司会がマイクを握り直して告げる。
「ではナンバー18の下男は、127番の落札で決定です」
商談がまとまると同時に男は席を立った。
周りの客の中から幾つもの視線が投げられる。
あんな瀕死の少年に500万円も出したのは、一体どこの誰なのか。
「……もしかしてあいつ、東雲(しののめ)家の……」
不意に誰とも分からぬ呟きが囁かれたが、それ以上広まることなく消えてしまった。
「只今戻りました」
静かになされたノックに許可を下ろす。
部屋に入って来たのは、先程少年を競り落として来た男だった。
出迎えた男の方が年が若いが、ご苦労、と労い、ようやく顔を上げる。
「無事到着致しました。今、舞衣子(まいこ)が風呂の世話をしています」
報告を受けた方――主人が静かに頷く。
それから引き出しを開け改まった声で、額は、と訊いた。
男は携えていた書類一式を主人に手渡した。
「入札額10万から、か。馬鹿にされたもんだな」
流し読みとは言え、最後まで目を通して出た感想だった。
「充宏(みつひろ)様」
やや怒りの込められた冷笑じみた笑みを零した主人に、男が控えめに声を掛ける。
その表情には少しだけ戸惑いが見られたが、男は続けた。
「指示された通り、500万以下でしたので……満額置いて来ました。しかし本当に宜しかったのですか、500万も出してしまわれて?」
事前の調査もした上で参加した競りではあった。
何年もこき使われて大した見返りも貰えず、満足に働けなくなった途端売りに出される。
そんな家畜のような人間に大層な額はつかない。
それは承知していた。
しかし主人である充宏は、それでも500万という金を用意したのだ。
必ず買って帰って来させるために。
「……こんなボロ布(きれ)同然の小僧に10万の値がつけられたことの意味を考えれば、当然のことだと思うが」
書類を置き、充宏は答える。
「心配するな淑基(としき)。今は信じられないだろうけれど、この判断が正しかったと分かる日は必ず来る」
そのための500万円という額でもある。
充宏はそう、臆することなく言い切った。
主人の堂々とした振る舞いに、淑基もようやく落ち着きを取り戻した。
はい、といつもの柔らかい笑みをその口元に湛えた。
「充宏様、淑基様。いらっしゃいますか?」
話が一段落ついたタイミングで、ドアの向こうから舞衣子の声がした。
いいぞ、と充宏の声に、恭しくお辞儀をしながら舞衣子が顔を見せた。
「身繕いが整いましたので、お連れ致しました」
「ありがとう」
そう答えた充宏の前に、舞衣子はその少年の手を取って連れて来た。
汚れや泥以外にも垢やフケに塗れていたその姿は、見違えるほど見栄えするものになっていた。
虚弱、不健康な体格は変えようもなかったが、その瞳と顔付きは確かに「格」を感じさせるものだった。
充宏はどうしようもない懐かしさと、同時に怒りと哀れみとに情緒を掻き乱されそうになる。
けれど、これはまだ始まりに過ぎないのだ。
自分の仕事は少年を見付け保護することでは終わらない。
寧ろこれからが本題である。
「西京院胤春(つぐはる)、だね?」
居心地も悪そうにそわそわと落ち着かなかった少年が、そう呼ばれた瞬間に目付きを変えた。
充宏を警戒、または威嚇するかのように睨み付けている。
しかし充宏は動じない。
出来得る限り優しく微笑み、丁寧に自己紹介をしてやる。
「俺は東雲充宏という。幼い頃、丁稚(でっち)として西京院家で世話になった者だ」
え、と少年がやや警戒心を軽くする。
その少年の眼差しに、充宏は在りし日の当主の面影を見る。
「お前を見付け出したのは他でもない。非業の死を遂げざるを得なかった西京院要(かなめ)氏の仇を取り、そして、潰された西京院家を再興させるためだ」
充宏の言葉に、淑基も舞衣子も頼もしさを感じさせる笑みを見せる。
しかしただ一人、西京院胤春だけは怪訝な顔付きのままだった。
+++
(残念ながらBLではないです)ネタメモ