うちの子語り
創作関連の呟きです。
うちの子の妄想ネタをただ投下していく…。
作品にするには足りない、けど自分が面白い感じ。
うちの子の妄想ネタをただ投下していく…。
作品にするには足りない、けど自分が面白い感じ。
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でもその内誰かが「せんじ」って呼び始める()
20231116(木)13:19昨日投下した台詞ネタで決まった(?)、真鬼さんの人間用氏名。
篠宮千次(かずつぐ)。
まず読みが先に出て来て、人名の際に「かず」と読む漢字には何があるのだろうと検索しました。
色々あるんですが、個人の趣味(思考の癖みてぇなもん)でどうしてもまず「和」を使いがちなのでそれは避けたくて調べたんですけど。
シンプル過ぎて「一」の存在を忘れていましたね。
いやー吃驚吃驚。
一覧に出て来て「そーいえばー」なんて思う始末だ。
で、その中でさほど難しくなく、漢字自体は見慣れているけど、読み方がムズイ。みたいな組み合わせで適当に並べてみたところ、
「 千次 」
って良さげだな、と。
完全に適当且つフィーリング。
儂はちょっと古風な堅い感じの名前が好きなんだ。
女性には難しい4文字の名前って男性の特権(語弊ありそうですが)だなって創作する者としてずっと思っている。
使える字数が多いので、作れる名前のバリエーションも広がるじゃんすか……。
結構好きなんですよ、大五郎みたいな古くさい名前。
真鬼も多分そういう、古風な趣のある、且つちょっと知的な要素も垣間見られる名前だったらいいんじゃねぇかと思いまして。
魅耶やんが真鬼の戸籍取得の際に使った過去の捏造がどんな内容かまでは考えてませんけど。
戸籍を作るというだけだと、名前自体はずっと使っていた(一般的には生まれたときにはその名前をもらっていたはず)ということになるのだけど、真鬼は今回どうしたんだろうか。
つうかこいつマジ身分証明書とか一切必要ないだろうからどうしてたのか……。
使うとしたら篠宮の家が提出する確定申告とかの書類に書く従業員名簿とかだよな~~~。
と改めて細かく考えると決めなきゃならんことあり過ぎるので、気が向いたらお遊び程度に考えてみよ。
で。
見てたサイトが子供の名付けとかに関連するところだったので、リンクがあるわけですよ。
字数とかそういうの。
見付けちゃったわけですよ。
姓名診断。
ちょっとノリで「篠宮千次」調べてみたら、こんな結果が出ましたよ。

要するに性格と人当たりはいいけどその他諸々は全部駄目、という結果です。
理解した瞬間爆笑してしまった。
あまりに真鬼というキャラクター設定が反映され過ぎていた。
こんなニアピンな結果出るんだ!!? って同時に嬉しくなった。
名付けるべくして決まった名前だったな……。
そうなんだよ、真鬼は鬼(妖怪)の割に性格も悪くないし、他の存在との付き合い方もうまい。
でも基本的には報われない、恵まれてない星の下に在るんだよね。
ほんとこの診断、限りなく正確さを突いてる……吃驚したけど感動したのでもうこの名前でいく。
という渡琉さんの悪ノリですので、この場合案を出してくれた小町と広政は何も悪くないです☆彡()
しかし今後、わたしがこの名前を本編で使うかどうかは分かりません。
書くとなっても数年後とかで、決めたことすら忘れてる可能性もあるからね。
このネタだけでも残しておこうな…。「灰界」シリーズ
免許証取りました報告。
20231115(水)12:56華倉「おぉー……」
魅耶「本当に作ったんですね」
真鬼「それはそうだろう。これで万一の際の保険にはなる」
華倉「この名前誰がどうやって決めたの? ていうか何て読むのこれ?」
真鬼「千次(かずつぐ)だ。結果的に小町が決めた」
華倉「何で??」
真鬼「菱人には自分で考えろと言われてたがどうにも思い付かなくてな。試しに広政に話を振ってみたら最終的に小町と一緒にこの名前を持って来た」
魅耶「変ではないけども何かこう、あれですね。ヲタク的なニオイは感じ取れるというか」
華倉「真鬼としてはどうなのこれ」
真鬼「別に……正直に言えば何とも思わない。これが可笑しくないというのなら、それでいい」
華倉「いいんだ……」
魅耶「多少の読みにくさ、読み慣れなさは否めませんが」
真鬼「そうだな、強いて言うならもう少しありふれたものでも良かったが、折角決めてくれたものだ。有り難く使わせてもらう」
華倉「かずつぐ、か……覚えられるかなー」
魅耶「華倉さんは別に覚える必要ないでしょうに」
華倉「そうでもないよ魅耶。これで真鬼は完全に俺の身内だよ。場合によってはこの名前で呼ばないと逆に怪しいでしょ」
魅耶「……あー」
真鬼「それはそうだな。菱人も子供たちにそう教えていた。私があの家で厄介になってもう長いからな……今更、という後ろめたさも否めない」
華倉「真鬼は生真面目だよな」
魅耶「鬼の性格も個体差によりけりですねぇ」
華倉「そういえば……俺が第三者と真鬼について話をすることはないとは思うんだけど、万一“千次さん”の身の上話になった場合はどこまでなら話していいわけ?」
真鬼「あー……それはそうだな。魅耶に教えてもらってくれ」
華倉「? 何で?」
真鬼「戸籍を作る際提出した就籍申請書に、簡単だが経緯を記したんだが」
華倉「……あっ」
魅耶「作り話を売って収入を得ていますので、それっぽい過去を捏造しておきました」
真鬼「何も知らない容子が読んでうっかり信じ込みそうになったから、菱人と2人で詳細まで説明したぞ」
華倉「……プロってすげー……じゃなくて! 容子さんって真鬼のことどこまで知ってんのそういや?」
真鬼「殆ど知らなかったと思うぞ。私は容子にとっては自分が嫁いだときには既に菱人と一緒にいた存在だからな、身内だからと余計な詮索もせず」
華倉「……大らか過ぎて逆に心配になって来るな……」
魅耶「寛大な人ですね本当に」
真鬼「何なら容子が見たものと同じものを渡すが読むか?」
華倉「えっ、あの、それ…………」
真鬼「どうした?」
魅耶「あー、大丈夫ですよ華倉さん。ホラー要素は全くないです」
華倉「あっ……ほんと?」
真鬼「何だお前、怪談話が駄目なのか?」
華倉「うん、だから未だに魅耶の作品読んだことなくて。魅耶が作ったって言うからちょっと身構えちゃった」
真鬼「リアリティ、というものはあるがそうだな、怪異の類はないぞ」
魅耶「どうぞ華倉さん、安心してお読みください。少しだけヘヴィーですけど」
華倉「その一言要る??」
++++
何故かハードル上げる魅耶さん。
(恐らく作者としてネタバレしたかったのだと思われる)「灰界」シリーズ
じゅういちがつ じゅういちにち
20231107(火)15:03隼人「言うてもただ数字の並びがお菓子の形状だからってんなら何もポッキーとプリッツだけじゃなくていいじゃんすか? そもそも何でトッポは該当しないんすか?」
浅海「単純にメーカーが違うからだろうが」(ポキプリ→グリコ、トッポ→LOTTE)
魅耶「ではポッキープリッツ以外なら何が妥当だと?」
隼人「アスパラガスビスケットとか」
華倉「しっっっぶ!!! どこのオヤジ!?」
隼人「えっ駄目すか?? シンプルに旨いじゃん??!」
魅耶「そうだけどそうじゃなくてですね」
浅海「亜紀にゃん何かある?」
亜紀「ここでわたしに振るの? ……きなこ棒とか?」
浅海「おばあちゃん家か?」
亜紀「確かに地味だけど! しょうがないでしょ好きなんだから! ていうかきな粉が!」
裕「きな粉かぁ」
隼人「あとは何だ〜……ねじり棒ゼリー?」
魅耶「駄菓子大喜利を始めたつもりはありませんが」
浅海「懐かしさに眩暈してきたな。まだ有んのあのゼリー?」
魅耶「もう駄菓子コーナー見ることないですからねぇ」
隼人「色んな案聞いてて思ったんすけど、あれって結局ポッキーゲームが醍醐味だから、やっぱ幾ら棒状でも食いづらいのは駄目くないすか?」
華倉「……少なくとも菓子メーカーはそんな下世話なこと考えてないと思うぞ」
魅耶「そもそも何故わざわざポッキーを挟む必要があるんですか? そんな一手間要ります??」
浅海「あのドキドキ感を楽しむんだろうが」
魅耶「では榎本くんは待てるんですか?」
浅海「待たない」
(※この時点ではまだ誰も付き合ってない)
裕「俺は純粋に菓子をそんなことに使ってほしくないんだが?? ポッキーに謝れや」
華倉「食いもんで遊ぶなと……」
亜紀「坂下くんてそういうところお行儀いいよね」
裕「つうか話してたら単純にポッキーもプリッツも食いたくなってきた」
浅海「んじゃ帰りコンビニ寄ってく?」
裕「いや、スーパーの方が絶対的に種類も数も多いし何より安い。今日は元々寄るつもりだったし何ならアスパラガスビスケットもきな粉棒もねじり棒ゼリーも食いたい」
浅海「じゃあ俺荷物持つわ」
魅耶「たまに死ぬ程ほんわかしたやり取り見せてくれますよね貴方たち」
隼人「となると、ここはやっぱ間を取って、永遠の厨二病ココアシガレットで手を打ちますか」
魅耶「手打ちて何様なんだアンタは」
華倉「厨二の代表格なんだ……」
裕「まぁ誰かしら1人はやってるもんな、どんな時代も。多分」
浅海「意外と篠宮やってたりしてんじゃね?」
華倉「ばっ!!! さすがにやんないよそれは!!!!! 何てーか……グレてる場合じゃなかったし……うん」
魅耶「華倉さん、そんな正直に説明しなくてもいいんですよ」
浅海「うん、そこまで興味ないし」
裕「じゃあ茶化すのやめてあげろよ……」
隼人「……逢坂さん逢坂さん」(小声)
魅耶「何です?」(小声)
隼人「さっき浅海さんが会長茶化したとき、亜紀にゃん先輩絶対動揺しましたよね??」(小声)
魅耶「分かっててもそれ絶対言っちゃ駄目ですよ。誰にでも黒歴史の1つや2つは付き物です」(小声)
隼人「……会長はほんとにやってないんですか? ココアシガレット」(小声)
魅耶「やってません」(語気強め)
華倉「魅耶どうしたの突然?」
+++++
亜紀にゃんのナイスバディ(死語?)はきな粉のお陰かも知れんな^^
(いきなりIQ3になる渡琉さん)「灰界」シリーズ
【パラレル】知らぬが花
20231031(火)12:57今回も最高の出来だった。
少なくとも華倉にはそう思わせるだけの内容であった。
余韻を噛み締めながらシアターの出入り口を潜り抜ける。
ロビーの照明自体もそれほど強くはないが、シアター内と比べたら煌々と感じられた。
此処は小さな映画館だ。
華倉が物心つく頃には存在していたし、それこそ全盛期はシアター数も多く、多くの客で賑わっていた。
しかし現在は近くに大型複合施設が出来、その中にある新しい劇場に客の大半を取られてしまった。
それでも街に馴染んだこの映画館は今も細々と営業を続けている。
新しい映画館の方ではやらない作品を上演してくれることも多々あり、華倉は今もこちらの映画館によく通っていた。
今日観に来ていたのもマイナーな作品である。
華倉の好きな監督の12年ぶりの新作映画だった。
相変わらず内容も演出もクセが強く、コアのファンにしか刺さらない独特な雰囲気だった。
華倉はそれが好きだった。
そしてそんなマイナー映画を上演してくれる、この映画館も大好きだった。
入場前に買ったコーヒーは、飲み切ることなく出て来てしまった。
一旦ロビーのベンチに腰を下ろし、冷め切ったコーヒーを空にする。
空いたカップを見て、改めて温かいやつを買おうと決めた。
つい2時間前に来た売店で、同じものをもう一度購入する。
それを片手にそのまま真横へ移動した。
ささやかながらグッズ売り場が設けられている。
そこにはこの映画館で一番人気(要するに世間的にも大人気)の作品のグッズを中心に幾つか商品が並んでいる。
その中に混じって、現在上映中の作品のパンフレットが一通り揃っていた。
あった、と華倉は小さく呟く。
先程観終えたばかりの映画のパンフレットも置かれていた。
そもそも発行部数が限られていて、そのくせ分厚く値段もそこそこする。
しかし華倉のようなコアなファン層が一定数存在するため、確実に捌ける部数が見込める。
よって、新作が撮られるたびにパンフレットも販売される。
しかも最後の1冊であった。
セーフと思いながら華倉は顔を上げ、1人でレジを担当している店員を呼ぶ。
しかし。
「このパンフ」
「くださ」
自分の横からもう1人、誰かの声がした。
しかもその声の主もまた、華倉が求めているパンフレットを指差している。
被った声と指差す対象物。
そのまま視線を上げ、え、という声と共に相手を確認した。
知らない男性だった。
まだ若い、自分と同年代くらいの男性だ。
「あ、いや、どうぞ」
その男性に、先にそう声を掛けられた。
しかし華倉も手を横に振り、こちらこそどうぞ、と謎の返答をする。
「そちらの方が早かったでしょうから、どうぞ」
「いえいえそんなことないです。俺の方が後でしたし」
「えー、でもそんな出来ないです」
華倉は知っているのだ。
この監督の撮る映画のパンフレットがどれほど貴重なものか。
購入するファンはまず手放さない。
初めから数が少ないのだから、探そうにもまず出回らない。
こうして映画館の売店で買うことのみが唯一の入手手段と言ってもよかった。
恐らく相手の男性もそれを分かっている。
同じ気持ちゆえに、相手に譲りたくもなるのだ。
そんな譲り合いを続けること十数分。
二度その場を離れた店員を再度呼び、2人は半額ずつ出し合って1冊のパンフレットを購入した。
「やべー、まじ熱量やばい」
「構想に8年かけてる……さすがブロウキン」
「は〜〜……あのシーンこんなことになってたんだ」
「でも前作より予算増えてんじゃん」
「50万が多いのか少ないのか相場が分かんねぇ」
2人はそのまま映画館近くの広場まで出ると、当然のようにベンチに座りパンフレットを広げた。
それから各々感想を一方的に喋り続けること、30分は経とうとしていた。
華倉はその合間を見て男性の名前を聞いた。
彼は坂下裕という、大学生だった。
華倉より後にシアターに入場してきたため、華倉は同じ回を観ていたことに気付かなかった。
裕も同じようにこの監督の作品が好きらしい。
今日は講義を受けたその足で映画館へやって来たのだと言う。
「本当にブロウキン監督はこういう演出好きだよなー」
「今回その手の内容じゃないのにやるんだ? ってなったよな」
本当に同じ映画を観て来たのだろう、驚くほど話が通じた。
華倉はそのことだけでも喜びのあまりそわそわしていたのだった。
今まで好きな映画について語り合える相手がいなかった。
隼人はそもそも映画があまり好きではない。
他に友人と呼べるような相手はいない。
それに監督自体がマイナーである。
そんな華倉の前に、突然現れた裕はもはや奇跡と呼ぶに等しかった。
「……はー、最高」
「それに尽きるな〜」
ぱたむ、とパンフレットを閉じ、裕がしみじみ感じ入りながら零した。
華倉もまた深く頷いて裕の意見に同意する。
マイナーでも何でも、好きな者から見れば最高の作品なのだ。
2人でこんな場所で見る流れになってしまったため、本当にざっと目を通すだけになってしまった。
家に帰ってじっくり読みたいと華倉が思うくらいだ、裕とてきっと同じことを考えている。
パンフレットをレジ袋にしまいながら、さて、と裕が切り出す。
「……部屋は片付いてる?」
「は??」
てっきり「どっちが持ってるか」と訊かれるだろうと考えていたせいで、華倉はそんなとぼけた声が漏れた。
部屋、と小首を傾げる華倉に、裕はパンフレットを大事そうに両手で抱えて続ける。
「折角買ったんだ、勿論保管にも気を遣うだろ? だったらより部屋が片付いていて、綺麗な場所にこのパンフも置かれるべきだと俺は思っている」
正直持って帰りたいのはやまやまだ、でもそれは華倉も同じだろと裕は言う。
華倉は素直に頷いて、裕の話を聞いていた。
「恐らくこのパンフは今後幾度と開かれる。開かれる度に傷んでいくけど、だからこそ保管場所くらいはいいところを選びたい。ってことで、部屋綺麗?」
裕にそう問われ、華倉は暫し考える。
基準が分からないのが本音だった。
隼人と比べれば片付いている方だろう。
けれどその他の人の部屋というものがさっぱり分からない。
「逆に坂下んとこは?」
「……んー」
華倉に問われ、裕も一度目を瞑って考えている。
それから、あー、と何かを思い出したようにこう言った。
「うちは勝手に物漁る同居人がいるんだわ……そう考えると不安だな」
むう、と眉を顰める裕。
それだけ聞いた華倉は勝手に『猫でも飼ってるのか』程度に考えていた。
結局それが決め手となり、パンフレットは華倉は持って帰ることとなった。
「悪いな、一緒に買ったのに……データコピーとか出来たらいいのにな……」
「気持ちは分かるけど、一介の消費者としては全力で止めるぞ」
はははと笑い、裕は続ける。
「いいよ、またこうやって一緒に見て語り合ってくれれば」
それはとてもナチュラルに交わされた、「次の約束」だった。
取り敢えず連絡先とスマホを出そうとする裕に、華倉は思わず抱き着いた。
裕には何てことのない、よくあるやり取りだったのだろう。
おわっ、と本当に驚く声を出していた。
しかし華倉にとっては、これは一大事だった。
初めてプライベートで出来た「友達」だったのだ。
「っ、有り難う……坂下、っ!」
「え? はは〜、大袈裟だなー」
そんな華倉の心境を、裕が知るはずはない。
けれど「滅多にいないマイナー映画監督ファン」という点で見れば、裕にとってもまた嬉しい出会いだった。
連絡先を交換し、その日2人はその場で別れた。
***
「ただいま」
玄関を閉め、施錠する。
裕は返事がないと分かっていてもリビングに向かってそう告げた。
電気は消えている。
リビングに入り同時に電気を点けると、ソファーには人影があった。
しかし眠っているのか裕の気配にも動じない。
裕も特に気に留めず、そのままリビングを抜けて自室へ向かおうとした。
しかし。
ソファーの前を裕が通り過ぎるより前に、ソファーに寝ていたその人物が飛び起きる。
無言のまま、裕の袖を荒っぽく掴んだ。
「ん? やっぱ分かるんだ?」
裕が薄く笑いながら、袖を掴む相手を見る。
相手は驚いたような、やや動揺していながらも興奮も混じったような息遣いになっていた。
それほど強い匂いなのだろう。
裕は静かに相手の手を解き、今日なぁ、と話し出す。
「出くわしたんだよ。同じ映画館で、同じ映画見てた。ラスイチのパンフ一緒に買って、思いっ切り語ってきた」
俺も驚いたよ、と裕は笑う。
いつもならこの辺で相手も1つ2つ何か言ってくる。
しかし今回は黙ったままだ。
その表情には緊張感も見られる。
圧倒されているのだろうか、裕はふと思う。
確かに匂いは充分強く付いているだろう。
「めっちゃ意気投合してさ、気付いてないのかこっちのこと何も警戒してないし、しまいにゃ抱き着いて来てさ」
お前もこんなに強く匂いを受けるのは初めてなんだっけ、と裕は確認するように言う。
まだ自分は耐えられるが、“一介の妖怪”には少々キツいらしい。
裕はソファーの上でまだ動けないその相手と目線を合わせるようにしゃがみ込み、続ける。
「連絡先交換して友達になっちゃった。憂巫女と」
本当にあれが、かの憂巫女なのかと疑うほどに呆気なく。
鬼神創鬼の生まれ変わりである裕は、憂巫女の匂いに眩暈を起こす同居人にそう告げた。
+++++
BLじゃなければ華倉と裕くんはマブダチになった可能性滅茶苦茶あった。
まぁでもしょんないね。
元々BLで始めたストーリーだからね。
パラレルの裕くんは4年制大学の保育科に通っています。
本編同様短大→就職でも良かったんだけど、となると折角華倉と友達になったのに遊ぶ暇ないじゃん! って気付いたので4年制になりました。
20歳くらいです。ネタメモ
パラレルのワンシーン
20231011(水)19:57
「逢坂魅耶には掠り傷1つ付けない」
俯いたままだった華倉の頭上から降って来る、唐突な魅耶の声。
華倉が顔を上げるも、魅耶は先程から殆ど姿勢を変えず、窓の外を眺めたままだ。
しかし華倉の動きを察したのか、魅耶は一度軽く目を伏せると、その状態で続ける。
「真鬼が覚醒したときに、僕が彼に取り付けた条件です」
逢坂魅耶の肉体を媒体としてしか、真鬼はその存在を現すことが出来ない。
魅耶の意識を乗っ取ろうにも、何かが邪魔をして幸いにも未だ叶わずにいる。
真鬼は妖怪という種を守るためにどうしても闘いたいと言った。
人間の容れ物でしか動けないのは癪だったが、今はそれしか手立てがない。
真鬼は魅耶に取引を迫った。
その肉体を自由に使わせてくれるなら、何でも承諾すると。
だから魅耶は返した。
『僕という存在に、何1つ傷を残さないでください』と。
そこまで説明して、魅耶はやや冷めたハーブティーに口を付ける。
少しぬるいくらいになってしまったようだ、と言いたそうなしせんを落として。
そんな魅耶の横顔を見詰め、黙ったまま話を聞いていた華倉が、暫し間を置いた後、開口する。
それは。
「それはひょっとして……遠回しに、闘うな、って言ってません?」
華倉の問い掛けに、魅耶は華倉の方を向き、にこりと笑う。
正解です、と魅耶は返した。
けれど実際はどうだ。
華倉は魅耶の肉体を媒体に、その力を現す真鬼と、もう幾度となく交戦している。
妖怪という種を絶滅させると意気込む華倉に対抗するために。
今も真鬼は、休んでいるのか眠っているのかは分からないが確かに魅耶の肉体の中に潜み、恐らくこの会話も聞いているだろう。
それでも魅耶は話をやめない。
動揺する華倉に気付きながらも、取り繕う素振りも見せず、淡々と続けた。
「僕にはたまに、数時間の一切の記憶がないときがあります。不定期に幾度も。恐らくというか間違いなくその間、真鬼が表面に現れ、僕を完全に沈黙させているのでしょう」
気付いたらベッドで横になっている。
一切の記憶がない直後の状況は、いつも同じだった。
不思議なのは、と魅耶はハーブティーのカップを置き、また視線をやや手元に落とす。
「どこも痛くないんです。勿論傷もない……それこそ本当に掠り傷すら見当たらない。何なら逆にそれまでの疲労まで解消されているかのような、深い眠りから醒めた感覚で起きるんです」
今までの華倉の話が事実ならば。
真鬼は魅耶の肉体で、相当のダメージを負っているはずであった。
華倉が付けた刀傷も、交戦時にぶつけただろう痣も、疲弊したはずの筋肉も、何1つ症状が見られない。
ダルさがあるときなら稀にありますけれど、と魅耶は付け加えてみたが、大したフォローにはならなかった。
「だからと言って真鬼が何の影響も受けていないとは考えられません。これは僕の推測でしかありませんが……真鬼は僕の肉体が負った外傷や疲労も全て引き受けている状態なんだと思います。どういう理屈かまでは理解が及びませんが」
しかし真鬼は人間などとは大きく異なる存在だ。
一介の人間である魅耶には想像も付かないような業(わざ)も難なくこなすのだろう。
それこそ人間の持つエネルギーを抜き取るような真似事など。
推測とは言え魅耶のそんな言葉に華倉が何も返せず黙り続ける。
華倉は勘付いていた。
魅耶のそれは強ち外れてもいない。
だとすれば。
「現状の真鬼は、こちらが思っているよりも、疲労困憊……もしくは、満身創痍か」
その可能性は充分に考えられた。
魅耶からの話は済んだらしい、その後は暫く互いが沈黙していた。
華倉は受けた話を理解するために。
魅耶はほぼ冷め切ってしまったハーブティーを、それでもゆっくりと味わうように。
「……、何で」
それからどれ程経ったのか、2人がそれを気にすることさえ忘れた頃、重たい口を開けて華倉が声を発す。
魅耶はカラになったティーカップを置き、はい、と返事をする。
おおよそ華倉からの言葉は見当が付いた。
何で、そんなこと
「何でそんな大事なことを、わざわざ教えてくれるんですか……?」
真鬼が聞いているかも知れないのに。
幾ら魅耶がまだ真鬼に呑まれていないからと言えども、力の差は明らかに真鬼が勝っているのに。
敵対している華倉に対し、弱点とも捉えられそうな情報をくれるのか。
そんなことをして万一、華倉が本当に真鬼を討ち取ることにでもなったら、それこそ魅耶にまで危害が及ぶのでは――
そこまで自分で考えて華倉はハッとなる。
まさか、まんま「それ」が目的だったのでは、と。
そして自分はいともたやすく、その罠に嵌まってしまったのではと。
しかし魅耶は少し愉快そうな緩い笑みを口許に作り、頬杖を付いて華倉を見詰める。
そこに敵意は感じられなかった。
魅耶本人からすれば、華倉は無関係なのだ。
あくまで華倉と敵対しているのは真鬼である。
魅耶の意識が明確な今、彼の瞳に敵意がないのも当然だ。
ならば、その笑みは何なのだろうか。
様々な可能性を幾つも脳裏に沸き上がり、勝手に警戒して、華倉はやや固い表情で魅耶を見返す。
しかし魅耶は相変わらず微笑んだまま。
これは煽られているのだろうか、とも思えてしまうほど、魅耶からは緊張感すら感じ取れない。
「……どうしてでしょうね」
暫しそんな滑稽な睨み合いが続いたと思ったら、ふと魅耶が口を開いた。
頬杖を付いてカウンターテーブルに寄り掛かった、楽な姿勢のまま。
恐らく彼の言葉は本心だった。
だから尚のこと華倉にも理解が出来ずにいた。
「貴方には伝えておくべきかと、心のどこかでずっと考えていたんです。その理由がはっきりしないので、これ以上の説明は出来ないのですけど」
それがとても残念です。
魅耶はそう、最後だけとてもはっきりとした笑みを作った。
嬉しそうというよりかは、肩の荷が1つ下りた、そんな安堵したような笑みを。
++++
パラレルは殆ど魅耶さん出て来ないですけど、全く絡みがないというわけではない。
割と早い段階で「真鬼=魅耶」というのもバレるし。
魅耶は一応華倉が働いてる叔母のカフェの常連って設定ではある。
今回のシーンは、確か思い付いたときは「ラストシーンだな?」って感じだったはずなんですけど、この書き方だと思っ切り中盤ですね。
この辺が折り返しだ~~~くらいの。
何故。
しかしまぁ、パラレルは今後も書けないでしょうので……気になる方はどうぞ各々妄想してください。
1つ言うなら「お互い他人行儀で話してる華倉氏と魅耶やんめちゃ新鮮」くらい。
めっちゃよそよそしい。
わたし(作者)自身も。←キャラに対して。ネタメモ