うちの子語り

創作関連の呟きです。
うちの子の妄想ネタをただ投下していく…。
作品にするには足りない、けど自分が面白い感じ。

記事一覧

  • 勢いで続き書いとく

    20200515(金)15:37

    「ど、どういうこと? 最鬼って2人いるの?」

     華倉は話の内容が理解出来ず、それ故に不要な恐怖心を抱きながらそう訊ねる。
     真鬼は小さく息を吐くと、そうではなく、と分かりやすく言い換える。

    「今篠宮本家で保管しているのは最鬼の精神(なかみ)だ。勿論最鬼であることは間違いない。けれど今回、瀧崎本家の地下に、私が殺したはずの最鬼の肉体が保存されていた、ということになる」

     真鬼の説明を受け、そういうこと、と華倉は何とか理解した。
     しかし、それが、と今度は魅耶が口を開く。

    「それが、憂巫女の呪いを解くことを保留することと何の関係が」

     魅耶の問いに、真鬼は「大問題だ」と返した。

    「今まで人間に憑依しながらとは言え、最鬼は分離した自分の精神と肉体を何度も合わせて来た。これは再び一体化するための他ならない。四〇〇年前、相当に手こずった相手に……また目覚めて貰っては困る」

     榎本唯一の身体を借りて、最鬼の精神は己の肉体に接触していた。
     肉体も本来の主である精神の存在に気付き、次第に呼応するようになる。
     再び覚醒するまで、もう時間は掛からないはずだ、と真鬼が苦しそうな息遣いで零した。

    「そうでもなったときに、憂巫女が存在しないということが、どれだけ絶望的な状態になるか。確かに憂巫女は妖怪にとって最高の食材だ。けれど同時に、妖怪を確実に抑え込むことの出来る力を持っていることも事実だ」
    「……最鬼の覚醒が、それほどまでに迫っている、ということですか」

     あの真鬼が、ここまで言うのだ。
     まさか、と思って話を聞いていた魅耶だったが、考えを改めて、そう訊ねた。
     真鬼からの反応はなかった。
     皮肉にも、それが確かな返答になってしまった。

    「……さ、最鬼の覚醒を防ぐ手段は……ないの?」

     弱々しくて情けなく思いながら、華倉はそう誰にともなく、その場へ投げかけるように口を開く。
     腕を組み、ないことはないが、と真鬼が答える。

    「勿論、最鬼の精神を殺す方が確実に安心だ。けれど、最鬼の肉体に別の妖怪が乗り移って暴れ出す可能性も否定し切れない。絶対の策を選ぶなら、やはり精神も肉体も、殺してしまうに越したことはない」

     真鬼の話を受け、あー、と華倉も不本意ながらも納得した。
     それはそうだろうな、と思いたくなくても思ってしまう。

    「その話、菱兄ィには……」
    「いや、まだしていない。出来れば菱人には知らせずに最鬼を始末出来たらと、先にこちらへ」

     そう、と華倉は答える。
     確かに真鬼の気持ちも分からなくはない。
     菱人の悲願とも呼べる今回の計画。
     華倉にも弟としても、現世の憂巫女としても、これ以上菱人の手を煩わせたくない気持ちがあった。

     けれど。

    「そう上手くは行きそうもありませんね」

     魅耶が冷静にそう発した。
     真鬼も気付いているのだろう、ああ、と浮かない表情そのままに続ける。

    「肉体の呼び掛けに精神はどうしても呼応する。そうすれば……篠宮本家に在る精神が何をするか分からない。嫌でも菱人にも気付かれる」

     いや、もう気付いているのかも知れない。

     真鬼のそんな小さな独り言が、覇気なく地面に落下した。
     暫しの静寂の後、分かった、と華倉が口を開く。

    「とにかくその話を菱兄ィに伝えよう。何も起きなければそれがいいけど……何かあってからじゃ怖いし」

     華倉には正直、最鬼がどれほどの化け物なのか、よく分からない。
     想像は出来るけれど、恐らく、その想像を遥かに上回る化け物なのだろう。
     真鬼がこれほどまでに憂慮する様を見る羽目になるほどに。

    ネタメモ

  • 終われなくなりそうなので途中でやめる

    20200515(金)14:58
    「鬼様鬼様ー」

     パタパタと大きな足音を立てて天井を走って来るときに呼ばれ、魅耶は顔を上げる。
     はしたないですよ、と洗濯物を畳む手を止め、魅耶はときを軽く諌める。
     ごめんなさい、とときは会話の一部のようにすんなり謝ると、でもね鬼様、と続ける。

    「鬼さんがいるの」

     そう、天井の上を指差すように、ぴっと人差し指を立てた両手を頬の近くに掲げ、ときが言った。
     鬼さん、と一瞬何のことなのか分からずときの指差す方を見上げる魅耶。
     天井、の、更に上。
     魅耶ははっと気付くと、洗濯物をそのままに、そのまま縁側へ向かう。

     庭へ出て、屋根の上まで見える位置まで後ろ向きに歩く。
     その姿を見つけると、真鬼、と魅耶は名を呼んだ。

    「真鬼でしょう? どうしたんですか」

     陽射しを遮るように、手で陰を作って、魅耶は屋根の上に座る男に続けた。
     その声にゆっくりと顔を見せる真鬼。
     しかし、その動作はどこか遠慮がちだった。

    「どしたの魅耶?」

     別の部屋でしていた仕事を切り上げたらしい、華倉がふと廊下の奥から顔を出した。
     庭に出ている魅耶に気付いたらしい。
     しかし、魅耶がそんな華倉の問い掛けに答えるより早く、その影が空から降って来る。

     目の前にいきなり現れた人影に、さすがに華倉は「ぎゃっ!」と声を上げる。
     身体からやや遅れて、その真っ直ぐに黒い長髪が、ふわり、と落ちてくるのが確認出来た。
     顔を上げる男に、華倉も「真鬼?」と呼び掛ける。

    「来るなら連絡下さいよ」

     あんたはどうしてそういきなり、と魅耶が小言を始める。
     現在、菱人の部下として篠宮本家で過ごしている真鬼は、それ故に菱人の使いとして何度かこうして総本山を訪れていた。
     それがすっかり定着したため、魅耶は今回もその類の訪問だと思っていたのだ。

     しかし、真鬼は浮かない表情で、いや、とまず否定した。
     その反応だけではいまいち話が理解出来ず、何がです、と魅耶は続けて訊く。
     真鬼は何かを迷っているかのように、深く目を閉じていたが、ふっと顔を上げ、華倉を見詰めた。
     今まであまり真鬼にこういうことをされたことのない華倉は、つい身構えてしまう。
     そこに覚えたのは、殺気や後悔などの後ろめたい感情ではあった。

     そんな真鬼の視線に何も出来ずにいる華倉から、真鬼は視線を外す。
     そして、腹を括ったのか、切り出す。

    「……個人的な用事だ。憂巫女の呪いを解く件だが、」

     真鬼の話に、えっ、と華倉も魅耶も反応を示す。
     しかし華倉の声は高めだったのに対し、魅耶の声は警戒したような低い声だった。

     真鬼はその後をすぐには続けず、一旦黙り込んだ。
     どのみち黙っていても仕方のないことだが、真鬼は言い出すことを渋る。
     恐らくそこにある本音は、まだ自分が信じられていない所為だろう。
     何とかそう自分を思い込ませ、真鬼は言う。

    「……憂巫女の呪いを解くのは、もう暫く先にして欲しい」

     真鬼の口から出て来たその言葉は、華倉にとっても魅耶にとっても、あまりにも想定外だった。
     え、と華倉は思わず間の抜けた声で反応してしまうほどに、思いもよらない話だった。
     菱人がようやく計画を進め始めた今回の件。
    “憂巫女”という存在そのものの呪いを解き、長きに渡って繰り返されたこの惨劇の根を断つ――
     そのために今、真鬼を始め、創鬼である裕にも頼み込んで、手筈を整えているところだった。

     その当事者のひとりである、真鬼の口から出て来るはずのない言葉であることは明白である。
     何を言って、と魅耶が怪訝な目付きで真鬼を捉える。
     今更になって、憂巫女が恋しいとでも言うのだろうか。
     真鬼の伴侶であった琴羽も、憂巫女だった。
     魅耶はそう問い質してみたが、そうではない、と真鬼は答える。
     その想いが全くない、とは言い切らない真鬼だが、そんな自分の本音はさておき、とうとう白状する。

    「……最鬼(さいき)が生きていた」

     最鬼。
     華倉がその名を静かに復唱する。
     三体目の鬼神であり、四〇〇年前の憂巫女と鬼神たちとの惨劇の元凶。
     長いこと榎本唯一に憑依し続け、瀧崎隼人を苦しめた“最悪”の鬼神だ。

     けれど。

    「え、ちょっと待って。だって最鬼はこの前……」

     つい戸惑いを抑え切れずに、華倉も裸足のまま庭に下りて来る。
     それを見た魅耶が、華倉さん、と慌てた様子で駆け寄る。
     サンダル、と自分の履いていた下履きを貸そうとする魅耶を制止し、華倉は真鬼に詰め寄る。

    「だって最鬼はこの前、榎本のお兄さんから分離させて、篠宮が保管してるじゃない?」

     それを真鬼も確認しているはずで、その時は何も憂慮した素振りはなかった。
     だのに何故、今になってそんな思い詰めた様子で。

     そう自分に迫る華倉の視線を捉え、真鬼は軽く顔を伏せる。
     やはりまだ、自分すらも受け入れていない現実なのか、と考えながら。

    「私も嘘だと思いたかった。けれどどうやらこれが現実らしい……」

     額に手を当てて、頭を抱えたように真鬼は続ける。
     数日前に見せられた光景。
     暗く冷たい地下室は、岩肌が剥き出しになっていた。
     その奥にはぼんやりと輝く培養槽。
     近付くにつれ、その大きさがはっきりしてくる。

     前を歩く小柄な女の仕業だと思うと、鬱陶しいやらおぞましいやら、感情が溢れ返って来た。
     足音を響かせ、その女が立ち止まる。
     黒い艶のある髪を揺らし、真鬼の方を振り向き、言った通りでしょ、と笑う。

     その培養槽の中には、一体の鬼が眠っていた。
     見覚えのある巨大な体躯。
     禍々しいほどに鋭い爪。
     首筋から脇腹の辺りまで伸びる傷跡は、あの当時真鬼が付けた致命傷だった。

    『お前……何、で』
    『ここの数代前の当主がね、井戸を掘っていたときに発見したらしいの。綺麗な状態で出て来たから、あたしに管理して欲しいって頼んで来たのよねぇ』

     目の前の最鬼の姿に動揺を隠せない真鬼に対し、女はとても楽しそうだ。
     いいお金になったわよほんと、と、呑気そうに。

    『このこと……今の当主は』
    『知らないんじゃないかしらねぇ? だからどうして自分が執拗に執着されて来たのか、今も分からないままでしょ?』

     唯一が瀧崎家に入り浸っていた理由のひとつが、ここの地下室にあったと言うのだ。

    ネタメモ

  • こういうの好きです(書いてて楽しいから)

    20200513(水)19:41
    渡琉「今日は裕くんの誕生日だよ~おめでと~~!!」
     裕「…だからって何で作者が出てくんの?」
    渡琉「いいじゃんすか! うちの子語りも久々だし!! わたし自身の露出も減ってるし!」
    浅海「おめーのことは知らねぇよ。結局何も作品出来なかっただけだろ」
    渡琉「その通りでござーい!! だからこうして出て来た!」
     裕「え、意味分からん」
    華倉「でも今日は何とか俺の分だけは取り返そうと頑張った訳だよね?」
    渡琉「そうなの華倉氏! 分かってくれる?!」
    魅耶「でも失敗したんでしょう? どの面下げてお前まじで」
    華倉「魅耶落ち着いて!!? 放送出来ない形相してるよ!!」
     裕「24に書いてた話はそういうことだったの」
    渡琉「うっうっ……そうだよぅ…許してくだしあ……ついでに隣に裕くんも描いてまとめて祝おうと思ってたんだよぅ…」
    浅海「…でも結局篠宮すらも失敗してやめた、と」
    魅耶「……話になりませんね」
    渡琉「うっ…何この重たい空気…殺気すら感じる」
    華倉「作者さん殺気感じ取れるの?」
    渡琉「そんなわけなかろう! the鈍感のわたしにそんなこと出来ますかい!!」
    浅海「威張んな」
    魅耶「作者の癖に生意気過ぎますよ」
    渡琉「オウ……両側から鉄拳制裁のサンドウィッチ…(頬と脇腹に食い込む鉄拳)」
     裕「まぁそれくらいにしとけよ浅海。俺は別に作者からの祝福は要らねぇ」
    渡琉「えぇー!! 裕くん酷い!!」
     裕「作者以外にも祝ってくれる奴いっぱいいるじゃん……浅海とか」
    浅海「裕くん(キュン)」
    魅耶「まぁそうですねぇ、華倉さんにも僕がいますし。そういうわけで作者はもう帰って良いですよ」
    浅海「お疲れっしたー(棒読み)」
    渡琉「ちょっと二人とも!! 犬追っ払うみたいに手ェ振るのやめて!!」
    華倉「(何でうちの作者って自キャラに冷たくされたがるんだろう…?)」
     裕「…出来れば俺、華倉にも祝って欲しいけどな…」
    華倉「あー…そんじゃ今からカラオケとか行こうよ。魅耶もいい?」
    魅耶「はい! 勿論行きます!」
    浅海「亜紀にゃんと隼人も呼ぼう。盛大に裕を祝おう」
     裕「嬉しいけどちゃんと華倉のことも祝ってよ」
    渡琉「えっ、ちょ、わたしは!? わたしも連れてってー!!」
    浅海「お前は駄目」
    魅耶「絶対来ないでください」
    渡琉「ええ―――――っっ!!??」


    華倉さん、裕くんハッピバースデー(*^-^*)



    渡琉「(にしても魅耶やんも浅海さんも過保護やなぁ…)」

    「灰界」シリーズ

  • 短編補足的な

    20200410(金)15:41
    浅海と裕くんが一緒に暮らし始めてから、初めて知ったことのエピソードは他にもいろいろ考えたんですね。
    目玉焼きはソース派か、塩コショウ派かとか。
    その中の1つに、裕くんは意外と毎朝新聞に目を通す、という項目を盛り込んだのですが。
    そのやり取りが個人的に好きなんだけど、短編にはちょっと書き込めなかったのでここに台詞だけあげとくね。

     裕「ねぇ浅海……新聞取っていい……? 朝刊だけでいいから……」
    浅海「……え、あ、あぁ? いいよ……?(そんな思い詰めた顔で訊くことじゃなくない……?)」

    結構些細なことではあるんだろうけど、一緒に暮らすとなるとトラブルの元にもなるだろうからね…とか考えてた。
    裕くんは父親が大学教授で、多分実家では複数の新聞取ってたんじゃねぇかと思うんだ。
    何となくリビングとかダイニングテーブルとかに置かれてたのを見始めたのがきっかけ、とかありそうです。
    ……まぁ、裕くんの親父さん、平日は殆ど家にいなかったけどね…(寝食を忘れ研究室に籠るタイプだった)。
    親父さんも口数少ないし、母親は看護師で忍耐強い人だろうから、裕くんもストレスとかは溜め込む性質なんじゃねぇかなー、と。
    浅海と生活する中で、ちょっと発散する手立てを開拓してくれると嬉しいです。

    結局裕くん語りになってたわい^^
    しかしまぁ、浅海の包容力で裕くんの過去の傷が癒されてくのがちょっとした願いでもある。
    浅海はほんと、これから一生そういうつもりで裕くんと過ごすんだろうなぁーと思ったら、ウフフ幸せ者めwww とかなりました。
    作者冥利に尽きるお^^^^^^

    「灰界」シリーズ

  • 君の名が……

    20200311(水)17:27
    そう言えば鳳凰様を人間設定にしてみたバージョンとかもあったな、と唐突に思い出しまして。
    その時の名前なんですけどね。
    多分本名ではないと思うんだけど……何か造形作家とかやってる設定だったからアーティスト名だと思うんだけど。

    鳳 鶴戯 (おおとり つるぎ)

    って言いましてね……

    ちょっと幾らなんでも厨二が過ぎるな、と思いました。

    良かった使わなくて……。
    自分の好みの漢字、全部使った感が凄まじい。

    あと単純に欲張り過ぎだ!!(笑)

    「灰界」シリーズ