【夢小説】Hide and seek?
見ると、フレイグさんの瞳は謝意を窺わせる色をしていて、私は思わず、いいえ、と返してしまいそうになった。
けれど私が口を開くより先にフレイグさんが続ける。
「しかし……そうですね。きっと、貴方はどこにでも行ってしまう人だから……でしょうか」
フレイグさんのそんな言葉に、私はきょとんとなる。
それだけでは何を言われているのか分からなかった。
じっとフレイグさんの瞳を見詰め返し、言葉の続きを待つ。
そんな私の手を、指を絡めるように取って、私の手の甲を自身の唇に近付けてフレイグさんは喋る。
「そのままどこかへ行ったきりにならないように……本音を言えば、そう簡単にどこかへ行かないように閉じ込めているのかも知れません」
その口許に浮かぶ微笑みはやや困ったような、曖昧なもので。
フレイグさんは触れるだけのキスを私の手の甲に落として、再度私を見詰めた。
その一連の流れを見ながら、私は自分の抱いた感情を慎重に咀嚼して、フレイグさんに向けての返事を考えていた。
それでも何て伝えるのが最良なのか迷ってしまった。
「……ちゃんと、帰って来ますよ。私……」
今だってこうして。
そこまで言っていて、自分でも分かっていた。
フレイグさんの言いたいことは、そういう目に見える意味ではないことくらい。
それでも他に言い方が見付からなかったのは……。
フレイグさんには、私の戸惑いが伝わってしまっているのだろう。
それでも彼は微笑んでいて、ですね、とだけ応えた。
けれどやっぱりやる事は変わらない。
私の背と膝裏に手を差し込んだと思ったらそのまま私をソファーから持ち上げて、自分の膝の上に座らせ直す。
フレイグさん、と慌てて頬を紅くして怒ってみせるけど、フレイグさんにとっては全然効果がなかった。
「……フレイグさん、力持ちですよね」
仕方がないので、そのまま大人しくフレイグさんの膝の上で照れを隠すようにそう言ってみる。
重たくないのかなと心配な面もあったからだ。
「いいえ。貴方が軽過ぎるのですよ」
フレイグさんは声を出して笑いながら返した。
けれど私の腰に回される両腕は何となくもどかしくて。
躊躇いがちに、でも正確に私の身体を丸ごと包み込む位置にようやく落ち着いてみせた。