【夢小説】Hide and seek?


 フレイグさんと隠れ家で過ごすようになって暫く……。
 私はその日の夜、疑問になっていたことをとうとう口に出した。

「フレイグさんは、どうしてすぐ私を抱っこしたがるんですか?」

 私からの問い掛けが本当に意外だったのか、フレイグさんは私を見詰めたまま目を数回瞬かせた。
 何のことだ、と言わんばかりの表情だ。

 私はその反応に逆に驚きつつも、説明するように日々の様子を語る。

「ちょっと高いところの物を取ろうとすると抱き上げたり、ベッドまで運んでくれ……たり……何か、そういうのです」

 私はそう、改めて自分がされていることを口にして、恥ずかしさで語尾が小さくなっていく。
 そう、この人は事あるごとに私を抱っこしてくる。

 棚から物を取るにしたって代わりに取ってくれるでもなく、第一踏み台もあるし、それこそ寝るときベッドまで運んでもらう意味はないのになぁ……。

 そう言えば先日は2人でベランダで星を眺めていて、私がくしゃみをしたものだから、毛布でくるまれた挙句にそのまま抱えられて部屋に戻った。
 これじゃあまるで介護のようで……。

「そうですか? 気付きませんでしたね」

 フレイグさんはそう、取るに足らないことのように受け流し、淹れたばかりの紅茶に口を付ける。
 そうです! と抗議を続けるものの、フレイグさんは怒る私の顔を楽しそうに見詰めるだけ。

「嫌でしたか?」

 ようやく私の抗議に向き合ってくれたフレイグさんにそう問われる。
 嫌、と言うか……。

 嫌というより、あまりの扱いに落ち着かないと言う方が正しい。
 それに。

「……理由が全然分からないのが、やっぱりその……気まずくて」

 そんなに私は危なっかしいのかなとか、フレイグさんにとっては子供というか、世話の焼ける存在なのかなとか。
 すぐに私を抱っこするこの人の意図が読めないのだ。

 そう告げて、淋しさからしゅんとなって俯く私の見えない位置から、静かにティーカップが置かれる音がした。
 すぐには顔を上げずにいた私の隣に、フレイグさんが移動する気配がした。

 私の名を呼んで、指で私の顎を掬う。

「申し訳ありません。貴方にそんなことを考えさせていたとは」
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