【夢小説】再次相见了


 逐流ジューリウ、と譫言うわごとのように趙郷香ジャオシィァンシィァンはぼんやりと呟く。

 その趙郷香の声に、温逐流ウェンジューリウは我に返った様子だった。
 軽く俯いたと思ったら、先程までの冷徹な表情に戻り、毅然とした態度で趙郷香に告げる。

「……家僕の此処への立ち入りは禁止だぞ。見付かる前にさっさと出て行け」

 そう忠告しながら、趙郷香の背中をぐいと押し返す。

 力では全く温逐流には敵わない。
 ちょっと、と趙郷香は何度も温逐流に訴えるが、全く聞き入れてもらえず。

 とうとう出口の近くまで、そのまま押し出されてしまった。

「逐流!!」

 もう外が見える場所まで来て、温逐流は何も言わずに踵を返した。
 背中に何度も呼び掛ける趙郷香だったが、それへの返答はなく、温逐流の姿はまた薄暗い空間へと消えて行った。

 頬を膨らませて趙郷香はその場で地団駄を踏んだ。
 しかし、もう此処まで連れて来られては、追い出されたも同然だった。

 仕方なく外へ出る趙郷香。
 すると慌てた様子の温寧ウェンニンに呼ばれた。

温央ウェンヤン~! 捜したよもう! 何処行っちゃったのかと思ったよ!」
「あ……ごめんなさい」

 そうだった、と趙郷香――温央は肩をすくめて謝る。
 無事だった、と心配そうに訊ねる温寧の後ろから、温情ウェンチンの姿も見えた。

「どうしたの阿央アーヤン? あっ、もしかして温晁ウェンチャオのやつに何かされた?!」

 温情もそう心配してくれた。
 全くあいつは、と怒ってくれる温情にもしっかりと頭を下げ、何でもないの、と温央は笑う。

 出来ることなら、一度泣いてしまいたいくらいだった。

「待たせてごめんなさい。さ、帰りましょう」

 温央は笑顔を作って、もう一度二人に謝った。
 温情も温寧もそれ以上気に留めることもなく、日が暮れる前に、と歩き出した。


2021.6.30


再次相见了(再会してしまった)
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