【夢小説】再次相见了


 それでもこうして見付け出したからには、もう放っておくわけにはいかなかった。

「確かに集落は無くなっちゃったし、一門の皆ももう何処にいるか分からない。でも、また一緒に暮らしましょう? 私は……少なくとも私は、一緒にいたいから」

 自分でもこんなことを言うつもりではなかったのに、と趙郷香ジャオシィァンシィァンは気付いていた。
 もう少し別の話をして、温逐流ウェンジューリウを説得するつもりでいたはずだ。

 でももう、一度口から零れた本音は止められなかった。

逐流ジューリウ、思い出して。貴方はこんなことは望んでいなかったでしょう? 生きていてくれたことはとても嬉しい、嬉しいけど、でも、貴方……自分が今何をしてるか分かってて、」

 趙郷香は気持ちの高ぶりを抑え切れずにいた。
 言葉を続けながら、無意識に温逐流へと近付いて行く。

 どうしよう、我慢していなければ、泣き出してしまいそうだった。

 お前、ととうとう温逐流が口を開いた。
 しかし趙郷香は自分の動揺を隠すかのように、喋り続ける。

「逐流、貴方は私に語ってくれたわ。“仙師として生きるのも悪くはないけど、今自分を必要としてくれる人を捨ててまで目指すものじゃない”って」

 その話題が出ると、おい、と途端に温逐流の表情が変わる。
 しかし趙郷香はそれに気付く余裕すらなかった。

 一瞬でも気を抜いたら、感情が溢れ返ってしまいそうで。

 趙郷香は、自分へと伸ばされて来たその右手に気付く。
 温逐流の右手には、黒い手袋が嵌められていた。

 そう、あの時の、手だ。

 思わず趙郷香は、温逐流の右手を掴んだ。
 ぎょっとする温逐流の顔を見ないまま、趙郷香は訴えるように呟く。

「貴方のこの手は、こんなことのために使われるべきじゃないのに」

 大きな掌は、いつもマメだらけだった。

 ぎゅ、とその手を大事そうに両手で包み、趙郷香は顔を上げる。
 そのまま温逐流の身体を引っ張ろうとした。

「おい!」
「今なら逃げられるはずだから! 温情ウェンチン温寧ウェンニンは、きちんと話せば分かってくれる人たちだから、だから早――」

 温逐流の呼び掛けも無視して、先を急ごうとする趙郷香。
 けれど。


「――っ、阿香アーシィァン!!」


 頭上から降ってきたその声に、思わず肩を震わせる趙郷香。
 驚きながらも手を離して振り向く。

 見えたのは、動揺と不安に滲んだ、“趙逐流ジャオジューリウ”の表情かおだった。
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