【夢小説】Honey in the Dark


 ちょっと驚いたのか、ドキッとしたような表情を垣間見せたリカに私は続ける。

「リカが帰って来た時自分たちがいたら拗ねるだろうからって、夕方には気を利かせて帰ってくれて……それから私1人で、帰り待ってて」

 手持ち無沙汰だった私は、残ってたワインを空にしていた。
 コロレさんが持ってきてくれたショコラだけじゃ足りなくなってしまったから、“とっておき”だった、これも。

「……俺の作ったやつも引っ張り出して?」

 見覚えのある箱をチラリと見て、リカは私に向き直る。

 確かに何時頃帰って来るかなんて聞いてなかったし、そもそも分かるはずもなかった。
 リカにとっては大事な商談であり、国としても大切な外交だ。
 幾ら私がリカの恋人だとは言え、そこまで口を挟む権利はない。

 だから待つしかなかったの。

「リカの話聴きたかったから、淋しくても待ってたの……」

 私は今にも泣き出しそうな情けない声で告げる。
 今夜はもう寝ろと言われたくなくて、駄々を捏ねていたのだ。

 リカはそんな私を黙って見ていたけど、はぁ、と1つ溜め息を零すと立ち上がり、私に腕を伸ばす。

「掴まれ」

 リカにそう言われ、私は自分の両腕を差し出す。
 私の両腕が自分の首に巻かれたと同時にリカは私を抱き上げた。

 そのままベッドまで移動する。
 私を優しくベッドに落とし、傍に座ると左手を付いて私の上に軽く被さる。

「ちょっと脱がすぞ」
「……何で?」

 リカの手が私のブラウスのリボンを掴む。
 惚けた声で訊き返す私にリカは軽く笑って、そりゃお前、と答えた。

「今のお前どう見ても据え膳。その気にならない男はいないぞ」

 ちょっとむくれながら「えっち」と呟いた私の声は、リカの手で解かれるリボンの擦れる音よりも小さかった。

 でもすぐに小さく笑ってリカは言い直す。

「嘘。少しでも首元緩めた方が寝やすいだろ」

 リボンを軽く丸めてサイドテーブルに置いて、その手で今度はブラウスのボタンを外す。
 その手を見ていた視線を段々上げて、私はリカの綺麗な顔に焦点を留めた。
 無表情って言うのかな、真顔とはちょっと違ってて、淡々と作業する時みたいな、そんな顔だ。

 でも。
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