【夢小説】Honey in the Dark


「リカちゃんおかえり〜」

 久し振りの恋人に見惚れながら出迎えたというのに、彼の顔は訝しげに眉が顰められていた。
 呆れているようにも、ちょっと怒ってるようにも見て取れる。
 というのも多分。

「……どういう状況?」

 顔を真っ赤にして上体をテーブルに突っ伏していた私を指差してリカは改めて訊ねた。
 私はゆっくりと、テーブルを手で押して重たい上体を起こしながら「んん~、」と息を吐きつつ答える。

「クレト君とコロレさんがね、新作のショコラと……それに合うワインを持って遊び来てくれたの」

 蕩けて焦点の合いづらい目線をリカに合わせてみたけど、やっぱりリカの姿はぼやけていた。

 呑み過ぎたというか……酔いが今になって回って来たんだろうなぁ。
 なんて私はぼんやり考えて、それでも気持ちはふわふわしていたせいか、んふふと笑っていた。

 リカは持っていた荷物をドア近くのソファーに投げるように雑に置き、そのまま私の傍へ歩いて来る。

「昼間っから? 明らかに呑み過ぎ」

 私の顔をまじまじと見詰め、リカは表情を歪めて溜め息混じりに言った。
 そう、昼間から。
 でもお昼って言ってもそんなに早くじゃないよ〜と私は続けるんだけど、リカは私の額を小突いて「そういう話じゃねえ」と諌めた。

 リカはこの2週間ずっと城を留守にしていた。
 国王様に付いて何ヵ国か外遊へと出ていたんだ。

 リカ自身は「新しいチョコレートとコーヒーのマリアージュ探し」とか言ってたな。
 でもリカがいない間、何度かコロレさんやクレト君たちと会った時の話によると、どうやら他にも色々進めていたらしい。

『そろそろ本格的にカカオ農場始めたいとか言ってたよ。あれはリカが本気の時の顔だね』

 ふふ、と新作ショコラを私に勧めながらコロレさんが教えてくれた。
 とうとうそこからチョコレートに向き合うつもりなんだ……。
 リカの考えてることの大きさに静かに驚く私とは真逆に、クレト君は「すげー!!」と興奮気味だった。

『さっすがリカさん! やる事スケールでかくてカッコいい!!』
『クレトの作るチョコのカカオも俺が用意してやる、とかね』
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