【夢小説】Your Belief
確かに、あの場ではそれ以外考えられなかった。
死んでしまった、と、フレイグさんの体を支えていた私が一番強く感じ取っていたから。
けれどそんなアヴィの言葉に、それなぁと溜め息を混ぜてイザークさんが答える。
「兄貴を運んでる途中さ、心音が聞こえて来て……俺達も認めたくなかったけど死んだと思ってたから驚いて。でも確かに呼吸も戻ってきてたから、大急ぎで家帰って処置したんだよな」
イザークさんの言い方も不思議そうだった。
だから本当に、“想定外”だったんだろう。
「……一度は心臓止まってたのも事実なのか?」
「ああ、それも間違いねぇ」
アヴィはイザークさんから確認を取ると、じっとフレイグさんを見詰める。
「……幽霊か?」
「アヴィも冗談が言えるんですね」
愉快そうにフレイグさんが返す。
ということは、フレイグさんに起こったことは全てが現実なんだ……。
助かった、というより、もしかして蘇った……?
「全く、意図しないことばかりが起こるものです」
ティーカップを静かにソーサーに置き、フレイグさんは伏せ目がちに1つ吐息を零す。
「貴方がその最たるものだ、アカリさん。ここまでしたのにまたこうして、僕の見舞いにまでやって来たり……貴方は本当に御し難い」
これは相変わらずの嫌味を言われているのか、馬鹿にされているのか……?
フレイグさんの真意は分からない、これでも褒めるときはストレートに伝えてくれるから、多分褒められたものではないのだろうことは理解した。
でも、私はそれでも、フレイグさんにも諦めてほしくなかった。
アダムだけが助かるのも、私たちだけが今まで通り生きていくのも、私はそれだけでは嫌だったから。
だから、多分――
「世界は……、見捨ててなかったんだと思います」
ぽつりと呟く私の声に、ナビが驚いたように私の顔を見上げる。
これは推測でもなく私の願望なだけだろうけど思うの。
「世界はきっと、フレイグさんにも生きててほしかったから……だからまだ、死なないで、って……」
今回の想定外を奇跡と呼ぶのなら。
きっとそれはこの“世界”が望んだことだから。
「フレイグさんと生きていたい、フレイグさんに生きててほしい人たちの思いが、きっとこの世界にはあって……その思いたちが、フレイグさんの命を繋ぎ止めたんだと思います」