【夢小説】Your Belief
「しかし生きてたのならその一報くらい寄越せよな」
暫く笑いが収まるのを待ち、アヴィが本題に入ってくれた。
私たちはすっかり、フレイグさんはあのまま亡くなってしまったのだと思っていた。
キエルを通して花を手向(たむ)けにトルークビルへ行きたいと何度も考えてた。
でもキエルは知ってたんだろう、フレイグさんが生きていたこと。
直接聞いていないから何ともこの場では何とも言えないけど、だとしたら意図的に私たちに黙っていたことになる。
「隠してたなんて酷いです」
安堵と同時に湧き上がる、ちょっと拗ねた態度を見せながら私は呟く。
ごめんね、とフレイグさんは笑って答える。
「やはり動けるようになっておきたかったんだ。アヴィに何されるか分からないからね」
「俺が何するっつーんだよ。生死彷徨ってる相手に」
はははと笑うフレイグさんに、アヴィはさっきからからかわれっぱなしだ。
アヴィは溜め息を吐きながらやや雑に髪を掻き、視線を外しながら続ける。
「そりゃ確かに……あんなもん見せられちゃな、」
内心穏やかではない。
アヴィのその返答を受け、フレイグさんはようやく穏やかに語ってくれた。
「意識が戻ったとはいえ、危ないところだったんだよ。僕自身はうろ覚えだからイザークから聞いた内容になっちゃうけれど」
「容易に人に会わせられる状態じゃなかったんだ。だからアトラスの王子にも口止めしといた」
フレイグさんの隣に座っていたイザークさんが簡潔に教えてくれた。
アトラス王家から何かと遣いの人たちが来ること。
あれこれ手配してくれていること。
フレイグさんとアダムのことも気に掛けてくれていると。
「僕の生殺与奪の権は今、イザークとアトラス王家が握っているよ」
可笑しそうに自分が置かれている状況を一言でまとめるフレイグさん。
そんなフレイグさんに、イザークさんは照れくさそうに言う。
「そんな大仰なことはしてねぇよ」
それから軽く目を伏せて、声色を低くして続けた。
「もう、兄貴に無茶なことしてほしくねぇだけだ」
それが俺達兄弟の総意だから、とイザークさんは真剣な顔付きで言い切る。
それを聞いたフレイグさんも穏やかな、でもちょっとくすぐったそうな笑みになって、そうだねと静かに応えた。
「にしても……本当によく助かったな。言っちゃ悪いがあの場に居た皆が最悪の結果を目の当たりにしてたぜ」