【夢小説】Your Belief
「――なんてこともありましたからねぇ。再会早々改めてアヴィに殺されては堪ったものではないと思いまして……まずは連絡が遅くなったことのお詫びを」
笑みを作りながらフレイグさんは深く頭を下げた。
しかもすぐに上げることはなく、暫くそのままでいる。
テーブルを挟み、向かいのソファーに座る私はどう反応しようか迷っていた。
けれどそこは隣に座るアヴィが口を開いてくれる。
「おい、もういい加減顔上げろ。笑ってていいから」
よく見るとフレイグさんは頭を下げたまま肩を小さく震わせている。
原因は恐らく……私の膝の上のナビだ。
「し、失礼……しかし、アヴィ……っ」
本当に笑っているのを必死に堪えているらしいフレイグさんの声に、とうとうナビ自身が痺れを切らす。
「フレイグ王子〜!! 何がそんなに可笑しいのですか!!?」
私に抱っこされる形で一緒に話を聞いていたナビが、私の膝の上でそう怒った。
フレイグさんは奇跡的に一命を取り留めていたのだ。
けれど2週間は目を覚まさなくて、意識を取り戻してもすぐには会えなくて。
実に2ヶ月ほど経った今、トルークビルから連絡があったのだ。
私とナビそしてアヴィが、フレイグさんに会いにこうしてトルークビルまで赴いたのだけど。
1人ではないけど1人で座っているのは落ち着かなくて、手持ち無沙汰が嫌で、私はナビにお願いした。
膝の上に座っててほしい、と。
勿論ナビ本人も、アヴィも驚いて私を見た。
ナビはナビでそんな恐れ多いこと、と、私も私でぬいぐるみみたいな扱いをナビにお願いするのは失礼だろうと分かっていた。
それでもどうしても不安で心許なくて。
無理も恥も承知でナビを抱っこさせててほしいと頼み込んだ。
ナビは優しく頷いてくれたけど、部屋に入って来て私たちを見た瞬間のフレイグさんの顔を、私は暫く忘れないと思う。
「ん、待たせたな」
フレイグさんがようやく顔を上げた頃、紅茶を用意してくれてイザークさんが姿を見せる。
私とアヴィに先に出してから、ナビに気付いて淡々と述べた。
「モフモフ、今日は特等席なんだな」
「ちっ、違わないけど違うんです〜っ!!」
これにはフレイグさんのみならず、とうとうアヴィも盛大に吹き出した。