【夢小説】Velvet
けれどフレイグさんの身体はおろか、片手さえ微動だにしない。
息継ぎさえ許されないほどに何度も付けては離すを繰り返す。
嫌悪感は確かにあるのに、何故か身体は熱を帯びて来ていた。
「いけませんね、その名を呼ぶのは」
何度目かの侵入の後、気付けばベッドに押し倒されていた私の真上に、紅潮した様子のフレイグさんが見えた。
私ほどではないけれど彼もまた息が乱れている。
その名、と言われ、私はまた上の空でアヴィを呼んだ。
フレイグさんの表情が歪む。
その歪みを残したまま口許では綺麗な笑みを見せ、駄目だと言ってるのに、と繰り返す。
「気に入らないな……貴方があれに向ける眼差しも、その名前を象る口許も勿論声も……」
フレイグさんの指先が私の首筋に降りてきた。
つつ、と耳元から鎖骨へと流れるその指の動きは確かに熱を持っている。
触れられている感覚自体に身体は勝手に反応を見せ、私は下唇を軽く噛みながら耐えるように身じろぎした。
「しかし何より……そこまで深くあれが貴方の意識に根付いている、その現実が、何よりも許し難い」
だから作り変えるのです。
今度はフレイグさんの顔が降りてくる。
先程指先がなぞったように首筋に唇を近付けた。
吐息だけでも熱くて、嫌なはずなのに拒み切れない自分がいた。
「貴方がこの先求めるべきは僕であってあの騎士ではない……。これからそれを、徹底的に覚えさせますよ」
右手で私の顎を掴み、親指で私の唇を割る。
幾度目になるか分からない侵入に、私の身体は慣れて来ていた。
どういうこと、と混乱と困惑する頭はうまく回ってくれない。
次第に考えるという行為自体が億劫になってくる。
気付くと私もフレイグさんの首に自分の両腕を回して、掻き抱くように2人の隙間を埋めていた。
「……、ゃ、っ……」
自分が何をしているのかが分からなくて、息継ぎと同時に拒絶の声を零す。
満足気に笑うフレイグさんが見えて、やはり何かしたのかと勘付いた。
「どうせ貴方は飲まないだろうと思ったので、僕の方にも同じものを入れておきました」
それは紅茶の話。
何を入れたのかまでは怖くて聞けなかった。
「この程度の量ならば僕は自制が効きますが……貴方にはそれでもまだ多かったようですね」