ピアス
まぁ、風紀委員としては、アウトなんだけどさ。
分かってるけど、何てーか。
だって絶対似合うと思っちゃったんだもん!
とか、自分の理性つか良識にひたすら言い訳をして、俺は正当化を訴えた。
手に持っているその包みに対してである。
実のところ、高校にピアスは着けてきてはいかんのである。
それに俺は一応風紀委員の端くれ。
本当のところは、校則違反者に対して注意喚起を促さなければならんのであって。
そう、だから。
「何で買ってしまったんだろーか」
俺は今、自分の現状が理解出来ずに苦しんでいる。
俺の手には、プレゼント用に包装されたピアスがある。
勿論自分で着けるわけじゃない。
ピアスとか痛そうだし。
これは、前述したとおり、プレゼント用だ。
校則違反者に対しての。
「駄目だ! やっぱりアウト!」
俺はピアスの包みを机に優しく置いて、空いた両手で頭を抱えた。
駄目だろやっぱり、これはいくら何でも。
つうか俺、色々人間としてアウトになりそうで怖い。
と言うのも。
「……それ何のポーズなん
えっ、と吃驚して、俺は慌てて顔を上げる。
案の定、声の主は、今しがた考えていた後輩。
「呼ばれたから来ましたけど、何すか?」
俺の隣の席に勝手に座って、南辺は俺を見る。
じっと見詰められると、何というか、最近俺可笑しいんだ。
南辺の瞳が、綺麗だなぁ、って思う。
美しいっていう意味もあるし、何つか、吸い込まれそうっていうか。
目が離せなくなる。
って、同性相手に、しかも年下相手に何を言ってんだ、って自分にツッコミもするけど。
事実なんだ。