早く一緒に暮らしたい。
眞綾がずっとスマホを見てる。
俺も確かに別のことしてたよ。
でもそれは眞綾が来る前にちゃんと伝えておいたし、すぐ終わらせるからとも約束したし。
待たせたことも事実だし、待つ間眞綾が何をしていようがそれは俺の口出し出来る領域じゃない。
けど、俺はもう別件の用事は済ませたし。
もう何回か眞綾にもそのことは知らせた(声掛けた)し。
なのにさぁ、さっきから生返事なんだよね。
どういうこと??
「眞綾ー」
ちょっと離れたところから、眞綾の背中に向かって呼んでみる。
いつもなら、すぐに顔をこちらに向けて「何すか?」って笑って応えてくれるのに。
何故か今は呼んでも動かず「んー?」だけ。
……。
「眞綾っ! 俺終わったってば!」
ぷく、と頬を膨らませて、俺はとうとう眞綾の背中にのし掛かるように抱き着く。
いや、こういうのやるとうっかり眞綾のスマホ見ちゃいそうだから躊躇ってたんだけど。
俺の声よりも優先するくらい、何を見てるんだ……と気になるには気になるけど。
とか何とか自制を働かせてたけど、とうとう無理。
俺の重みに、眞綾はようやく顔を上げる。
「あー分かってますけど、もうちょっと」
「何してんの?」
何故か逆に眞綾から待っててと言われる始末。
ついさっきまで俺が眞綾に取ってた態度そのままなわけだけど、ちょっと不機嫌になってしまう。
このまま眞綾を見ていたら喧嘩を売る羽目になりそうだったので、俺は一旦離れる。
完全に機嫌を損ねたまま、俺は眞綾の視界に入らない位置に座った。
こうして眞綾と会うの、いつ振りだと思ってんの。
俺の就活もようやく落ち着いて、卒論もてんやわんやしながら何とか仕上げているこの時期。
夏休みは全滅だったし、そうこうしている内に眞綾も就活始まっちゃうから、その前にどうしても1回時間合わせようって。