【BL】サビ残
その卑猥な物音は、こんな場所――オフィスなんかで立てていいものではないはずだ。
しかも残業中、一緒にいるのは同性の後輩が一人。
俺は寝不足での出勤、その上の残業で、要するにフラフラだった。
だから多分、後輩の様子が可笑しかったことにも、妙な動きをしていたことにも気付けなかったんだろう。
そういうことにしておかないと、今、抵抗も出来ずにされるがままである事実に言い訳が出来ない。
それはさすがに俺のプライドが許してくれないからだ。
「……ふ、っ、んん……っ」
ぐちゅぐちゅと、わざと音を立ててしゃぶってるんだと思うような、いやらしさ。
情けない話だが、こうやってしゃぶられるのが久し振りだったせいか、気持ち良さが勝ってる。
いやでも、頭では分かってるんだ。
ここは職場だし俺は残業中。
それに相手は同じ「男」。
一緒に組んで仕事を進めていたのは、2つ後輩の杉原。
普段は大人しい、物静かな男だ。
たまにはにかむ程度で、あんまり他人と親しく振る舞っている姿は見たことがなかった。
職場にそういう相手がいないってだけかも知れないし、プライベートは全く知らないからそれ以上の感想はない。
そう、少なくとも俺にとっては、さほど興味のある相手ではなかったのだ。
なかった、どころか今だって、ない。
しかしどういうわけか俺は、そんな杉原にこうしてソレをしゃぶられている。
ぢゅぶぢゅぶ、口いっぱいに俺のを含んで、唾液で溢れ返させて。
「……っん、はぁ……先、輩……」
たまに口を離し、俺を見上げて愛しげに呼ぶ。
無論そんな甘ったるい声で鳴かれても、鳥肌しか立たないのだが。
しかし先述の通りしゃぶられることが久し振りな俺は、単純に溜まってたせいと疲れと不意打ちとで、完全に快楽に捕まっていたのだ。
明後日が期限のプレゼン資料を纏めていて、杉原に背を向けてデスクで作業していた。
静かだなとは思っていたけれど、まさか隙を窺っていたとは誰が想像出来るだろう。
いつの間にか杉原は俺の背後にいて、抱き着いて来たと思ったら股間をまさぐっていて。
で、ズボン脱がされていじられて。
気付いたら向き合わされてて、杉原はしゃがんでいた。
「はぁ、すご……想像通りすげぇエロい……俺の好きなタイプ」
杉原が顔を退いたため、杉原の口から勢いよく俺のソレが飛び出す。
不本意ながらソレはかなり固く大きくなり、熱を孕んでいた。
状況が呑み込めなくて抵抗出来ずに暫くされるがままだったうちに、杉原の口の中で滅茶苦茶に嬲られていたせいだ。
正直、こいつしゃぶるの巧過ぎる。