図書館
「休日の図書館とか眩し過ぎるわ~……」
図書館の自動ドアが開く音と同時くらいに、にーちゃんが呟いた。
そんなに眩しいかな、とにーちゃんの隣で首を傾げる俺。
にーちゃんはそんな俺に「多分お前の考えてる意味と違うぞ」と続けた。
本日、場所は日曜の図書館。
俺はにーちゃんと一緒に本の返却に来ていた。
いつもは友達と来たり、お母さんが仕事行く前に寄ってってくれたりするんだけど、今回時間が合わなくて自分で来た。
休みの日は大体家にいるにーちゃんを連れて。
「結構盛況してんだな」
返却カウンターの列に並び、順番待ち。
その最中ににーちゃんが呟く。
うん、と頷いて、俺は自分が知っている範囲のことだけど話す。
「週末はいつもこんな感じだよ。にーちゃん図書館来ないの?」
逆に、と俺は訊いた。
にーちゃんあんなに本読んでるのに。
なんて思ったので、率直に質問したんだけど、にーちゃん曰くこう。
「俺が読みたい本は図書館にはなかなかないんだよ」
……益々何を読んでるのか知りたい、にーちゃんの読書事情。
なんてやっていると次の方、と呼ばれる。
借りていた本は3冊。
それを受付のお姉さんに渡して、バーコードを読み取り。
「はい、全て返却されました。ではこちら、ご自分でお願いします」
手続きの終えた本を再度手渡され、俺もお姉さんと同じようにありがとうございますを告げた。
それを不思議そうに見るにーちゃん。
「何、自分で戻すの?」
カウンターを後にし、児童向け書籍の棚へ向かう俺の後を付いて来ながら、にーちゃんが言う。
そうだよー、と俺は本の背表紙に貼られた分類シールの数字を確認しながら、棚を探す。
「他のところは知らないけど、ここは子どもの本は借りた人が棚に戻すんだよ」
俺の説明に、へぇー、とにーちゃんは頷いている。
ほんとに来てないんだなぁ、とちょっと意外に思えてしまった。
3冊ともバラバラのジャンルだったので、場所を探すのにちょっと手間取る。
この本はこの辺……と、ぎっしり並んだ本の背表紙を見て、本を戻せる位置を確かめる。