始まる


 初めは気のせいだと思っていた。
 あまり気に留めずに、ゲームに集中していた。

 けれど、その手は少しずつ下へ移動していき、遂に少年の中心を撫でる。
 びくっと揺れる少年の肩。
 しかし少年には、この状況をすぐに把握する勇気はなかった。
 そんなことをされるとは、考えも付かなかった。

 少年はもう随分、この青年の世話になっていた。
 こうして抱っこされながらゲームに興じることが日常になるほどに、だ。

 青年はあまり口出しもせず、うまいプレイには優しく褒めてくれて、うまく出来なくて泣きそうになったときはヒントをくれた。
 少年はこの青年が大好きだった。
 だから、今回のこの状況に、何も言えずにいるのだった。

 下から上へ、撫で上げるように、何度もその膨らみに触れる、青年の手。
 流石にくすぐったくなってきて、少年はゲームを続けられなくなる。

 手が止まり、画面が暗転する。
 何て話し掛けよう、と戸惑う少年の気持ちをよそに、青年の手は止まらなかった。

 ふわ、と髪の毛に何かが触る感覚。
 青年の息遣いが、耳元に近付いていた。

 ぎゅ、と腰に回され、固定される青年の左腕。
 少年にはまだ、逃げ出そうなどという発想すらなかったのも、行為を加速させたのだろう。

 暫く同じ動作を繰り返していた青年の右手が、少年の衣服へ伸びた。
 少年の穿いているズボンのファスナーを下ろす。

 驚いて息を呑む少年は、運悪く、その瞬間を見てしまったのだ。
 下着の中へ入り込み、その手が直接触れて来るのを。

 指先で優しく撫でて来る。
 それから、ふにふにと潰すように揉まれる。

 今まで感じたことのない刺激に、少年は困惑の色を隠せずにいた。

「……んんっ」

 くすぐったいにはくすぐったいのだが、どうにも、その他の感覚があることも分かる。
 お腹を中心に、腰からお尻、脚の付け根までが熱くなってきた。

「やわらかい」

 突然耳元で囁かれた青年の声。
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