・『願い事』
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パリパリと何か硬いものが割れる音がする。
ああ、長い夢を見ていたみたいだ。
眠る前は重かったはずの身体が軽くなっているのを感じる。
今は何時だろうか。千空はもう学校終わったかな。
そんなことを考えながらゆっくりと目を開く。
瞬間。目に映る、満月。
まだぼやける視界の中、いつかの天体観測の日を思い出す。
目の前の満月に、いつか見た彼の背中が重なった。
ふと、無意識に手を伸ばす。
「手が、届きそう」
掠れるように出た自分の声。
それに応えるように伸ばした手が、視界の外から握られた。
安心する手だ。この指先が薬品で荒れたような優しい手を、私は知っている。
ゆっくりと、その手の先に視線を移す。
そこには、自分の記憶よりも随分と大人っぽくなった千空が、私を見つめていた。
「もう、届いてんだよ」
なぜか少し掠れた声で笑う彼に、無意識に握られた手を握り返し、「おはよう」と笑い返す。
なんだかよくわからないけれど、きっと私が眠っている間に沢山のことがあったのだろう。
小さく震える彼の手を両手で包むと「千空」と名前を呼んだ。
夜空にぽっかりと浮かぶ満月に、視線を向ける。
「月が、綺麗だね」
そう言ってへらりと笑う私に、千空は泣きそうな顔をしながら「ああ、ずっと見ていてぇな」と笑った。
ああ、長い夢を見ていたみたいだ。
眠る前は重かったはずの身体が軽くなっているのを感じる。
今は何時だろうか。千空はもう学校終わったかな。
そんなことを考えながらゆっくりと目を開く。
瞬間。目に映る、満月。
まだぼやける視界の中、いつかの天体観測の日を思い出す。
目の前の満月に、いつか見た彼の背中が重なった。
ふと、無意識に手を伸ばす。
「手が、届きそう」
掠れるように出た自分の声。
それに応えるように伸ばした手が、視界の外から握られた。
安心する手だ。この指先が薬品で荒れたような優しい手を、私は知っている。
ゆっくりと、その手の先に視線を移す。
そこには、自分の記憶よりも随分と大人っぽくなった千空が、私を見つめていた。
「もう、届いてんだよ」
なぜか少し掠れた声で笑う彼に、無意識に握られた手を握り返し、「おはよう」と笑い返す。
なんだかよくわからないけれど、きっと私が眠っている間に沢山のことがあったのだろう。
小さく震える彼の手を両手で包むと「千空」と名前を呼んだ。
夜空にぽっかりと浮かぶ満月に、視線を向ける。
「月が、綺麗だね」
そう言ってへらりと笑う私に、千空は泣きそうな顔をしながら「ああ、ずっと見ていてぇな」と笑った。