・アフターバニー
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「杠ちゃーん!!」
「わぁお!元気いっぱいですなぁ」
元気よく飛びつく私を、大人しく受け止めてくれる杠ちゃん。
もしかすると天使かもしれない。
いや、『仕事終わりに衣装返しに行くね』という私のメッセージに『大丈夫?疲れてない?』と気遣いながらも快く家に招いてくれる様は最早聖母なのではないか。
「明日以降でよかったのに」
彼女はそう笑い、お茶の入ったマグカップを机に置く。
「いいのいいの。今日、どうしても返したくて…」
笑いながら首を横に振る。
実際、これ以上手元に置いておいても仕方がないのだ。
「じゃあ、早速聞いていってもいいかな」
頷くと、杠ちゃんへ実際に試着しての感想を質問形式で答えていく。
一通り回答が終わったあたりで「やっと終わった」とマグカップに口をつけた。
自然とほっと息が漏れた。
どうやら緑茶のようだ。
甘い茶葉の香りと温かさに、仕事終わりの身体が解れていくのを感じた。
「…千空君には見せた?」
「ぶっ!」
驚いた拍子に思わず気管に入ってしまい、ごほごほと咳をする。
杠ちゃんが「大丈夫!?」と背中をさすってくれるが、これあなたのせいですよ?
咳の音が聞こえたのか奥の部屋から大樹君が「大丈夫か!?」と顔を出してくれる。
本当に似たもの夫婦だ。
「ゴホッ…大丈夫、お茶が変なとこに入っただけだから」
そう笑うと「ならよかった!」とだけ言ってまた奥へ引っ込んでいった。
どうやら話しやすいように別室に居てくれているらしい。
本当にできた男だ。
咳が収まった頃合いで杠ちゃんが「さてはなにかありましたな?」と笑う。
思わずまた変な咳が出るかと思った。
「な、なにもないよ?」
「そっかそっかぁ。千空君喜んでくれてよかったね」
なにも言っていないはずなのにそう笑う姿に、思わず「なんでバレてんの…こわ」と本音が漏れた。
流石は長い付き合いというか、察する能力が高いのも考え物だ。
喜んでくれて、か。
その言葉に僅か引っ掛かりを覚えた。
「喜んでくれた、のかなぁ」
ふと、今日の午後の彼の様子を思い出す。
休憩から戻った彼は、どこまでもいつも通りだった。
実験器具片手に目を輝かせ、他の研究員に淡々と作業を指示し、クロムのミスに楽しげに笑う。
その表情に日常以外の"熱"は見えなかった。
まぁ、出されても私が困るんだけど。
むしろ私のほうが意識しすぎて集中が出来なかったくらいだ。
事務仕事をしながら昼食代わりのお菓子を摘まんでいたら、案の定千空から「太るぞ」と言われた。
うるさいノンデリ男。と内心悪態を吐くが、唇を尖らすだけで済ませたのは褒めてほしいものだ。
結局定時までもやもやが晴れず、いつもは一緒に帰る千空に「杠ちゃんのとこ行ってくる!」とだけ伝えて飛び出してきた。
…言うなれば気まずさから逃げたのである。
「千空君あなたのこと大好きだもん。大丈夫だよ」
そんなこちらの事情を知ってか知らずか、柔らかく微笑む杠ちゃんの後ろに後光が指しているように見えた。
自然とマイナス気味だった思考が回復するのを感じる。
やはり女神だったのかもしれない。
「…うん。いつまでも逃げてちゃしかたないもんね。私帰る!」
そう立ち上がり玄関に向かう私の背に、杠ちゃんは「頑張ってね」と笑った。
「わぁお!元気いっぱいですなぁ」
元気よく飛びつく私を、大人しく受け止めてくれる杠ちゃん。
もしかすると天使かもしれない。
いや、『仕事終わりに衣装返しに行くね』という私のメッセージに『大丈夫?疲れてない?』と気遣いながらも快く家に招いてくれる様は最早聖母なのではないか。
「明日以降でよかったのに」
彼女はそう笑い、お茶の入ったマグカップを机に置く。
「いいのいいの。今日、どうしても返したくて…」
笑いながら首を横に振る。
実際、これ以上手元に置いておいても仕方がないのだ。
「じゃあ、早速聞いていってもいいかな」
頷くと、杠ちゃんへ実際に試着しての感想を質問形式で答えていく。
一通り回答が終わったあたりで「やっと終わった」とマグカップに口をつけた。
自然とほっと息が漏れた。
どうやら緑茶のようだ。
甘い茶葉の香りと温かさに、仕事終わりの身体が解れていくのを感じた。
「…千空君には見せた?」
「ぶっ!」
驚いた拍子に思わず気管に入ってしまい、ごほごほと咳をする。
杠ちゃんが「大丈夫!?」と背中をさすってくれるが、これあなたのせいですよ?
咳の音が聞こえたのか奥の部屋から大樹君が「大丈夫か!?」と顔を出してくれる。
本当に似たもの夫婦だ。
「ゴホッ…大丈夫、お茶が変なとこに入っただけだから」
そう笑うと「ならよかった!」とだけ言ってまた奥へ引っ込んでいった。
どうやら話しやすいように別室に居てくれているらしい。
本当にできた男だ。
咳が収まった頃合いで杠ちゃんが「さてはなにかありましたな?」と笑う。
思わずまた変な咳が出るかと思った。
「な、なにもないよ?」
「そっかそっかぁ。千空君喜んでくれてよかったね」
なにも言っていないはずなのにそう笑う姿に、思わず「なんでバレてんの…こわ」と本音が漏れた。
流石は長い付き合いというか、察する能力が高いのも考え物だ。
喜んでくれて、か。
その言葉に僅か引っ掛かりを覚えた。
「喜んでくれた、のかなぁ」
ふと、今日の午後の彼の様子を思い出す。
休憩から戻った彼は、どこまでもいつも通りだった。
実験器具片手に目を輝かせ、他の研究員に淡々と作業を指示し、クロムのミスに楽しげに笑う。
その表情に日常以外の"熱"は見えなかった。
まぁ、出されても私が困るんだけど。
むしろ私のほうが意識しすぎて集中が出来なかったくらいだ。
事務仕事をしながら昼食代わりのお菓子を摘まんでいたら、案の定千空から「太るぞ」と言われた。
うるさいノンデリ男。と内心悪態を吐くが、唇を尖らすだけで済ませたのは褒めてほしいものだ。
結局定時までもやもやが晴れず、いつもは一緒に帰る千空に「杠ちゃんのとこ行ってくる!」とだけ伝えて飛び出してきた。
…言うなれば気まずさから逃げたのである。
「千空君あなたのこと大好きだもん。大丈夫だよ」
そんなこちらの事情を知ってか知らずか、柔らかく微笑む杠ちゃんの後ろに後光が指しているように見えた。
自然とマイナス気味だった思考が回復するのを感じる。
やはり女神だったのかもしれない。
「…うん。いつまでも逃げてちゃしかたないもんね。私帰る!」
そう立ち上がり玄関に向かう私の背に、杠ちゃんは「頑張ってね」と笑った。