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真の歴史へ・その二

横島達が平和な朝を迎えた頃…

西条は事務所に入るなり、職員達に次々に指示を出す

関係各所やマスコミの問い合わせの電話が鳴り止まない事務所は、西条の到着でようやく動き出す


西条自身は関係各所への連絡をしなくてはならない為、電話をかけて謝罪や報告をしていく


「はい…、連絡が遅れて申し訳ありません… いえ、事故ではありません。 正体不明の妖怪か魔族に襲撃を受けました」

西条は連絡が遅れたことを詫びつつ、今回の件は事件であることを強調する


まさか、時間移動能力者を狙った魔族の襲撃などと言えるはずが無い

マスコミが騒いでる以上、事故にすればオカルトGメンの不手際になり

Gメンが叩かれて、西条自身の責任問題になってしまう

結局、偶然起きた事件にするしか方法は無かった


事件にした場合問題になるのは、Gメンが近くにある事への不安である

訳の分からない相手に狙われる事務所があるのでは、ビルの所有者も付近住民もたまったもんじゃない


対応を間違えば、このビルを退去しなくてはならなくなるし

それどころか、今後Gメンが移転する先さえ探すのに苦労するだろう


テロや爆発などとは無縁に近い日本

その日本で、いつ狙われるかわからないGメンは厄介者扱いになる


西条はビルの所有者や付近住民にも、親切丁寧に説明して理解を求めなくてはならない

どんどん増えていく仕事に、西条は頭の痛くなる思いであった


ただでさえオカルト関係者の中には、Gメンを疎ましく思う人達が多いのに…

これ以上隙を作る訳にはいかない


西条はため息を吐きつつ、電話をかけていく


日本ではGメンが出来るまでは、GS協会が日本のオカルトをまとめ上げて来た


名前や組織の形態が何度か変わったが…

GS協会の大元になったのは、千数百年前からあった陰陽寮である


GS協会には、太古の昔から日本の霊的防衛を担って来た誇りがあるし

それに現在のGS協会を構成するメンバーはすべて、民間GS達や民間のオカルト関係者なのだ


新参者のオカルトGメンが警察気取りで、自分達の縄張りを好き勝手に荒らすのを良く思わない関係者も多い


そんな裏事情もあり、西条は非常に難しい対応を迫られていた
 
 
その頃令子は…

美智恵の部屋に結界を張っていた

簡易結界と同時に床に強力な結界魔法陣を描き、今夜の拠点にしようというのだ


本当は自分で魔族を倒したい

プライドの高い令子は、やられたままでは気が済まない

やられた分を百倍にして返したい気持ちでいっぱいだが…


体の怪我で、思うように戦闘は出来ないし

小さな令子の存在もあり、我慢するしかない


さすがの令子も、過去の自分だけは最優先で守るようだ


「この借りは必ず返すわ!! あの腐れ魔族め…」

令子は昨夜のハーピーを思い出して、怒りの表情で結界魔法陣を描いていく


「怖いよ…」

近くでは小さな令子が、目の前で殺気立つ令子を見て怯えていた


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