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平和な日常~夏~3

「ステージはここらでいいか?」

「そうですわね。 いいかと思います」

一方のあやかは、すでに麻帆良湖畔公園で大学部の関係者と会場設置の打ち合わせをしていた。

時間はすでに夜の九時を過ぎているが、予定では明日の朝までに会場の設置を終える計画らしい。

なお必要な資材などは麻帆良祭に使用した資材の再利用がほとんどであり、一部新たに必要な資材はあやかが用意するようだった。

すでに公園には百名以上の人が集まっており、会場の設置に当たっている。

他にも超と連絡を取り合い出店の数や場所を決めるなど、とても中学生とは思えない決断力でその場を仕切っていた。



そして出店の対応を任されていた超の方だが、大学部に戻り出店希望者達を集めて説明と交渉に入っている。

一応祭り開始時刻は明日のお昼を予定しているが、出店する際の参加費等はまだ未定だった。

横島としては出店から参加費を徴収することはあまり考えてないが、超は後日常識の範囲内で多少の参加費を集める可能性があると説明している。

ただ全体的には楽しむことを前提としているので、出来るだけ安くして欲しいとの交渉をしていく。

まあ実際は出店する側も儲け云々で考えて参加する訳ではないので、超の説明に特に異議は出なかった。

基本的に今回出店として参加を希望する者達は大学部のサークルが中心であり、彼らは日頃から祭り慣れしている。

公式非公式問わず麻帆良市内のイベントやお祭りに参加してる者達なだけに、全体的に顔見知りばかりであった。

超包子も当然このメンバーとは顔見知りであり、横島のパーティーが彼らに情報が流れたのは当然なのだ。

あやかの方とは違い祭り慣れしてるこちらは、いつも通りに頑張ろうと決まり早々に解散して準備に入ることになる。



「相変わらず目立つのが好きじゃな」

一方近右衛門はこの時間はすでに自宅に戻っており、突然やって来た刀子の話に急遽芦コーポレーションの会社を調べさせていた。

近右衛門も別に横島を疑う訳ではないが、全く知らぬ会社の名前に少し気になって知らべさせたらしい。


「まあ、祭りの協賛くらいならば問題はないか」

急遽調べた結果分かったのは最近起業した新興企業であるということと、横島が社長と親しいということだけだった。

近右衛門としてはわざわざ反対する理由がないことから許可を出すようである。

そもそも芦コーポレーションは起業したばかりだし、SNSの開発と試験運用しか行っておらず特に情報らしい情報がなかったのだ。

付け加えるなら魔法協会は、横島が株取引などをしてかなりの収益を上げてるのは前々から掴んでいた。

取引自体は横島本人ではなく知人に任せてるようだが、その知人が芦コーポレーションの社長だったとの情報しかない。

正直横島と会社社長の具体的な関係までは分かってないようだが、そもそも横島の経歴は特に怪しいところもないこと以上の詳しい情報はあまりない。

幼い頃から海外を転々としていたとのデータや書類上の経歴は調査したが、あれから厳密な過去の現地調査などまではしていないのだ。

はっきり言えば魔法協会も暇ではないし、麻帆良に来て早々に目立った横島の詳しい調査などするはずがなかった。

近右衛門自身が横島と顔合わせして危険はないと判断した以上、必要以上に過去を調べる意味はなかったのである。

ただそんな魔法協会が横島と芦コーポレーション社長との繋がりを知っていた理由は土偶羅がその情報をあえて隠さなかったことと、木乃香や明日菜を守るために魔法協会が横島の現在の情報を最低限集めてる為だった。

正直横島本人は疑われてないが、横島が狙われたり横島を騙して木乃香や明日菜を狙う者が居ないとは限らない。

魔法協会としては横島が魔法使いとして弱いとは考えてないが、プロの工作員なんかと渡り合えるとも考えてないのだ。

結果的に木乃香や明日菜と親し過ぎる横島は、一種の保護対象に入っていたようである。



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