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平和な日常~夏~3

「それで連中は反省しそうなのか?」

「すると思うか?」

その日の夜、閉店後の後片付けをしている横島の元に老人姿の人型ボディの土偶羅がやって来ていた。

昼間に刀子達が持って来た話の詳しい内情を知りたくて横島が呼んだのだ。

実際は横島が気にするようなレベルの相手ではないが、基本的に横島は臆病者なのである。

なんとなく気になった横島は土偶羅にストーカー連中が反省してるか尋ねるが、もちろん今回捕まったからといって反省する訳がなかった。


「馬鹿は死ななきゃ治らないってか」

「お前も悪い。 あの娘の言う通りナメられ過ぎだ」

横島は反省がないストーカー連中に呆れた様子だが、土偶羅はナメられ過ぎてる横島が悪いと言い切る。

元々その手のプライドが全くなかった横島は、昔から誰にでもナメられて甘く見られていた。

GSのバイトをしていた時代はそれが横島のプラスになってもいたが、今回のようにマイナスになることも少なくない。


「苦手なんだよな~ そういうの」

出来ない訳ではないのだが、横島は日頃から自身の力を見せてナメられないようにすることが苦手と言うか好きじゃなかった。

元々闘争心などが少なく他人と比べることが好きではない小心者なだけに、上に見られるよりは下に見られた方が気分的に楽なのである。


「だが手を打たねば周りの娘が不安になってるぞ」

「学園側が手を打たないなら動くしかないだろうな。 あんまり好きじゃないけど感情を操作して恨みを消すか」

正直横島はこの程度の相手に動くつもりはなかったが、千鶴や夕映達は横島の予想以上に不安を抱えていた。

この問題を長引かせるのは双方にマイナスしかならないのは明らかであり、横島は学園側の対応を見極めてダメなら介入することを決める。



「そういや最近さ、銀行とか証券会社の人間が時々来るんだが何かしたか?」

「それは単純にお前の資産が増えてるからだ。 わしのスペアが資金を稼いで工作会社を増やしてるが、一部にはお前の名義も使ってるからな。 前にクレジットカードを渡しただろ」

ストーカーの件が一段落した横島は次に最近銀行や証券会社の人間が訪ねて来るのを思い出しその理由を聞くが、自分が予想以上に資産家になってる事実に素直に驚いてしまう。

実は土偶羅は資金の管理や運用に関しても定期的に報告を横島に上げてるが、横島は数字を見るのが面倒で見てなかったりする。

ちなみに家賃や光熱費なんかも全部土偶羅に丸投げだった。

以前に土偶羅から買い物用にクレジットカードを渡されてはいたが、使うのはタマモのお土産を買うときくらいなので詳しいことは気にしてなかったらしい。


「自分で頼んでおいて何なんだが、何にもしてないのに金持ちになるのって複雑な気分だな」

「万が一の時に魔法協会を支援する為には仕方ないことだ。 どんな選択も金がないとどうしようもない」

いつの間にか頼んだことがどんどん進んでる状況に横島は何とも言えない様子だが、どんな方法を選択するにしても地球での基盤となる財力や組織はある程度必要だった。

結局横島は土偶羅なら上手くやるだろうと考え、これからも全面的に任せることにしたことは言うまでもない。

はっきり言うと横島にはその手の地道な工作は全く向かなかった。



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