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平和な日常~夏~2

さて図書館探検から戻った横島はそのまま徹夜でいつも通り庭の手入れや店の開店準備を始めるが、タマモが目を覚ましたのは朝食の時間が終わった頃だった。


「元気だせって。 次の時は起きてられるように頑張ればいいからさ」

目覚めたタマモは一瞬何がなんだか分からなかったようだが、図書館探検の途中で寝てしまったことを悟ると落ち込んでしまう。

始めて見るほどガッカリしたタマモの姿に、横島はちょっと困ったように励まして次回頑張ればいいと言うがタマモはなかなか納得がいかないらしい。


「にゃ~」

そのままなんとなく気分が落ち込んでいたタマモだが、桜子がビッケとクッキと遊びに来るとタマモは二匹に励まされてようやく笑顔が戻ってくる。

一見すると二匹の子猫がタマモにじゃれてるだけだが、実は二匹は元気がないタマモを心配して励ましていたのだ。


「いや~、助かったよ」

「マスターは相変わらず女の子の扱いが苦手なんだね!」

ビッケとクッキに励まされて元気が出たタマモが二匹と一緒に庭に遊びに出ると、横島はホッとしたように桜子にお礼を言っていた。

桜子自身は何も知らずに偶然来たようだったが、彼女の偶然の行動によりタマモが元気になったことは彼女の幸運を招く体質と無関係ではないだろう。

事情は知らないがタマモが元気になり横島がホッとした姿を見た桜子は、相変わらず横島は女の子関係が苦手なんだと改めて感じたらしい。


「あいつはもうちょっと自由に生きていいんだけどな」

「十分幸せそうだと思うよ」

そのまま横島は窓の外で野良猫達と一緒に走り回って遊ぶタマモとビッケとクッキを見て、タマモにはもっと自由に生きて欲しいとの本音を口にする。

しかし桜子から見るとタマモは十分幸せそうに見えていたようだ。


「タマちゃんはきっと今のままでも満足してるように見えるけどなぁ」

桜子自身も自分の言葉に意味などないし感覚的なものなのだから説明しろと言っても無理なのだろうが、桜子から見るとタマモは現状に満足してるように見えるらしい。


(桜子ちゃんも何気に霊能力者に向いてるのかも……)

いつも笑顔を絶やさずに周りを明るくしてる桜子だが、彼女が幸運の女神に愛されてるかのごとく幸運なのは横島も感じている。現状では桜子には特別な力はないが、桜子の幸運は紛れも無く彼女の潜在能力に関係してると横島は見ていた。


(幸運を招くのも魂の力の一つだしな。 世界が違えば超一流の霊能者にもなれたのかも……)

おそらく攻撃系ではないのだろうが、桜子の霊能力は潜在能力だけならば相当高いと横島は見ている。

まあそれが明らかにならない世界に生きる彼女には無縁な真実なのだが、世界が違えば彼女は一流の霊能者として生きてたかもしれないと思うと横島は感慨深いものを感じてしまう。


「ねえマスター、今度みんなでプールに行こうよ」

「ああ……」

一方横島がほんの少し考え込んでる間に、桜子はいつの間にか別の話に移っていた。

桜子の言葉になんとなく返事を返してしまった横島が、プールに行く約束をした事実を知るのは五分ほど後のことである



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