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平和な日常~夏~

その頃異空間アジトの人界の南極には、魔法世界の空中船が数隻密かに運び込まれていた

魔法世界で収集した各種魔法技術の実地検証の一環として、空中船の研究の為に運ばれた廃船間近のボロ船である


「やれやれ、魔力濃度の違いで動かんとは……」

そんな年期の入った空中船を見上げため息をこぼしていたのは土偶羅の分身体であった

どうやら魔法世界の空中船は環境が若干違う異空間アジトでは稼動しないらしい



ここで少し異空間アジトについて説明する

そこは元々神界・魔界・人界のかつての三界を、そのまま全く同じように設定されアシュタロスにより創世された実験的な世界であった

アシュタロス時代には様々な技術の収集や実験が行われており、コスモプロセッサーの開発や試験運用を行ったのも実はこの世界である

最終的にアシュタロスは自身の亡き後、三姉妹にこの異空間世界を託し現在は横島が所有している

ただ横島が使用してるのは異空間アジトの中でも人界地区の地球と月のほんの一部だけであり、異空間アジト内の神魔界はハニワ兵を常駐させて管理する以外は放置されていた


そんな訳でこの日魔法世界の空中船が運ばれて来たのは、異空間アジト内にある南極に存在するアシュタロス時代の研究施設である

そこは異空間アジト内の南極に更に異空間を流用して創った研究施設だが、要はかつて横島がアシュタロスと戦った南極の基地と同じモノが存在するのだ

環境としてはかつての地球と変わらないため、現在の横島が居る世界とも変わらない

従って魔法世界の環境に合わせた空中船は、このままでは動かないままだったのである


「あっちの環境に合わせた実験場が必要か……」

現在土偶羅は魔法世界用の空中船の建造計画を策定中だった

そのためには今回持ち込んだ空中船を徹底的に研究する必要があったのだ

現時点で横島は魔法世界への介入は全くするつもりがないが、介入も選択肢の一つであることに変わりはない

その為の一つの道具として、対魔法世界用の軍事力は当然必要であった

横島も土偶羅も力無き者の言葉や意志が世界で通用するなどといった夢想は持ってない

魔法世界と麻帆良の緊張関係が高まる現状では、誰が見ても理解できる力が必要であった

ちなみに土偶羅は魔法世界において空中船による輸送会社の立ち上げを行っており、以前購入した魔法世界の旧式空中艦もその会社の名義で購入している

辺境のあまり治安がよくない自治都市に小さな会社を設立したのだが、無論これは土偶羅による対魔法世界への工作機関であった


「スペックは初期型量産カオスフライヤー以下か……」

横島が麻帆良祭を満喫する中、土偶羅は分身体を研究に専任させて魔法世界の技術の検証を急がせることになる

全ては神楽坂明日菜という一人の少女の未来の為の計画というのが、横島らしいのかもしれない

本人が知らぬところで着々と準備は進んでいく



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