麻帆良祭への道・2

その後準備をどうするかや明日の開店について話し合いが行われるが、結局今夜徹夜することが決まる

明日の開店はすでに告知済みであり、出来れば変更したくないのが本音なのだ

あちこちから支援をして貰ってるだけに、ぎりぎりになって準備の遅れによる開店延期は正直好ましくない

あやかは規則と開店延期による関係者への迷惑を秤にかけ随分悩んだが、結局は開店を間に合わせる事を選んだようだ

まあ昨年も麻帆良祭の本番前に徹夜をした経験もあり、今年は徹夜する日が早まっただけだと考えるしかなかったのかもしるない


さて食後の横島だが後片付けを木乃香達に任せて、早々に外装や内装の準備に取り掛かっていた

特に外側の壁は日が暮れてからでは作業がしにくくなるため、優先的に取り付けている

トンカチで釘を打つ音が響く中、横島は茶々丸と二人で次々に外装を取り付けていく


「どうやら日暮れまでに外側は終わりそうだな」

「壁の取り付けは自体は問題ないかと……」

本当ならば壁の取り付けも2-Aのみんなに任せたいところだったが、時間的な問題で横島と茶々丸で取り付けを行っている

ヨーロッパ調の石造りの壁を真似した壁を二人は取り付けていたが、素人が作ったにしてはよく出来ていた


「問題はメニューと展示板の方か……」

準備当初から作っていた内外の壁はすでにほぼ完成しているが、メニューや使う食材などを紹介する情報板が全く手付かずだった

食材に関しては調味料などを除いた主要食材は国産で統一したが、提供元を紹介する掲示板も作成する予定なのだ

これは食材提供元である雪広グループなどの宣伝の意味もあるので、なんとしてもプレオープンまでに完成させなくてはならない

加えて食材の細かな情報を提示することで、麻帆良祭の催し物コンテストでの上位入賞を狙った一手でもある


「エヴァちゃんも来ればいいのにな~」

「マスターはあまり賑やかなのは好まないようです」

作業をしながらも世間話をしていた二人だったが、横島はふと最近姿を見ないエヴァが気になったようだ

以前茶々丸に話を聞いてからも姿を見せない事から呪いの研究で忙しいのだろうが、横島としてはもう少し外に出れば楽しいのにと思わずには居られなかったようである


(長く生きてれば誰でもいろいろあるからな。 それにやっぱ呪いで縛るのはダメだと思うわ)

エヴァを苦しめ孤独にする原因の一つになってる登校地獄の呪いに横島は改めて違和感を感じてしまう

ナギが何を想ってあの呪いをかけたのかは知らないが、いい効果は全く及ぼしてない

それに呪いで相手に何かを強制するナギのやり方が好きではなかった

例えそれが善意でも、強制すればいい悪意と変わらぬモノになると理解している


(友達にはしたくないタイプだな)

エヴァの一件を考える度に横島の中でのナギの評価が下がっていく

ナギが悪い人だとは思わないが、正直関わりたいとは思えない

いろいろ考えながらも横島は作業を急いでいた


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