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平和な日常~春~

4月も中頃に入ると麻帆良では電力関係のシステムメンテナンスの為に、年2回の学園全体の停電になる

そんな回覧板が回って来たのだが、横島はそれを見て僅かに首を傾げていた

普通の電力関係のメンテナンスで停電など、聞いたことがないのだ


(魔法協会の都合か?)

麻帆良は魔法協会の敷地内であり警備システムや管理システムなど裏の設備があるのは横島も理解しており、それに関わるメンテナンスなのかと考える


「まあいいか」

停電の理由を僅かに推測するが、横島には関係のないことであった

土偶羅から報告がないと言うことは、それほど気にする案件ではないのだ

結局は店を早く閉めて大人しくしてればいいだけなのだから



「横島さん、今週の土曜日の夜はお時間ありますか?」

その日もいつものように喫茶店を営業していた横島だったが、辺りが夜の闇に包まれる頃に夕映が一人でやって来て突然土曜日の夜の予定を尋ねる


「えっ……!? 暇って言えば暇だし俺は構わんけど、もうちょっと大人になってからの方がいいぞ」

「はい?」

突然予定を尋ねられた横島は何故か驚いた表情になり、真顔で夕映を諭すように言葉をかけていく

しかし夕映は横島が何を言ってるのかまるで理解出来なく、不思議そうに首を傾げるのみだった


「ん? 夜のデートのお誘いじゃないのか? 一人で予定を聞きに来るって言えば他にないだろ」

「ちっ違うです!! なんで私がデートを誘う話になるですか!? 私はただ図書館探検部の活動に参加して欲しいと思って声をかけただけです!!」

横島の話す意味を理解した夕映は顔を真っ赤にして興奮したように説明するが、横島は笑っているだけである


「そんな全力で否定せんでもいいだろうに、軽い冗談なんだからさ~」

「真顔で冗談を言わないで下さい!」

「いや~、冗談なのがバレたらつまらんだろう?」

軽い調子で笑って話す横島に、夕映はやはり顔を赤くして抗議していた

初対面でパンツを見られて以来、微妙に意識してしまうようだ


「それで図書館探検部がどうしたって? あんまり詳しく知らんが、俺は学生じゃないんだが……」

「全く……自分だけ楽しんで完結しないで下さい」

夕映の反応に満足したのか勝手に話を進める横島に、夕映は疲れたような表情になるが仕方ない言わんばかりに説明を始める


実は図書館探検部には年に何回か成果の発表会があるらしく、その発表会に向けてちょっと深い場所に行きたい為に大人の保護者を探しているらしい

図書館探検部は基本的に中・高・大の合同サークルだが、麻帆良に在住か勤務の一般人も参加は可能らしい

元々は違ったようだが、大学を卒業しても図書館探検部を続けてる先輩がいるらしく今は一般人でも入れる数少ないサークルであった


夕映は木乃香・のどか・ハルナと今回挑戦するのだが、発表会で発表するには大人の保護者が居ないと成果を披露出来ないので横島に目を付けたようである


「うーん、どうしようかな……」

「お願いします。 来てくれないと困るです」

熱心に図書館探検の楽しさを語る夕映だったが、横島は珍しく反応が悪い

正直横島は、これ以上魔法に関わりたくなかったのだ


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