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平和な日常~春~

そのままゆったりとした時間は過ぎていき、時刻は放課後になる

いつもならば女子中高生で賑わう時間なのだが、やはりこの日も前日に続きテスト前なために店内は人が少なかった


「暇だな~、店閉めてどっか遊びに行こっか?」

「にゃ~」

客が少ない為に暇な横島は、この日も散歩に来たビッケと遊んでいる


「しかしお前、そのぬいぐるみ好きだな~」

最近ビッケは店に置いてあるUFOキャッチャーのぬいぐるみの一つが、お気に入りだった

以前木乃香達とゲームセンターに行った時にゲットしたぬいぐるみを、横島は店のカウンターの隅に置いていたのだ

実はあの後ぬいぐるみを木乃香達にあげたのだが、流石に彼女達も一つ二つ貰っただけで余っていたのである

横島は余ったぬいぐるみをそのまま店に置いて、欲しい人が居ればあげていたのだが……

何故かビッケが犬のキャラクターのぬいぐるみを気に入り、最近店に来た時はいつも戯れていた


「にゃにゃにゃ」

ゴロゴロとぬいぐるみと戯れるビッケの可愛い姿に、横島は思わず携帯電話のカメラで写メを撮る


「せっかくだから、桜子ちゃんと茶々丸ちゃんにも見せてやろうか」

ぬいぐるみとビッケの可愛い写メに満足した横島は、猫好きな桜子と茶々丸にも見せてやろうとそのままメールで送った

実は最近横島は茶々丸のメアドも知っている

まあ茶々丸の場合はたまに茶道部に持ち込む茶菓子を横島に頼む関係で、メアドを知っているのだが……


「こんにちは、メールありがとうございます」

メールを送った3分後、エヴァを抱えた茶々丸が空を飛んで店に来ていた


「急に行きたい場所があると言い出したから何かと思えば……」

店に入るなりぬいぐるみと戯れるビッケに釘付けになる茶々丸に、エヴァは疲れたような笑みを浮かべる

どうもメールを受けとった茶々丸は急いで空を飛んでここまで来たらしい


「よく撮れてただろ?」

「はい、大変素晴らしいです」

突然来た茶々丸に熱い視線を向けられたビッケは少し不思議そうだが、その姿がまた茶々丸は気に入ったらしく嬉しそうだ


(最近茶々丸が変わった原因はこいつか?)

ビッケを挟んで楽しそうな横島と茶々丸に、エヴァは少し考え込む

最初こそ人形そのものだった茶々丸に自我らしきモノが生まれていたのはもちろんエヴァも気付いていたが、最近何故かそれが加速度的に進んでいるのだ

毎朝夜明け前に出掛けてるのも夕方にも時間があれば店に来てることもエヴァは知っているが、猫を嬉しそうに見つめる茶々丸には不思議な気分だった


(そういえば最近は近衛木乃香や椎名桜子とも仲がいいしな)

普段茶々丸は学校では基本的にエヴァに従っているが、エヴァがサボりなどで居ないと木乃香や桜子と話してることが多いのである

以前には無かった変化や交遊関係の原因が横島なのは明らかだった


(おかしな男だな)

茶々丸の変化にエヴァは僅かに驚きを感じてるが、それを止めるつもりはない

ただ自分の周辺に影響を与える横島に多少興味を持ったのは明らかである


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