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幻の初恋

食事を終えた横島と小竜姫はお茶を飲みながらくつろいでいたが、どこか落ち着かない

2人共突然変わった関係に戸惑っているのだ


「そう言えば小竜姫様、部屋の掃除に来たんすか?」

横島は思い出したように小竜姫に訪ねる

「あっ… そうでした! 本題を忘れてました! 実は妙神山とここを繋げようかと思って来たんです」

小竜姫はすっかり忘れていたようで、少し苦笑いを浮かべた


「繋げる?」

横島が意味を理解出来ずに首を傾げる


「亜空間を使って、この部屋と妙神山を繋ぐ入り口を作ります。 そうすれば、いつでも会えますし……」

小竜姫は説明の途中で顔を赤らめて小声でささやく

横島には後半ほとんど聞こえなかったが

『寂しい』や『一緒に』などの単語は微かに聞き取れた


「ご迷惑でしたか?」

小竜姫は少し不安そうに横島を見つめる

勝手に盛り上がって来てしまったが、横島の意見を聞いて無いのだ


「いやっ! 全然迷惑じゃ無いっす! 毎日小竜姫様に会えるなんて、夢のようです!!」

横島は不安そうな小竜姫の様子を見て、慌てて否定した


「そうですか… 良かった…」

小竜姫は本当に安心したように微笑む


それは、横島が喜んでくれたこと

そして、横島の近くに居れること


様々な喜びからの微笑みであった


「小竜姫様……」

横島は小竜姫の嬉しそうな笑みが、チビ小竜姫とダブって見える

やはり同一人物なんだと、横島は心から感じていた


「じゃあ早速、繋げますね」

小竜姫は嬉しそうに準備を始める

壁になにやら魔法陣を書き、呪文を唱えたとおもったら、すぐにその壁が光のカーテンのように変化した


「へ~、これで妙神山にすぐ行けるんすか?」

横島は初めてみる物を不思議そうに眺める


「ええ、そうですよ。 でもこのゲートは秘密にして下さいね?」

小竜姫は目的を達して満足そうに微笑む

これで、令子やおキヌに負けない

そんな決意も新たにしていた


「わかりました!」

横島は小竜姫の笑みに見とれながら返事をする


「じゃあ、今日は帰りますね。 あっ! そうそう、忘れてました。 必要無い物がありましたので、処分しました」

小竜姫はニッコリと笑顔を見せて帰った

しかし、その笑顔は先ほどまでと違い、微妙にトゲがある


「……何か置いてたか?」

横島は小竜姫のトゲのある笑顔に不思議そうに考える


「まさか……」

横島は慌てて押し入れを開けた


「無い……、全部無い」

横島は部屋をくまなく探したが、本当に全て処分されている

「俺の夢と希望が…」

横島はショックで崩れ落ちるが、小竜姫がそれに気が付くことは無いだろう


「しょっ、小竜姫様のアホー! 責任取ってもらうからなー!!」

横島の魂の叫びは小竜姫には届かないが、近所迷惑にはなったかもしれない



その頃美神令子は…


「今日は朝からなんか嫌な予感がするのよね~」

霊感が何かを感じたのか、それとも横島が一週間音沙汰無しなことが原因かわからないが…

一日中イライラしていた



そしてヒャクメには、審判の時が迫っていた

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