次の日、横島の元には麻帆良学園から麻帆良祭に関しての書類が届いていた

内容は麻帆良祭の開催予告と案内であり、麻帆良祭期間中の飲食店の営業に関する注意事項などが長々と書かれている


「問題があったら警察の前に実行委員会にか……」

注意事項は多岐に渡り食中毒や清掃などに関する注意事項から、期間中に揉め事などの問題が起きた際の対処方法まできめ細やかに書かれていた

そんな中横島の視線が止まったのは、問題が起きた際に警察の前に麻帆良祭実行委員会に一報が欲しいというところだった

近年麻帆良祭期間中は迷子から酔っ払いのケンカまで大小様々な問題が多く、実行委員会ではそれらの対処に全力を挙げてると書かれている

実行委員会ではそれらのトラブルのサポートなども行ってるらしい


「思った以上に親切だな」

注意事項の他には麻帆良祭への様々なサポート体制や相談窓口も書かれていた

麻帆良祭の各イベントに使用する看板や装飾の貸出や資金援助などから始まり、臨時アルバイトの募集の仲介まで行ってるようだ

まさに麻帆良学園の全面バックアップの元での麻帆良祭らしい
　
その他各イベントのスポンサー募集やら麻帆良祭公式ガイドに自分の店を載せる手続きなど、書類は十枚以上ありその規模を窺わせるものだった


「もしかして店を休めば嫌な顔をされるのか？」

書類には麻帆良祭期間中に飲食店が休む事など全く想定されてない

各種サポートから資金援助や無利子の貸し付けまで幅広く営業する手段は用意されてる

麻帆良祭は麻帆良学園のみならず各サークルや麻帆良内の店舗などにとって最大の稼ぎ時なだけに、そんな時に店を休めば嫌な顔の一つもされるかもしれないと思ってしまう


「確認は必要だよなー」

すっかり休むつもりだった横島だが、麻帆良の人々が一体となって盛り上げてる麻帆良祭を勝手に休んで大丈夫なのか確認は必要だった

実行委員会は当然として近所の商店街の人々の反応も確認しなければならない

下手に勝手な行動をして村八分にされると今後の営業に関わるのだ


（嫌な顔されるだろうなー　近所の人の反感を買うと後々面倒になりそうだし）

少し考え込む横島だったが、店の客には近所の住人も多い

積極的に近所付き合いをしてる訳ではないが最低限の付き合いはしてるし、何よりも稼ぎ時に自分だけ休んで周りに冷や水を浴びせる結果になると今後が面倒になる

人との繋がりやコミュニケーションは力やお金で解決出来ない分、横島は慎重にならざるおえなかった

結局横島はここ数年の麻帆良祭の資料を集めて、店の営業に向けた準備も一応進めることにする

横島としては稼ぐ気は全くないのだが、周りの人に合わせることはやはり必要だった

昨日木乃香達が営業を勧めてたこともあるし、忙しいのが嫌だという理由で自分だけで休むのは問題だと感じている