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平和な日常~春~

木乃香の言葉でも半信半疑な様子の明日菜は、目をぱちくりとさせて横島を見つめる

金持ちだとかいろいろ噂があるのは当然知っているが、それにしても予想外だったらしい


(本当は俺も馬鹿なんだがなー 探検部でちょっと調子に乗りすぎたか?)

明日菜の視線に横島は僅かに良心が痛む気がした

横島自身は高校時代は赤点ぎりぎりの常連だった訳だし、令子や魔鈴の知識で翻訳してしまった事がやり過ぎだったかと少し後悔する


「まあ解る範囲で教えるから頑張れよ。 学校のテストは頭の良し悪しよりは、要領の良し悪しの方が成績に影響するしな」

頭の良し悪しから過去を聞かれると困る横島は、明日菜にテスト勉強を教える事でごまかしていく

横島達がそんな会話をしていた店内だが、今日は客も少なく静かだった

放課後から日暮れまでの時間はいつもならば中高生達で賑わうのだが、テスト前の為に客の入りがイマイチなようである


「木乃香ちゃんはやっぱり要領がいいみたいだな。 ノートが解りやすいわ」

客も少ないため横島はそのまま明日菜と木乃香の教科書とノートを借りて見ていたが、やはり明日菜と木乃香では勉強の仕方が違うようだった

明日菜もやる気はあるようだが勉強に着いていけなくなってる為に、ノートも黒板の丸写しに近く解りにくい

物覚えの良し悪しもあるのかもしれないが、現状では勉強の仕方の良し悪しの方が大きいようだ


「うーん、やっぱり勉強って好きになれないわ。 私の場合は体を動かす方が性に合うのよね」

「まあ勉強が好きでやってる奴なんて、あんまり居ないだろうな」

一応勉強しようかと教科書のテスト範囲をぺらぺらとめくる明日菜だったが、最初から気力が尽きかけている

横島はそんな明日菜の気持ちがよく分かるだけに苦笑いを浮かべて否定も肯定もしなかったが、問題は精神的なモノかと思う


(勉強のやり方と精神的な問題が大きいみたいだな。 解らないから余計にやる気が出ないんだろうしな。 生徒が多い学校なだけに先生が雑なのか?)

明日菜も勉強を頑張ろうと努力はしてるのだが、結果が着いて来ないのが一番の問題だった

勉強の仕方が不器用なのは理解した横島だが、教師陣がそこをどう考えてるのか分からない


(確か担任はあの人だよな? 教師としての仕事よりは裏の仕事に熱心なのか? まあ教師もただの仕事と同じだしな。 生徒一人一人の状況まで考えなくても仕方ないのはあるけど……)

明日菜の状況から担任の高畑の事をふと考え始めた横島だったが、正直教師として熱心だとは感じなかった

まあ現実的に教師も一人の人間だし仕事として教えてる訳で、本当に生徒の事を第一に考えてるとは思ってない

現実に物語のような生徒を第一に考える教師など多くないのだから


「とりあえず勉強するんだったら手伝うぞ。 無理強いはせんがな」

テスト勉強にイマイチやる気が出ない明日菜に横島は、やる気があるなら手伝うと笑って話すくらいだった

無理に勉強させるつもりなんてないし、勉強が出来ないからといって死ぬ訳でもないのだし……



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