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平和な日常~春~

連休も終わった五月の中頃、横島は大学部のとある講堂に来ていた


「大学生って楽しそうだな~ 俺も大学入って遊びたかったよ」

「動機が物凄く不純です」

大学部の敷地内に入った途端キョロキョロと回りを見渡す横島に夕映は少し恥ずかしそうだが、更に大きな声で遊びたいと言い出して余計恥ずかしくなってしまう


「何事も経験だ」

「物は言いようとはよく言ったものです」

ちょっと冷たい視線の夕映に横島はごまかすような事を言うが、夕映はバッサリと切り捨てる


「最近夕映、横島さんに遠慮無くなってきたね」

「横島さん遠慮されたりするの嫌いなんや。 アスナも最近態度変わらんようになったし……」

年上の横島に遠慮なく突っ込む夕映にのどかは若干驚いているが、木乃香は横島が遠慮されるのが嫌いなのをすでに理解していた

事実横島はバッサリと切り捨てた夕映に対して機嫌がいい


「講堂に入ったらしっかりして下さいね。 横島さんは私達のリーダーになってるのですから」

「えっ!? 何で俺がリーダーなの?」

「大人である横島さんがリーダーにならないと、地下3階以下には入れないのです。 地下探検には事前に図書館探検部事務局に申請が必要なのですよ」

夕映達の手伝いをしていただけのつもりだった横島だが、実は自分が中心にされてる事に若干驚いていた

最初夕映に頼まれて地下探検に参加する前、確かに図書館探検部の入部届けは書いたがまさかリーダーにされてるとは思わなかったようである


「たまに迷って帰ってこん人もおるんよ。 図書館島の地下に行く前に計画書を提出しなあかんし、入る前と出た後は電話で報告も必要なんや」

細かな事は全て夕映がやっていたから横島は知らなかったが、図書館島の探検は結構細かな規定やルールがあるらしい

横島がいい加減な性格だった事から、夕映は最低限の説明以外しないで自分でしていたようである


「そうだったんだ~ まあ、いいけど」

木乃香に細かく説明された横島だったが、相変わらず軽く流して納得してしまう

そんな横島を木乃香達は若干の苦笑いを浮かべて見守っていた


さてそんな一同が何故大学部の敷地まで来たのかと言えば、今日は図書館探検部の定例発表会なのだ


実は先日見つけたラテン語の日記が結構貴重な品だったらしく、本日夕映達が発表する予定なのである


「おう、広いな」

講堂に入るとすでに席は半分くらい埋まっており、中学生から大人まで幅広い人が集まっていた

どうやら全員図書館探検部員らしく、ここに集まってるのはかなりやる気のある人らしい


「そういえば翻訳して頂いた内容が正確だったので、大学部の先輩が翻訳を頼みたいと言ってたのですが……」

「悪いけど断ってくれないか? 出来んこともないが、楽しくもないんだわ」

「そう言うと思って断っておきました。 社会人なので忙しいと言っておいたです」

「さすがだな~ 今度大盛りフルーツパフェをサービスするよ」

空いてる席に座る横島達だったが、横島と夕映の会話は相変わらずだった



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