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平和な日常~春~

そして探検部の活動を朝方に終えた横島は、僅かな睡眠時間でいつものように早朝に起きていた

元々きつい仕事には慣れてる上、現在は肉体がない存在な為に必ずしも睡眠が必要ではなかったのである


「おはようございます。 お邪魔してます」

横島が庭に出ると、そこにはすでに茶々丸が居て猫ハウスで眠る野良猫達をじっと見ていた

茶々丸は横島の姿を見ると立ち上がり挨拶するが、最近彼女は雨の日以外は毎日庭に来ている


「おはよう。 寝心地はまずまずみたいだな」

横島は少し前に作った猫ハウスを覗き猫達の様子を見るが、中ではいくつか置かれたクッションの上で猫達が丸まって眠っていた

この猫ハウスは開閉式のガラスの窓や入口も雨が入らないように工夫がされており、見た目は大きな犬小屋だったが中身はかなりしっかり作られている


「猫が好きなのですか?」

毎日朝早く起きて猫達の様子を見る横島に、茶々丸はふとした疑問を問い掛けてしまう

麻帆良の街の人は野良猫などにも優しい人が多いが、庭に住家を用意までする人は珍しい


「うん? そうだな~ 猫は好きだし他にも動物はみんな好きだぞ。 一生懸命生きてるから、ついつい手を貸したくなっちまうしな」

会話をしながらも花壇に水をやる横島の姿を茶々丸はじっと見つめていた

横島と知り合ってあまり月日は過ぎてないが、何か人とは違う感覚を横島に感じている

自分はガイノイドであり全てはプログラムによる思考だと理解しつつ、茶々丸は僅かな違和感と好奇心を抑える事が出来なかった

人はそれを自我と呼び自然な魂を持ち生きてる茶々丸なのだから当然の変化だったのだが、それに気付いているのは今はまだ横島のみである



さてゴールデンウイーク初日のこの日、厨房には山盛りの苺が入った大きなザルが四つほど持ち込まれていた

それぞれに苺の種類が違い、生で食べたら美味しい苺から加工用に向いた苺まで様々である

そのままでも美味しそうなほどの真っ赤な苺の甘い香りが厨房に広まる中、横島はそれを使ったスイーツを作り始める


「とりあえずアイスからか。 しかし潰すのもったいないな」

下処理した苺を潰してアイスを作っていく横島だが、持ち前の貧乏性からかそのまま食べたくなってしまう


「甘くて美味しいわ。 元々安物の苺じゃないしなー」

山のようにある苺に思わずつまみ食いしてしまうが、それは例によってスーパーで安売りするような苺ではない

実はどれも高級ブランドの苺なのだが、例によって異空間アジトでハニワ兵により生産された為に材料費がタダなのだ

異空間アジトでは苺だけで何種類も生産されてるが、元々生産させた人間が令子達なためにどれも高級品だった


「これで冷凍庫で凍らせればオッケーだな」

苺のアイスを三種類ほど作った横島は続いて苺ショートや苺タルトや苺のチーズケーキなどを次々に作り始める

実はこの日はゴールデンウイークで学生達が休みなので、限定メニューに苺のスイーツ食べ放題を企画していたのだ

せっかくのゴールデンウイークなのだからと横島が考えたのだが、相変わらず女の子だけには妙にマメな男である


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