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異邦の占い師

「やっぱり変わった人やね~ 占い師がそないな事言うたらお客さん逃げていくえ」

「アハハッ、半分趣味みたいなもんだからな。 お嬢さんも可愛いから300円でいいぞ」

占いを否定するような横島の言葉に木乃香は笑ってしまうが、明日菜はやはり微妙そうだ

本人は真剣なのだし、せめてもう少し真面目にやって欲しいのだろう


「……君と好きな人はとても深い縁で結ばれてる。 しかしこれは恋愛の縁ではないみたいだな。 焦りは禁物だろう。 君の恋愛運は波乱が見えるし、簡単ではないのかもしれないな」

ほとんど期待してない明日菜だったが、横島が水晶玉に手をかざすとその表情がガラリと変わった事に気付き驚きを隠せない

まるで別人のように変わった表情は見た目の年齢よりもずっと大人のように見えてしまい、年上趣味の明日菜が一瞬ドキッとするほどだった

しかも占いの内容は真面目な物であり、明日菜の好きな相手とも当て嵌まる部分が多いだけに驚き過ぎて言葉が出ない


「なあ、来てよかったやろ? ウチが知ってる占い師の中で一番凄い人なんや」

占う前とまるで違う明日菜の表情に、木乃香は自信ありげに笑みを浮かべる

明日菜の驚いた表情がちょっと嬉しかったようだ


「わっ……私フラれるんですか!?」

「それはわからんよ。 未来は君がこれから作っていくもんだしな。 それに君が好きな相手も多分君を大切に思ってるぞ。 強い絆が見えるからな。 ただ恋人という形にするのは難しいかもしれないんだ。 まあ焦らずに相手との距離を縮めて絆を大切にする事だな」

「はい……」

あまりにリアルな占いの結果に明日菜は泣きそうになりながら詰め寄るが、横島は占いは所詮占いだからと言いちょっと真剣にアドバイスを送るしか出来ない


「絶対ダメだって訳じゃないし、可能性があるんだからあんまり考え過ぎるなよ」

真剣に落ち込む明日菜を横島はなんとか励まそうとするが、明日菜の表情は微妙に冴えないままだった

所詮占いと言えども結果が当たってるだけに、やはりショックがあったようだ


「お兄さんいつまで此処に居るん? ウチに占い教えて欲しいんよ」

横島と木乃香でなんとか明日菜を励ました後、木乃香は本題に入っていた

占い研究会の木乃香としては横島の占いのコツを習得したいらしい


「いつまでって言われても、特に決めてないんだよな~ あんまり客が来ないからどうしようかとは思ってるんだけど」

「正直怪しいですよ。 木乃香に勧められなかったら私も絶対頼まないですし、どっちかと言うと新手のナンパに見えますよ」

客が来ないと笑って話す横島に、明日菜は遠慮しながらも姿や話し方が怪しいと告げる

現に占いが終わるとまた軽い調子に戻ったため、明日菜はギャップを不思議そうに見ていた


「あんまり期待されてもな~ 半分趣味みたいなもんだから、気楽に占いに来て欲しいしさ」

「なー、ちょっと変わった人やろ?」

「そうね。 いい占いなのに神秘性のカケラもないもんね」

軽い調子であまり期待されたくないと半ば占いを否定する横島に、木乃香と明日菜は笑ってしまう

やはりどうみても占い師に見えないのだ

これで全く当たらないならいいのだが、何故か当たるのだから不思議で仕方なかった

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