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平和な日常~秋~2

「なんか凄い人達ですね」

「なんでもいいんちょのお父さんである雪広政樹さんと、那波さんのお父さんである那波衛さんは幼い頃からの友人だとか。 割と有名な話ですよ」

保護者達が賑やかな中、少女達は割とマイペースで昼食を食べていた。

お昼休みの時間は限られており、早く食べないと午後の競技に支障が出るのだ。

まあ夕映とのどかのように、昼食を食べれなくてお茶で休んでる者も居るが。

そんな中さよは横島をタジタジにしている大人達に驚いているが、夕映いわくあやかと千鶴の父が友人なのは有名な話らしい。


「ええ、他にも木乃香さんのご両親は学生時代からの友人らしいですわ。 今日はいらっしゃらなかった木乃香さんのお母様も一緒だったと聞きましたわ」

「皆さん仲がいいんですね」

夕映の説明に細くするようにあやかは木乃香の両親も古い友人だったと告げて周囲を驚かせる。

さよはあまり深く考えずに羨ましそうだが、少し考えれば麻帆良学園と雪広や那波の深い繋がりの一端なのだと気付くのだから。


「うち始めて聞いたわ~」

「木乃香さんのお母様は確か二十数年ほど前のミス麻帆良だったので、探せば昔の写真もありますわよ」

ただ夕映やあやかの話をほとんど全く知らなかった者もおり、それはなんと木乃香である。

詠春と共に今は関西に住む木乃香の母だが、元々は近右衛門の娘として大学卒業までは麻帆良に居たのだ。

詠春共々関西に行った経緯は二十年前の戦争の影響なのだが、元々詠春と木乃香の母は幼なじみでありナギ達と旅に出るまでは詠春は木乃香の母の護衛を勤めていた経緯もある。

ちなみに余談だが木乃香の両親の結婚は東西の魔法協会の統合や対魔法世界のための政略結婚という側面が強かったが、木乃香の母が関西呪術協会を継ぐ話が出た時に何人かの候補から詠春を選んだのは母本人でもあった。

ここまで言えば分かるだろうが木乃香の母は若い頃からずっと守ってくれる詠春が好きだったのだが、詠春が身分の違いを理由に答えて無かった過去がある。

そんな詠春が結婚を知った時にはすでに外堀が完全に埋められており、どうしようもなかったらしい。

魔法の腕前もずば抜けており詠春との結婚までの過程を知る者の中には近右衛門の政治的な才能も継いだといい、関西の主は彼女になるのではと結婚当初はもっぱらの噂だったが、詠春との結婚後は一切活動をせずに妻として母として生きている。


「いや~、まいったまいった。 流石に一流企業のトップは冗談もスケールが違うわ」

あやかの説明に木乃香達が耳を傾けてる頃、横島はようやく保護者達の元から解放されて戻って来ていた。


「えっ!? 冗談だったの?」

「あら、お父様は結構本気よ」

「まあ横島さんですからね」

戻って来た横島は千鶴の父からの誘いを冗談だと言い切り一部の少女が驚くが、千鶴とあやかは真顔で本気だったと言い切る。

ただ横島がその手の話を素直に受け取らないのは、彼女達には折り込みだったようだ。



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