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平和な日常~秋~2

それぞれが体育祭を頑張ってる中、横島は二回戦も順調に勝ち進んでいた。

女連れの軽薄な男が来たことで当初は反発も多かったが、勝ち進むと会場の雰囲気は変わる。

何より実力を示したことが一番大きいがペガサスといいプテラノドンXといい、昔のミニ四駆を持ってることからも何者だろうと憶測が広がっていた。


「次のコースはあれかぁ」

ミニ四駆大会のコースは全部で五コースあり、横島はそのつどセッティングを変えて挑んでいる。

競技が始まり二時間ほど過ぎた現在は参加者の半数はすでに敗北したが、基本的にサークルやチーム単位で参加する者がほとんどなので応援に回ったりして会場の人数自体はあまり変わってない。


「ヤッホー、マスターこんな競技に参加してたんだ?」

「屋台のお店出すと思って期待してたんだよ!」

そしてこの頃になると横島の元には、近くに居た知り合いなどが応援に来たりして少々賑やかになり始めている。

横島の居る大学部近辺でも多少の競技が行われており、何かのついでに覗きに来る者も多い。


「屋台は無理だって。 木乃香ちゃん達がみんな体育祭に参加してるからな」

「そうそう、彼女優勝候補の一角なんだって!? 明日の決勝は応援に行くわね」

やって来る者の大半は店の常連でありほとんどはいつもと同じく世間話程度の話をしていくが、全体的に注目度が高いのは木乃香の方だった。

料理大会は技術系競技の花形であり注目度は高い上、今朝の麻帆良スポーツ体育祭特集号では大々的に料理大会の予選突破者を紹介している。

木乃香の場合には大会前の特集号でも要注目選手として紹介されており、友人知人や店の常連の人々の期待が集まっていた。


こうして説明すると横島の周りには女性ばかりに思うかもしれないが、実は男性大学生の応援も少ないながら来ている。

麻帆良祭で知り合いになった工学部の何人かや八月の納涼祭で知り合いになった男性大学生の何人かが、噂を聞き付けて応援に来てくれたのだ。

来てくれた人は飲食サークルや土建サークルなど多岐に渡り、差し入れの料理なんかも結構貰っている。


「あいつやっぱり有名なんだな……」

「なんでも八月の納涼祭の関係者らしいぞ。 超鈴音の知り合いだとか……」

結果的に横島の元には入れ替わり立ち替わりいろんな人が訪れるが、他の競技と比べて地味でマニアックな部類に入るミニ四駆大会では少し異例なことだった。

陸上や武道大会なんかのような花形の種目は応援も多いが、ミニ四駆に応援に来るならばラジコン大会や車やバイクレースの大会の応援の方が多いのである。

素人やよそ者が入りにくいような空気もあり、横島のような参加者は本当に珍しいらしい。


「今日は次の試合で最後だし、午後はみんなの応援に行こうな」

「うん、がんばっておうえんする!」

そして横島の一日目の最後の試合を目前にした横島は、差し入れの料理を美味しそうに食べるタマモと一緒に午後の予定を相談していた。



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