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平和な日常~秋~2

さてこの日の木乃香は超や五月と一緒に料理大会の特設会場に来ていた。

予選は調理科のある学校で行われていた料理大会だが、準決勝以降は特設会場で行われる。

料理大会は企業のスポンサーも付いてるらしく、二千席の観客席に囲まれた会場は予選とは別次元の環境だった。


「やっぱり、ウチ自信ないわ~」

準決勝からのルールは以前も説明したが、お題となる料理を作るのが基本だ。

加えて食材や調味料は全て大会側が用意した物を使うことになっており、持ち込みは認められてない。

食材の目利きから料理工程の手際まで全てが見られることになる準決勝のプレッシャーは予想以上だった。


「大丈夫ネ。 自信がないのはみんな同じヨ。 木乃香サンは十分戦えるレベルネ」

超と五月の中華部門は午後一時から準決勝であり、木乃香のスイーツ部門は午後三時からだった。

現在は和食部門の準決勝を見ているが、不安そうな木乃香を励ましていたのは昨年の経験者でもある超と五月である。


「準決勝進出者でもレパートリーにないお題の人も居ますからね」

準決勝以降の特徴はやはりお題なのだが、準決勝進出者でも作れない者が出るようなお題になることもあった。

ちなみに今年の和食部門の準決勝のお題は巻き寿司であり、地味に難しいお題になっている。


「巻き寿司もどちらかと言えば、寿司職人の分野だから難しいネ」

「飾り巻き寿司なら先々週タマちゃんと一緒に習って作ったんやけどな~」

準決勝進出の和食部門の参加者達も巻き寿司には苦戦してる者が居たが、木乃香は先々週に横島から教わったらしく出来ればこれに出たかったとこぼす。

超と五月はそんな何気ない木乃香の言葉に僅かに複雑そうな笑みを浮かべた。

木乃香は割と普通に飾り巻き寿司を教わったと言うが、実際プロ並の飾り巻き寿司は早々できるものではない。

横島は恐らく気まぐれで教えたのだろうが、木乃香のレパートリーは料理分野も難易度もマチマチなので木乃香の料理の実力を計るのは本当に難しいのである。



「みんな頑張ってるわね」

一方陸上競技に参加している明日菜は、会場のオーロラビジョンで発表されている代表的な種目の途中経過を見ていた。

これは報道部と麻帆良ケーブルテレビが共同で放送してる生番組であり、代表的な種目の中継から各種目の成績や途中経過をケーブルテレビのネットワークで放送しているのだ。

ちなみに今年からは体育祭専用特設ホームページにて、体育祭の各種目の詳細情報から始まり各学校やクラス・学年単位の順位速報まで事細かに情報提供している。

こちらは基本システムを芦コーポレーションが提供して学園側が情報更新する仕組みになっており、携帯電話で簡単に欲しい情報が瞬時に分かるからと評判も上々だった。


「横島さん大丈夫かしら?」

オーロラビジョンの途中経過にミニ四駆大会はなく、競技中の明日菜は携帯も持ってないため横島の状況が分からない。

美空やあやかはそんな相変わらずの明日菜を見てクスクスと笑っていた。



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