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平和な日常~春~

「わー、意外と歌が上手いね」

「これでも昔はカラオケの忠ちゃんと言われたんだぞ。 ちょっと昔の歌なら完璧だ」

桜子達に誘われるままにカラオケに来た横島だったが、ここでもまた意外と歌が上手い横島に美砂と円は驚き桜子は素直に拍手をして褒めていた

ちなみに桜子は横島にタメ口だが、これは横島が親しい人に敬語を要らないと言ってるためである

さすがに知り合ったばかりの横島に普通タメ口を使うのは桜子だけだったが……


「もっと最近のやつ歌って下さいよ」

「最近の歌ほとんど知らないんだよなー ほら、俺最近まで宿無しでふらふらしてたからさ」

桜子達と順番に二~三曲歌っていた横島だったが、やはり選曲は数年古い歌ばかりだった

美砂などは最近の歌を進めるのだが、横島は全く聞いた事がない歌である


「うわー、ダメですよ。 その若さでオッサン化してるじゃないですか」

最近の歌を知らないと言う横島に、美砂と円は信じられないと言わんばかりに軽くダメ出しをしていく

彼女達の感覚では横島は大学生くらいに見えるし、老け込むには早いと感じたようだ


「じゃあ次はコレとコレを覚えて来て下さいね」

「私はコレがいいな」

「いや、こっちの方がよくない?」

若干困った表情の横島に美砂・桜子・円の三人は、次までに覚えて欲しい歌を勝手に上げていき盛り上がってしまう


(俺がテンションで押されるとは…… 元気な子達だわ)

横島自身決してテンションが低い訳ではないが、横島のテンションが上がれば桜子達はそれに乗っかり更にテンションが上がっていくのだ

その後横島は三人と一緒に6時間カラオケを続ける事になる


「本当にいいんですか? 私達が誘ったのに」

「ああ、いいって。 流石にいい年して中学生と割り勘は恥ずかしいよ」

その後6時間カラオケを歌って飲み物や食べ物を結構頼んだ結果、カラオケにしてはそこそこ高い金額になったが結局は横島が全額支払う事にしていた

流石に三人はいくらかは払うつもりだったのだが、横島が見栄を張って自分が払っていたのだ

一応大人としての自覚が僅かだがある横島としては、中学生と割り勘は流石に恥ずかしいらしい

それに美少女の三人にいい格好をしたいという、邪な気持ちもやはりあった

昔のようにヤリたい云々は随分減ったが、モテたいと思う気持ちはない訳ではない

しかも女の子に褒められた記憶などない横島は、褒められる事に異常に弱かったのである

カラオケで散々褒められてかなり気分がよかったようだ


「本当は送ってやりたいんだが、あの車二人乗りなんだよな。 気をつけて帰れよ」

「カラオケ代ありがとう! ビッケとクッキ連れてまた行くね」

四人が外に出ると時間はすでに夕方に近い時間であり、横島は桜子達とカラオケ屋で別れた

本当は麻帆良まで送ってやりたいが、コブラは二人乗りな訳だし……



「なかなか面白い人だったわね」

「うん、メールもマメに返事くれるし面白い人だよ」

「なに桜子あの人狙ってんの!?」

横島が去った後、三人は横島の話題で再び盛り上がっていた

年上の割に子供っぽいというかノリがいい横島の評判は悪くないようだ

まあ面白いが第一印象にくるのは相変わらずだったが

しかし変に肩肘張ったり意識しないで楽しめる人だという印象を持って、三人は麻帆良に帰っていく



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