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平和な日常~春~

一方この日、近右衛門はイギリスの友人から来た手軽を見て複雑な表情を浮かべていた


「彼の息子が卒業か……」

手紙な内容は英雄と呼ばれたナギ・スプリングフィールドの息子、ネギ・スプリングフィールドが今年魔法学校を卒業予定だと書かれている

そこまでならばいいのだが、近右衛門が苦悩したのはその先だった

そこにはネギ・スプリングフィールドを麻帆良で受け入れて欲しいと書かれているのだ


「困ったのう。 ワシももう若くはない。 これ以上の問題は抱えきれんぞ」

ネギに罪はないと理解してる近右衛門だったが、その存在が爆弾に等しいほど危険なのも理解している

それはネギの母親が魔法界で《災厄の女王》と呼ばれるアリカ・アナルキア・エンテオフュシアである事が問題だった

これまでナギ・スプリングフィールドと赤き翼の功績に隠された負の側面により多大な負担と犠牲を負って来た近右衛門は、正直これ以上の厄介事を背負い込むのは勘弁して欲しかったのだ


「婿殿も高畑君も組織のトップにはあまり向かんからのう」

近衛家として日本の裏のトップを勤める近右衛門の一番の悩みは、後継者不足である

娘婿であり関西呪術協会の長でもある近衛詠春も、関東魔法協会所属にして赤き翼の生き残りの高畑も、共に一流の戦士な事に変わりはないが残念な事に組織のトップにはあまり向かない人間だった

二人共に政治的な能力が乏しく、近右衛門の後釜になるにはあまりに不向き過ぎた

特に高畑はその戦闘力こそ素晴らしいのだが、戦闘以外の問題を解決する力は正直あまりない

この上ネギという爆弾を抱えると、近右衛門は後10年は最低でも現役でいなければならなくなる

出来れば断りたいのが本音だった


「いい子なようじゃから、不憫なんじゃがのう」

手紙にはネギの成績や性格などが事細かく書かれている

ネギの成績は近年ないほど素晴らしく基本的には素直で真面目な子供だと評価する一方で、苦手な事を避ける傾向にある事や規則を度々破り危険な攻撃魔法を覚えようとしたなどの欠点も書かれていた

加えて一番問題視されていたのは人間関係を構築出来ずに、ただでさえ数が少ない魔法学校の生徒で友達がアーニャしかいなかった事である

山奥の隠れ里で育ったため世間知らずだとも書かれており、近右衛門の友人であるメルディアナ学校の校長は麻帆良でネギに対人面での成長を促したいようであった


「そもそも麻帆良には爆弾を抱えたネギ君の指導を任せられる者がおらん」

ネギの詳細な情報から近右衛門は受け入れた際の対応を考えていくが、まず問題になるのが指導者である

命を狙われる可能性があり、世間知らずなネギを指導するのは簡単ではないし負担も大きい


「それにエヴァがなんと言うかのう」

近右衛門の不安はエヴァンジェリンにもある

ナギにより預けられたエヴァンジェリンだが、ナギが戻らぬ為に永遠に麻帆良に括られるハメになったのだ


「ナギにも困ったものじゃのう。 ワシには厄介事ばかり残しおる」

ナギの残した問題は今も近右衛門に頭の痛い問題ばかりだった

ナギにより預けられたエヴァに関しても、近右衛門にとっては難しい問題である

そもそもエヴァンジェリンの問題は元々本人にはあまり批は無く、メガロメセンブリアの政治に利用されて悪役に仕立てられたのだ


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