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平和な日常~夏~3

夜食を食べた少女達は朝方まで宿題をしていたが、数人の少女は眠気に勝てずに二階で仮眠を取ったりしていたので結局朝まで店は開けたままだった。

もっとも深夜に客が来ることは無かったので、宿題をやる少女達に店を解放していたという言い方の方が正しいのかもしれないが。


「あらお嬢ちゃん、今日も早いわね」

「おはようございます」

夜が明けた頃になると、徹夜していた少女達は宿題を終えて帰る者もぽつぽつと出て来る。

それでもまだ仮眠から起きた少女や徹夜したまま頑張る少女も数人居たが、横島は同じく徹夜で朝まで勉強を教えていた刀子や木乃香達に後を任せてタマモを連れて朝市に買い出しに出掛けていた。

麻帆良の朝市は毎日約三百人ほどの出店者がおり、野菜や果物は横島もちょくちょく購入している。

普通は庭の手入れを終えてから来るのだが、この日は宿題を教えるのに時間を取られたのでさよと毎朝来る茶々丸に頼んで来ていた。

麻帆良祭以降は食材を異空間アジト以外からも調達しているので、横島とタマモはすでに朝市に参加する面々と顔見知りになっている。

しかも横島が教えた記憶がないのにタマモはいつの間にか礼儀正しい挨拶を身につけており、朝市に参加してる中年やお年寄りにきちんと挨拶していた。

まあ実際にタマモに挨拶なんかを教えたのは木乃香達なのだが。


「おっ、いいとうもろこしっすね」

「今年のは甘くて美味しいよ。 しかもさっき採って来たばかりだからね」

朝市にコブラで来る横島は、朝市の参加者ではちょっとした有名人だった。

しかも安くていい品を選んで買って行くので、大半の人はどこかのレストランのシェフだと誤解しているが。


「何本まで売ってくれます? 出来れば三百ほど欲しいんっすけど」

「三百は流石に今はないね。 朝市が終わってからでいいなら市場に出荷する分から売れるけど」

「じゃあ、それでお願いします。 携帯の番号と店の場所教えますんで、連絡下さい」

皮やひげがついたままのとうもろこしが気に入った横島は早速交渉して買うが、流石に今回の数は相手も驚いてしまう。

どうやら朝市の販売用に持参した品数では足りないらしく、結局後で配達して貰うことになる。

その後も朝市でいくつかの食材を購入した横島は、麻帆良市内にある市場に向かい朝市で購入しなかった食材を購入して買い出しが終りだ。

そのまま店に帰った横島はスイーツなどを作り開店準備を始めるが、この日はやはり賑やかで何人かの少女は厨房から薫るスイーツの甘い匂いによだれを垂らしそうだったが。

なお朝の六時を過ぎると今度は芦コーポレーションの社員が来て協賛の打ち合わせなども始まり、再び横島達は忙しくなっていく。

加えて雪広グループと那波グループも小規模だが出店として参加するらしい。

こちらの二社は今回は協賛ではなく純粋な出店としての出店だが、麻帆良祭以降何かと関わりがある雪広グループと千鶴が一緒だったことから試しに那波グループにも屋台を出さないかとあやかと千鶴に声をかけたら、両社が急遽出店することになったのだ。

両社が参加するに至った具体的な経緯については横島も聞かないので知らないが、祭りの規模が横島の意思とは無関係に大きくなったので、どうせなら両社も誘ってみようかと軽く考えただけだったりする。

特に雪広グループはいろいろ世話になってるだけに、形だけでも誘わないとダメかと多少気を使ったのだが……。



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