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平和な日常~夏~2

そして夜になりいつものように刀子と酒を飲み始めた横島だったが、この日は少し空気が違っていた。


「俺が怨まれてる?」

「ええ、貴方が追い払った那波さんのストーカーのうちの何人かが、貴方のこと嗅ぎ回ってるみたいなの」

酒を一口飲んだ刀子は千鶴のストーカー問題のその後を少し語っていくが、やはりというか当然横島はあのストーカー連中に怨まれてるらしい。

まあ怨まれてると言っても相手は一般人であり、たいしたことが出来るとは思えないが。

ただ横島の交遊関係や過去を調べてるようなのだ。


「へ~」

「あの後、連中も結構大変らしいのよ。 天文部からは追い出されたし、ストーカーとしてそこそこ有名になっちゃったから」

あまり興味がない様子の横島だが、刀子は詳しい事情を話していく。

あの後ストーカー連中は天文部から追い出されてしまい、加えて連中が通う学校では教師のみならず生徒会や風紀委員などにも目を付けられたらしい。

中には大学生もおりそちらは教授や講師からかなり絞られたらしいが、連中のほとんどが高校生であり彼らはかなり立場的に悪化したようなのだ。

まあ元々千鶴のストーカーの件では教師が以前から気にかけていたが、今回は報道部や天文部が生徒会や風紀委員に手を回したようなのである。

それにこれは横島も知らなかったが、あの後千鶴の男性の友人達が彼らの過去の行動を証言したらしかった。

無論それが無条件で信じられ罰則が与えられる訳ではないが、彼らの日頃の迷惑な行動に関して罪にならない程度の余罪がボロボロと出てきたらしい。


「そりゃまた自業自得だろうに……」

「そうなんだけど、中には貴方を逆恨みしてる人も居るらしいわ。 まあこの件は結構注目されてるから生徒達も目を光らせてるるし、貴方に被害はないでしょうけど一応気をつけてね」

この問題について主体的に動いてるのは、教師よりも生徒であり生徒会や風紀委員だった。

ストーカー連中の再発防止や横島への逆恨みなど、彼らは今も警戒されている。

以前も説明したが教師も指導はしているし気をつけてもいるが、麻帆良学園は独自の自由な学園を守るために生徒による働きが強い学校でもあった。

従って横島に被害が及ぶ可能性はほとんどないが、事情を聞いた刀子は少し心配してるようだ。


「俺は大丈夫っすよ。 逃げ足は速いですから」

少し心配そうな刀子に対し横島は相変わらずの口調で逃げ足が速いからと笑っているが、刀子はそんな横島を見て心配していいのか信じていいのか迷っている。

普通に考えれば少なくとも一般の学生に遅れを取るとは思えないが、それでもどこか危なっかしいと言うか不安になる理由が自分では分からないらしい。

ただ一つ言えることは、結局刀子は横島のことを考える時間が少しずつ増えてるという事実だろう。

基本的に客が少ない時間に来てゆっくりするこのひと時が最近刀子は楽しみで仕方ないようである。



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