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平和な日常~夏~2

それから数日が過ぎた日の午後、タマモとさよは木乃香と明日菜と一緒に麻帆良市郊外にある大型ショッピングセンターに来ていた。

夏ということで海やプールに誘われることが最近多いタマモとさよだったが、当然二人は海やプールなど未経験であり水着すらない。

そんな二人に木乃香達が一緒に水着を買いに行こうと誘っていたのだ。

本当は横島が自分で買い物に連れて行くつもりだったようだが、水着の買い物なら女の子同士の方がいいからと木乃香と明日菜が気を効かせてくれたのである。

タマモに至っては基本的に横島から離れないため初めて横島抜きで麻帆良を出るせいかちょっと不安そうだったが、別に嫌な訳ではなく反対はしなかった。

出来れば一緒に行きたいのが本音なのは変わらないだろうが、横島には仕事があるからと言われてせっかく誘ってくれた木乃香達の好意を拒否出来るような性格ではない。



「思ってたよりは落ち着いてますね」

一方店ではこの日の午後のバイトである夕映が、タマモ達を送り出した後の横島が意外と落ち着いてることに少々驚いていた。

横島がタマモを溺愛とまではいかなくてもかなり甘やかしてるのは、最早夕映達などの身近な者以外も店の常連などなら誰でも知ってる事実である。

今までタマモを手元から離さなかった横島が木乃香達と一緒とはいえ離したことで、夕映はこっそり後を尾行するくらいはしそうだと考えていたらしい。


「買い物くらいなら大丈夫だよ。 というより俺は一体どんな見られかたしてるんだ?」

先程から横島を探るように見つめてる夕映は、横島の余裕の理由が知りたいようだった。

横島が多少でも心配すれば夕映も疑問など抱かなかったのだろうが、いつもの横島から考えると不思議なほど余裕がある姿は多少理由が気になるらしい。


「いえ、あの二人はあまり人混みなどに慣れてなさそうですから……」

タマモのみならずさよもどっか変わってることに、夕映はすでに気付いている。

特別おかしな訳ではないが、よほどの山奥か病弱で入院でもしてたのだろうと夕映は考えていたのだ。


「相変わらずいい物の見方してるな。 将来が楽しみだよ」

夕映の頭の回転の早さや視点の良さなどに、横島は素直に感心していた。

頭の回転に加えて観察力もそこそこあり、将来どんな道に進んでも並以上になるのは明らかである。


「結局はぐらかされるのですね」

しかし夕映はそんな横島が余裕の理由を語らないことに少し不満そうだった。

ただ夕映は横島が余裕の理由を言いたくても言えないことには気付いてない。

そもそも土偶羅が見守ってるから危険な問題にはならないとは横島も言えるはずがなく、極端な話をするとタマモや木乃香達が戦場でピクニックしても彼女達は無傷で帰るのが当然なのだとは言えなかった。

無論横島本人も時々千里眼で木乃香達の様子を覗いていたのは、もっと言えない秘密である。


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